“最強”のサメとは何か?素朴な疑問にガチレスする

ここのところ僕は全くと言っていいほどテレビを観ないのですが、昔よく特番でありましたよね。「危険生物トップ50」とか、「最強の猛毒生物ランキング」とか。

 

いったいどこの誰がどんな基準で決定しているのか分かったものじゃないし、ほとんどが海外ドキュメンタリーのつなぎ合わせ。ようやく独自取材のVTRが出たかと思えば2m前後のメジロザメを捕まえて「獰猛な人食いザメだ!」とか言う始末。全く勘弁してほしいですね。

しかし、仮に大真面目に「最強のサメを決める!驚異のランキング発表!」みたいな企画を考えるとなると結構難しい。まず言葉の定義から考えると「最強」とは言わずともがな「最も強い」という意味です。

では、生物の強いとは何か?一対一で戦った時の戦闘力(例えばフリーザ様であれば53万)を指すのか?しかし、これはあまりにも使えない数値です。外洋性のヨシキリザメと底生性のネコザメを戦わせることに意味があるでしょうか。そもそもどうやって戦闘力なんて測るのか。ちなみに底生性同士のネコザメとカスザメなら勝負させられるかもしれないけど、サメ好きの方ならご存知の通りネコザメを食べようとしたカスザメがネコザメの第一背鰭を嫌がって吐き出し終了。勝負もくそもない。

「そうした屁理屈は聞き飽きた!だからお前はクリぼっちなんだ!」と言われそうなので、項目別に「最強のサメ」リストを一応作ってみました。

ちなみに、今年のクリスマスシーズンはサンタコスした美人を交えて友人とクリパしたり宅飲みしたりして結構リア充に過ごしました。文句あるまい。

目次:
【戦闘力:ホホジロザメ】
【総合力:イタチザメ】
【食べ物に困らない?:ダルマザメ】
【進化の可能性:メジロザメの仲間】
【人間という現象に適応?:イヌザメ、ネコザメ、ドチザメなど】

 

 

【戦闘力:ホホジロザメ】

どのサメも捕食者として素晴らしい能力を備えていますが、仮に大乱闘シャークブラザーズをやるとしたら、最も破壊力を発揮するであろうサメはホホジロザメでしょう。

体長4~6m。筋肉質で流線形な体と寄網という体温を高める特殊な体内構造をもったこのサメは驚異的な身体能力を誇ります。

ホホジロザメはバイオロギングで有名な渡辺佑基氏いわく最も速く泳ぐ海洋生物の一種であり、鋸歯というノコギリ状の歯で大型哺乳類や他のサメを引き裂きます。戦う、殺しあうとなった場合、このサメに勝てるサメは恐らくいないでしょう。

 

【総合力:イタチザメ】

ぼんやりとした基準で申し訳ないですが、色々な意味で強いと思うのはイタチザメです。最大の個体はホホジロザメを超えるとも言われているこのサメは、ホホジロザメと同じく(ただし形状は異なった)ギザギザの歯をもっており、何でも食べてしまう。通称海のゴミ箱。

雑食性のため本当にゴミを食べてしまうこともありますが、選り好みしない性格なので獲物に困りにくいのではないでしょうか。さらに言えば、イタチザメは大型で危険とされる種の中では多くの子供を産み、水族館職員の話では生命力も高いそうです。総合的に考えれば、一番強いのはイタチザメかもしれません。

 

【食べ物に困らない?:ダルマザメ】

どんなに力強くても食べ物がなければ生き残れない。食事とはどんな生き物にも切実な問題です。ちなみに、最近アプリで簡易的に家計簿をつけているのですが、食費は毎月1~2位でした。食べ物に困らないのはある意味「最強」と言えるでしょう。

生態について謎が多いので安易なことを言うべきではないかもしれませんが、上記の意味で最強なのはダルマザメかもしれません。英名ではクッキーカッターシャークと呼ばれるこのサメは、全長わずか30~50㎝。マグロ、イルカ、クジラなど自分より大きな相手に噛みつきサーティワンアイスクリームみたいに丸く肉をえぐりとって食べます。実際やられたら相当痛そうですが、致命傷にはならないため獲物は生き続ける。自分の獲物を食べ尽くすことがないエコな戦略は、ダルマザメの強みです。

