ヴィーガンの方から頂いた資料を読んだ結果

事の発端は僕が最近かなり投稿数を増やして頑張っているTwitter。ヴィーガンを名乗るアカウントが発した投稿が目に留まった。

このツイートを見て思ったことは二つ。

・世界一大きい栄養士学会ってどこ?
・安全とする科学的根拠は何?

 

いじめたいわけではなく、本当に気になりました。ヴィーガン食を続けて赤ん坊を栄養失調にした親子のニュースを前に僕は読んでいたし、ヴィーガン食で健康になるか栄養が偏るかというのは、ヴィーガンvsアンチでよく話題になる論点だからです。

そこでさっそくコメント書いてみた!

これに対して返答がしばらく来なかったので、「またヒヨられたか~」って思っていました。

以前、今回の件とは関係ない人の遺伝子組み換え食品が不妊症の原因であるという断定的なツイートに「科学的根拠を示して欲しいです」と聞いて、「遺伝子組み換えは1996年から始まりました。その後しばらくして(データによると1999年頃から)不妊の相談件数が増加しています」と返答をもらったので、下記のようなコメントをしたら、その後返事をもらえなくなってしまいました。

「お前が面倒くさい奴だからだ」という批判もあるかもしれませんが、そもそもより強固な根拠をお持ちならリンクを貼るとか、せめて「〇〇でググレカス」とか言えば済む話。論拠が弱いと認めるなら「もう一回調べ直してみます」とか欲しいところ。議論する気がないなら賛否両論ある話題を断定的な口調でSNSに載せるな。

こんなことが前にあったので、今回もダメかなって思ってたら、ヴィーガン男子さんからお返事が!大変失礼いたしました!

ヴィーガンの人たちはちゃんと議論してくれるので、その点は本当にありがたいです。

送られてきたリンクは Academy of Nutrition and Dietetics という団体の position paper、つまり、立場や方針を説明する記事でした。

ちなみに、こちらの記事です。

確かに最初の概要部分に “These diets are approporiate for all stages of the life cycle, including pregnancy, lactation, infancy, childhood, adolescence, older adulthood, and for athlets.” とあり、投稿者の主張と合致します。

しかし、記事の中に実証データがない。該当箇所と思しき場所以外はサラッと読んだし引用された文献まで調べていないのでこれだけで否定するのもフェアではないですが、彼の主張を完全に裏付ける物とは思えませんでした。

 

サメ社会学者と名乗る僕が何故ここまでヴィーガンと議論するのか?

それはシンプルで、僕はヴィーガン思想に興味があるからです。ただし、ヴィーガンになりたいとかではなく、ヴィーガンという生き方の論理を考えることで、人間と他の生き物の関係について深い理解を得られると考えています。僕のメインの関心分野はサメですが、ヴィーガンの考え方を生物学や生態学の知識を交えて科学的に考えることは、サメを含めあらゆる生物と人間との関りについて反省するいい機会です。フィニング(フカヒレ目的にサメのヒレだけを切り落とし、残りを生きたまま海に捨ててしまう行為)の問題を考えるうえでも、動物倫理は避けられません。

言葉の響きだけなんとなく聞くと僕がヴィーガン信者のようですが、僕は肉食者であり、動物を殺しています(ハエ、ゴキブリ、ネズミなど)。それに、ヴィーガン思想には穴があると考えています。詳細は長くなるので省きますが、例を出すなら「肉食動物が動物殺しを許されて人間が許されない明確な論拠は何か?」という問いに、ヴィーガン思想はきちんと反論を用意していますが、僕が納得できる説明ではありませんでした。

一方で、僕はヴィーガンが主張することに同意することがあります。例えば下記のような点です。

・犬猫も豚も虫も感覚のある命に違いはない
・人間も動物である
・人間は動物に対して所有権を持たない

最後のだけ補足が必要だと思いますが、これは「サメがアジに対して所有権を持たない」と全く同じ意味においてです。人権も所有権もそもそも存在しないというのが僕の考えです。それらは社会秩序のために人間が作った虚構で、それらがなければ「人殺しは良くない」という倫理も含めて全て幻想です。だから悪いという訳ではなく、それらが大事だとみんなが信じることで社会が成り立つ。お金と同じですね。一万円札がお金だと信じるからお金として成立するわけです。

ヴィーガン思想には僕は納得できておらず、一部のヴィーガンの過激な言動は容認できるものではありません。しかし、彼らの思想の中には、例えヴィーガンにならずも僕たちが考えるべき課題があるように思えます。それが、サメ社会学者がヴィーガンに関心を持つ理由です。

 

最後に、「ヴィーガン男子」の名前を晒したり、こういうトピックを語るのは、過激派ヴィーガン思想のヒートアップにつながるのではないか、という批判が予想されるので、それについて。

結論から言うと、僕はヴィーガン思想はもっと広まればいいと思います。

理由は二つ。一つ目は、ヴィーガン思想をきっかけに僕の主張含め、生き物と人間の関りやそれにまつわる科学について関心が集まるから。何も知らない人は学んだ方がいいし、ヴィーガン思想は間違っているとするなら、反対派も勉強した方がいい。それに、平気で肉を食いながら「狩猟は残酷だー!」とか叫ぶ人よりヴィーガンの方が全然筋が通っている。ヴィーガンが広まっていろんな議論が巻き起こった結果、世界がヴィーガンだらけになるのか、それとも目の前の肉は動物の死体だってことを今より認識しながら人々は肉を食べるのか、世界がどうなるのか見てみたい。

もう一つは、動物倫理的側面の理論に穴があるとしても、肉食を減らせば環境負荷の軽減や健康の促進につながる可能性が高いからです(念のため補足すると、ヴィーガンは完全菜食なので動物性たんぱく質を減らすどころか一切取りません)。肉食が悪かどうかとは全く別問題で、工場制畜産による環境汚染、肉の過剰摂取を原因の一つとする健康問題はどの道対処しなければなりません。思想全てが正しいと思わなくても、言っていることの一部に正しい側面があるなら、それは受け入れられるべきってのが僕のスタイルです。

ヴィーガン思想をはじめとする動物倫理系トピックは今後も取り上げていきたいと思います。ヴィーガンの方や批判派の方もお付き合い頂けると嬉しいです。

【Writer Profile】



自称サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。2016年から現在の肩書を使って活動。社会人として働きながら、サメや環境問題などについて情報発信を行なっている。水族館ボランティアとしても活動。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化生物学など。

Youtubeでの動画配信や、第3回ソーシャルドリームコンテスト、もうやん文京などプレゼン・レクチャーイベントで登壇。今後、書籍の出版など活動の幅を広げていく予定。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

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