「チョウザメはサメじゃない」サメ好きの常識をマジで解説

「チョウザメはサメではない」

これを言うたびに「え!?」と驚かれるのだけど、サメではありません。

しかし、「チョウザメはサメじゃないから!」とドヤ顔するだけでは「うるさい生き物好きがなんかこだわってんな」で終わってしまう。違うというからには何が違うのか、しっかりと説明する必要がある気がしてきました。

本音としては、「チョウザメはサメじゃない」を説明するのに飽きたってのもありますが(笑)。

断っておきますと、僕はチョウザメが嫌いなわけではないです。また、僕は分類学が社会に果たす役割云々という壮大なテーマについて論じるつもりはありません。ですが、学者の方々が頑張って分類してきたものを、紛らわしい和名のせいで一般人が勘違いしているのではいただけない。それに、サメがチョウザメをはじめ、「いわゆる普通の魚」とどう違うのか広めるのは、サメという生き物の魅力を感じる一つのきっかけになりえます。

今回は「チョウザメはサメじゃない」という、サメ好きにとっては常識すぎることについてガチレスしていきます。

 

目次:
【チョウザメとは何か?】
【チョウザメとサメの違い①:骨格】
【チョウザメとサメの違い②:エラ】
【チョウザメとサメの違い③:卵】
【そもそもサメを知っていれば】

 

【チョウザメとは何か?】
全国のチョウザメファンの皆様に「浅い」と言われることと覚悟で、簡単にチョウザメについて解説します。僕もあまりチョウザメについて調べてこなかったので、この機会にと思いました。

「チョウザメ」と呼ばれる生き物は、硬骨魚綱条鰭亜綱チョウザメ目に分類される魚の仲間で、シロチョウザメ、シベリアチョウザメなど様々な種がいます。

鳥羽水族館で泳ぐチョウザメの仲間

チョウザメという和名は、体の側面中央に並ぶ鱗が蝶の羽のような形をしていて、外見がサメのようだから名付けられましたが、サメとは分類が離れた魚です。もっとも、太古の昔からいた古代の魚という面では共通点がありますが。

ちなみに、英語では「sturgeon」と呼ばれサメと誤解されることはないと思います。

では、そんなサメとチョウザメの違いを改めてみていきましょう。

 

チョウザメとサメの違い①:骨格
チョウザメは硬骨魚類という、いわゆる「普通の魚」に分類されるのに対し、サメの仲間は軟骨魚類と呼ばれるグループに属します。文字通り、歯以外のほぼすべての骨が軟骨でできています。

断っておきますと、軟骨=柔らかい骨というわけではありません。アオザメやネズミザメなどの骨には極めて固い部分もあります。ただ、軟骨は硬骨と比べカルシウムが少なくて済むそうで、一説にはこれがサメの歯が何度も生え変わる仕組みにおいて重要なんだとか。

チョウザメとサメの骨格が根本的に違うことを示す分かりやすい展示を水族館で見ることができます。骨格を淡い赤や青色に染められた染色標本を見たことがあるでしょうか。硬骨部分は赤っぽく、軟骨部分は青っぽく染色されます。

サメの染色標本
チョウザメの染色標本

写真で示した通り、サメの仲間の骨格はほぼ真っ青ですが、チョウザメは骨の部分はほぼほぼ赤いですね。

ちなみに、写真で分かることがもう一つ。軟骨魚類は小骨が少ないです。内臓が肋骨でおおわれて小骨が多い硬骨魚類(これが理由で魚を食べない人もいるはず)に比べ、サメは小骨はほとんとありません。一見した外見は似ていても、サメとチョウザメでは中身にこれだけの違いがあります。

 

