【サメから考える○○ ~「肉食」という言葉~】

「サメって全部肉食ですか?」と聞かれることがあります。

なるほど、魚にはコケを食べたりする種類がいるから、サメにもそういう種類がいるのかどうか気になっているのか、とその時は思いました。

しかし、こんなことも言われました。
「サメはめったらやたらと人を襲わない。大人しい種類もいる」という風に僕が言うと「なら、肉食じゃないサメがいるの?」と聞かれたのです。

ん?ちょっと待ってくれ。「大人しい=肉食じゃない」とするのは、あまりにも短絡的というか、言葉の使い方が「肉食系女子」のことを話すときまるで同じじゃないか。草食系動物だって状況によってはかなり攻撃的な性格だし、逆に陸上肉食獣最強とも言われる熊も果物を食べることがある。

どうも、一般の人たちは「魚を食べる」ことを「肉食」だと考えていないのではないか・・・、という懸念が出てきました。

しかし、サメに置き換えると少し複雑です。海生哺乳類を食べるホホジロザメは間違いなく肉食。魚を食べる大半のサメたちも僕の中では肉食動物。ならば、サザエなどを砕いてその中身を食べるネコザメはどうだろうか。まず肉食と言っていいだろう。プランクトンフィーダーと呼ばれるジンベイザメ、ウバザメは肉食と言えるのか?動物性プランクトンやオキアミを食べることから、肉食と呼んで差し支えない気がするが、彼らの餌は我々が考える「肉」とはかなりイメージが離れている。

そもそも、「動物を食べること=肉食」でいいのか。では動物の肉以外の部分を好んで食べる動物も動物を食べているから肉食になるのか?僕は昆虫料理を食べたことが何度かあるが、あれも肉食で良いのか。確かに「肉食昆虫」という言葉はあるが・・・。

と、こんな具合で疑問は尽きないので、今回は「肉食」という言葉の定義について考えてみました。

 

目次:
【「肉食」という言葉の定義】
【一般の人が言う「肉食」とその対義語】

 

【「肉食」という言葉の定義】
「肉食」という言葉の定義は何なのか。
とりあえず広辞苑を引いて掘り下げていきましょう。

「肉食」・・・動物の肉を食物とすること。特に鳥獣の肉を食物とすること。
「肉食動物」・・・動物質を食物とする動物。

「動物質」が広辞苑に出ていなかったので、仕方なくコトバンクから引用します。

「動物質」・・・動物体を構成する物質。主としてたんぱく質からなるものをいう。

つまり、動物性のものを主として食べていれば、全部肉食動物といったところでしょうか。

注目すべきは「肉食」の定義です。ここでは二つのことが言えます。一つは、「肉食」が虫であろうが魚であろうが蛇だろうがなんだろうが、動物を食べること全てを指すということ。もう一つはそうは言っても「肉食」という言葉は鳥獣など人間が親近感を持ちやすい動物を食らうことを指すことが多いということです。

【一般の人が言う「肉食」とその対義語】
僕はここで厳密な「肉食」の定義を知らない人たちをバカにしたいわけではありません。そうではなく、その認識のずれが何を起こしているかに興味があります。

先ほどの定義で言えば、あらゆる昆虫、カエル、アジも肉食動物です。もちろん「大人しい」と言われているジンベイザメ、ウバザメも肉食動物です。

なのに、僕たちが「肉食動物」と聞くとどうしても出てくるのが、ホホジロザメ、ベンガルトラ、アナコンダ、ホッキョクグマ・・・。出来ればガラスや檻越しでしか会いたくない動物たちばかりです(まあ、ホホジロザメとなら檻無しでもいいかな・・・。ダメ(笑)?)。

つまり、実際の辞書的な定義や生物学の分類では間違っているとはいえ、肉食動物(≒猛獣)と厳密な意味での草食動物以外に、人々の認識の中では何かジャンルが存在していることになります。

この認識は何をしてしているのか。プランクトンからジンベイザメまで大きさ寿命種類問わず、生き物が食う食われるの過酷な環境の中で生きているという事実を僕たちがときたま忘れてしまっている、ということではないでしょうか。

もちろん、理屈としては分かりますよね。食物連鎖のピラミッドを持ち出して、「分解者と生産者がいて、消費者がいますよ~」みたいなことを言われると、頭ではそれが理解できます。

しかし、体感をもって学べないと、その認識は薄れてきてしまい、自分たちが食べたり使ったりしている生き物と野生の生き物が異なる存在のように見えてきてしまうと思います。かく言う僕も正直その一人です。

食育か水族館か教育改革か・・・。
何をしたら事態はいい方向に向かうのか、僕も模索中です。

ぼやきみたいになっちゃいましたが、今回はここまでです。
これからは「こういうことをするって決めた!」みたいな投稿をしていきたいと思っています。

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