 

【進化の可能性:メジロザメの仲間】

ダーウィンの『種の起源』の一節にこう書いてあります。「われわれは未来に予見的な目を向けて、最終的に勝利をえて新しい種を生じるのは、わりあい大きくて優勢な群に属し普通にみられる分布の広い種であることを予言できる」。この意味で言えば、サメの中で最強なのはメジロザメ目のサメたちでしょう。

500種類以上いるサメの仲間の多くがこのグループに属し、世界中のあらゆる場所に分布しています。単体の強さよりも後世に続いていくことを生物の強さとするのであれば、将来海を支配しているのはホホジロザメのような大型種よりもメジロザメの仲間かもしれません。

 

【人間という現象に適応?:イヌザメ、ネコザメ、ドチザメなど】

人間は自然環境を思い通りに操ることはできません。一介のお猿さんが調子に乗るべきではありません。しかし、人間が地球環境を大きく変える力をもっており、多くの種の存亡を左右しかねないこともまた間違いないでしょう。

少々ぶっ飛んだ話になることは承知しているのですが、人間が海洋環境を大きく悪化させ、野生の魚たちが危機に陥ったとしましょう。人間は『2012』のように方舟に生物を保存するか、『エヴァンゲリオン』のように人工海水(?)で魚たちを飼育する世界。人間がこんなトンマな事態に陥って「サメも保存しよう」となったとき、選ばれやすいのはどんな種でしょうか。保存期間中ちゃんと生き延びるのはどんなサメでしょうか。

設定自体がちょっと無茶だし推測その域を出ませんが、この場合イヌザメ、ネコザメ、ドチザメのようなサメではないでしょうか。つまり、泳ぎ続けなくても生きていける、そこまで体が大きくない、飼育環境に適応しやすいサメたちです。
ホホジロザメ、アオザメのような泳ぐ力が強く一見強そうなサメたちは、飼育環境で長生きした試しがありません。

先日池袋のサンシャイン水族館で多くの魚が死亡する事故が発生しましたが、底生性の板鰓類は多くが生き延びたようです。

人為的な原因に限らず、何か環境が激変した場合、案外強いのは普段底の方で大人しくしているサメたちかもしれません。

 

【結論:何をもって最強とするか】
月並みな結論かもしれませんが、何をもって“最強”とするのかはっきりしない、というのが僕の言いたかったことです。大きなものの戦略、小さいものの戦略。遺伝子を伝えるヴィークルとして一生懸命頑張ったとしても、適者生存の「適者」を決めるのは適応しようとする生物ではなく適応される環境です。僕たち人間は社会という利便性・安全性確保のために作られた生息域に暮らすことで自覚せずにいられますが、自然の世界は実にシビアです。ちなみに、「最後の人間が飼いやすいかどうかはさすがに無理あるだろ」と思った方。ぜひジャレッド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』をお読みになってください。どのような動植物が人間に選ばれ繁殖させられてきたのか、実に興味深い話が載っています。

もう一つ個人的な結論を述べるとしたら、小さいサメも大きいサメもかっこいいサメも可愛いサメも、生き残りをかけた戦略があり、それを探求することは実に面白いということです。残念ながら僕の寿命は進化の行く末を見届けるには短すぎるようですが、この面白いサメという生き物に、次の世代にも魅了されて欲しいと個人的には思っています。

 

 

【Writer Profile】
自称サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。
2016年から現在の肩書を使って活動。社会人として普通に働きながら、
サメ関連イベント参加、水族館巡り、水族館ボランティアなどの活動を通して
サメについて学び、サメ、環境、水産、動物倫理などの分野で情報発信を行う。

Youtubeでの動画配信や、第3回ソーシャルドリームコンテスト、もうやん文京などプレゼンイベントで登壇。今後、書籍の出版など活動の幅を広げていく予定。

 

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「“最強”のサメとは何か?素朴な疑問にガチレスする」への1件のフィードバック

  1. 最近クイズにはまっていて、ときたま鮫の問題が出るので、勉強になりました。

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