【チョウザメとサメの違い②:エラ】
では、ぱっと見で見分ける方法があるのか?サメもチョウザメも馴染みのない方向けにきちんと説明しましょう。

サメは生物学では軟骨魚綱 板鰓(ばんさい)亜綱に分類されます。この板鰓とは、鰓蓋がない5〜7対の鰓が板のように縦に並んでいる特徴からきています。

ご覧の通りサメの鰓はむき出しになっていますが、チョウザメの鰓は鰓蓋に覆われています。

シロチョウザメの鰓。鰓蓋で覆われているのが分かります。

 

【チョウザメとサメの違い③:卵】
本来珍しい古代魚であるチョウザメのことを何故一般人が良く知っているかと言えば、「チョウザメと言えばキャビア」という認識があるからでしょう。大いなる海に住む
素晴らしい生き物サメについては全く知らないくせに、食いもしない高級な食べ物については知識があるというのは、何とも嘆かわしいことです(嫌味)。

言うまでもなく、キャビアはチョウザメの卵です。もっとも、厳密に食材について言えば、もみほぐして塩漬けにしたチョウザメの卵巣を指します(生物学的には違う意味をもつなど、色々面倒なのでここでは「キャビア→チョウザメの卵を使った食材」とします)。

サメ卵との最も分かりやすい違いはサイズです。実際に見たことがあれば分かると思いますが、キャビアの一粒一粒はかなり小さいです。しかし、サメの卵に関しては、大きな卵殻に包まれています。最大で50㎝程度にしかならないトラザメの卵殻でも5㎝くらいの大きさがあり、ネコザメの卵も15㎝くらいの大きさがあります。

ちなみに、卵に関連して思い出したのでもう一つ。サメとチョウザメでは生殖方法がそもそも異なります。サメは体内受精、つまり雄が雌の体に精子を直に送り込みます。このため、サメの雄は腹鰭にはクラスパー(おちんちん)がついています。一方、チョウザメは他の多くの魚と同じように、雌が産んだ卵に精子をぶっかける体外受精なので、おちんちんはついていません。

生殖方法の違いからしても、サメとチョウザメが完全に別の生き物に分類されるべきことが分かります。

 

 

【そもそもサメを知っていれば】
さて、先にも書きましたが、僕はチョウザメが嫌いなわけではありません。僕がチョウザメとサメの区別にこだわるのは、サメが好きだから
というのもありますが、他にも理由があります。

それは、「チョウザメをサメと勘違いする」というのは「サメのことを分かっていない」というシャーキビリティの低さの表れだからです。つまり、チョウザメがサメと勘違いされて「それでもいいじゃん」みたいな空気が蔓延しているのは、人々はサメについて知識を深められていないことの現れ。だって、ある程度サメのこと知ってれば、そもそも身体的特徴が違いすぎて間違えないっつの。

もちろん、そのまま平和に世が進めばいいですが、サメにも興味ない、生き物にも興味ない、海とかどうでもいい。生物学とかオタクっぽいし関係ないよ。そんな連中がマジョリティである世界は自然保護の観点からして怖いし、僕の居心地が悪いです。なので潰します(平和的に)。

この記事読んだ人は、いい加減チョウザメはサメじゃないって分かったと思うので、友達にもちゃんと教えてあげてね。分かってなくて説明が面倒な場合はこの記事を送り付けてあげてね。皆さん、よろしくお願いします。

【Writer Profile】
自称サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。2016年から現在の肩書を使って活動。社会人として普通に働きながら、サメ関連イベント参加、水族館巡り、水族館ボランティアなどの活動を通してサメについて学び、サメ、環境、水産、動物倫理などの分野で情報発信を行う。

Youtubeでの動画配信や、第3回ソーシャルドリームコンテスト、もうやん文京などプレゼン・レクチャーイベントで登壇。今後、書籍の出版など活動の幅を広げていく予定。

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「「チョウザメはサメじゃない」サメ好きの常識をマジで解説」への1件のフィードバック

  1. 人気番組「チコちゃん」で、「キャビアは何の卵?」「サメ」「そう、チョウザメね」といってるよ。NHKに「ボケっとしてんじゃないよ」といったらどうかしら

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