【サメから考える○○ ~あなたの「メジロザメ」~】

危険生物特番と心霊特番の共通点は何でしょうか?

 

正解:同じパターンの繰り返し。

TBSの「どうぶつ奇想天外」という神番組は過去の栄光、
現在の危険生物番組は無駄な効果音と誇張表現のオンパレード、
映像とネタの半分以上は使い回し・・・。

まあ、そう思ってはいても「サメ」の二文字があれば観るんですけどね(笑)。

今回は、危険生物特番の一つ「緊急!ニッポンを襲う世界の超S級危険生物」を観ていて感じたことを書きます。

目次:
【便利な言葉「メジロザメ」】
【メジロザメを悪者にしないで】
【あなたにとっての「メジロザメ」は?】

 

【便利な言葉「メジロザメ」】
サメに詳しくない方のために補足すると、
メジロザメというのは、サメの種類で、
一般的に皆さんが「サメ」と聞いて想像する形をしています。
メジロザメはヤジブカ(学名:Carcharhinus plumbeus)という
サメの種類を指す言葉ですが、
ある一群のサメをまとめて指す言葉でもあります。


(典型的なサメ型のツマグロちゃん)


(頭は特徴的ですが、アカシュモクザメもメジロザメです)

もっと細かく言えば、「メジロザメ」はメジロザメ目、メジロザメ科、メジロザメ属という正式な生物学上の区分であり、かなり多くのサメの種類がいわゆる「メジロザメの仲間」です。その種数は約270種以上と言われています。

なので、メジロザメ系のサメを見て細かい種類が分からなくても「メジロザメの仲間」と言えば、一応嘘はついていないことになります。

「サメ好きがそんなんでいいのか?」と言われそうですが、サメに詳しい人でもメジロザメの種の細かい分類は難しいことが多いです。イタチザメとかヨシキリザメとか、かなり特徴的な一属一種ならまだしも、クロトガリザメとカマストガリザメの違いなんて、ぱっと図鑑で見ただけじゃ分かりませんよ(鼻先のとがり方が違うと思うけど、見分け方合ってるかな・・)。分かるようになりたいから勉強中なんです!( ・´ー・`)

ということで、一般的なサメを代表する名前であり、実際にその仲間に含まれる種数も多いので、「メジロザメ」はかなり便利な言葉なのです。

 

【メジロザメを悪者にしないで】
メジロザメの種の同定が難しいのは先ほど説明(愚痴?)した通りです。なので、テレビ番組制作者がきちんと紹介できるなんて最初から期待していません。事実、「緊急!ニッポンを襲う世界の超S級危険生物」という特番では、形が特徴的なシュモクザメなど以外(実はシュモクザメにも結構種類があるけど今回は割愛)は、「メジロザメ」と一括で紹介され、全然レモンザメじゃないサメに「レモンシャーク」とテロップつけていました。スタジオゲストにはサメに詳しいココリコの田中さんもいらっしゃいましたが、さぞ歯がゆかったのではないでしょうか。

こういういい加減な括りは多少避けられないとしても、問題なのは「メジロザメ」を「危険なサメ」として紹介している点です。

僕の基本スタンスは「メディアの偏向性を批判してもどうしようもないから自分たちでなんとかしよう」ですが、今回は話の本筋からずれるのでいったん脇に置きます。「メジロザメ」=「危険」という報道には二つの問題点があります。一つは多くのメジロザメ系のサメはほとんどが危険ではないので、真っ赤な嘘を報道しているという点、もう一点は「メジロザメ」と一括りにして悪者にしている点です。

「緊急!ニッポンを襲う世界の超S級危険生物」では、茨木県沿岸で多くのメジロザメが目撃されて遊泳禁止になった事例や、専門家っぽい中年男性がメジロザメの群れの画像を指さして「危険なサメだ」とか言っちゃっている映像を出して、いかにもそれっぽく作っています。さらに、この番組は後日映像を使いまわしてPART2を作っていますが、そこでも「メジロザメ」を釣り上げた青年の翻訳として「この海には人食いザメがいっぱいいるんだぞ」と音声が入っています(実際の英語で何と言ったかは、音がかき消されていたので不明)。

ですが、そもそもメジロザメのほとんどの種類が人を襲いません。危険を感じたりして嚙むことはあっても、そもそも人を食べられるサイズではない種類がほとんどです。僕はネムリブカを沈没船で見つけたり、オグロメジロザメの大群に囲まれて泳いだことがありましたが、全く危険を感じませんでした。

さらに問題なのは、「メジロザメ」という括りです。
メジロザメの中には確かに危険な種もいます。ホホジロザメに次いで悪名高いイタチザメ、オオメジロザメはともにメジロザメの仲間です。また、船が沈没した事故の際に漂流する船員を襲ったというヨゴレ、ヨシキリザメもメジロザメです。

ですが、そもそも「メジロザメ」がかなり広い範囲を含んでいます。生物の分類は「目」→「科」→「属」→「種」の順に細かくなりますが、「目」までいけば「メジロザメ」はトラザメ(最大約50㎝)やホシザメ(最大約1.1m、かまぼこの原料)も含みます。

なので、危険なサメとして「一部のメジロザメ」を取り上げることはアリかもしれませんが、「メジロザメ」=「人食いザメ」はあまりにもアンポンタンなまとめ方です。土佐犬やドーベルマンの事例から犬を怖がって、ポメラニアンやプードルもひっくるめて、「犬は危険だ!」と言っているのと変わりありません。
まあ、年間の動物による死者数はサメよりも犬の方が多いと言われているので、
ある意味「犬=危険生物」かもしれませんが・・・。


(うちの犬です)

 

【あなたにとっての「メジロザメ」は?】
実際には多様な種類がいて、それぞれ違いがあるのに、
分かりやすいから一括りにしてしまう・・・。
今回はサメ好きとしてサメを取り上げましたが、
サメ以外でもあるのではないでしょうか。

中国人とまともに話したこともないのに
「これだから中国人は」とか言っちゃう人いませんか?

色んな人生を歩んできた色んな女性がいるのに
「女ってのはこうなんだ」とか言い出す
自称女心分かっている系男子はいませんか?

ベンチャー企業で働いたことないし
実際に働いている人の話も聞いていないのに
「ベンチャーに行った方が俺は輝ける!」
とか思っている就活生はいませんか?

僕にもきっとあると思います。でも皆さんにもあると思います。
あなたがその多様性を知らずに一括りにしている、
あなたの「メジロザメ」は何でしょうか?

その多様性を探す旅に出ると、
その深みが分かるかもしれません。

 

今回はここで終わりです。
次回もよろしくお願い致します。

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