サメの襲撃が過去20年間で2倍になった? 「人食いザメ」というイメージについて!

インデペンデント紙のネット記事で、サメ好きの目を引く記事が掲載されました。

タイトルずばり『Shark attacks double in 20 years across densely populated coastlines』。つまり、人口が密集した海岸地域におけるサメの襲撃事件が過去20年間で2倍になったというのです。

これだけ見るとサメの脅威が海の近くに住む人々を脅かしているように見えますが、実態は異なります。

少し記事の中で興味深い一文を抜き出してみましょう。完ぺきではないと思いますが、僕なりの訳文(解説)もつけてみたので英語の勉強のつもりで読んでみてください。

“With around 100 unprovoked attacks taking place every year, someone is more likely to be struck by lightning or win an Oscar than faceoff against a shark.”

unprovoked attacks」、つまり人間側からサメを刺激したりしていないのに起こってしまう襲撃が毎年100件ほど起こっているが、これはサメ(恐らく攻撃的な状態のサメという意味)に相対してしまう確率が、雷に打たれるかオスカーを受賞する確率より低いことを意味しています。

サメに人が襲われるというのは映画の影響もあり、不謹慎ですが目を引くニュースではあるのでマスコミも取り上げネットでも話題になりやすいです。ただ、ニュースで大きく取り上げられるから心に残ってしまいますが、それは頻度が高いことを意味しません。飛行機事故のニュースは連日ニュース報道されるくらい騒ぎになりますが、飛行機事故より遥かに多くの自動車事故で人が亡くなっています。サメの襲撃もそれと同じですね。

”Most attacks are no more serious than a dog bite, and only around six each year prove fatal.”

ほとんどのサメの襲撃は犬に咬まれる程度のもので、毎年亡くなってしまうのは6人程度である。

もちろん亡くなってしまう6人は残念ですし遺族の方にとっては悲惨な出来事であることは間違いありません。その気持ちを軽んじるわけではないです。しかし、社会全体としてサメを悪者扱いにするには、蚊や犬と比べてだいぶ小さな数字ではないでしょうか。

 

サメよりも多くの死者の原因になっている危険生物であるイヌたちの仲間ポメラニアン(実家のワンコ)

 

”Instead of sharks becoming more aggressive, the increase in attacks across regions like southern Australia and the US East Coast actually reflects the rise in people taking up residence on coastlines and flocking to beaches.”

オーストラリア南部やアメリカ東海岸でのシャークアタック増加は、サメが凶暴化しているというよりも、海岸線に住居を構える人やビーチに押し寄せる人々の数が増加したことを反映している。

つまり、サメの襲撃が増加した理由としては、サメが人間を積極的に襲っているわけではなく、より多くの人が海に行くことで必然的に襲撃件数が上がってしまうだけ。サメと出会って襲われる確率自体は低いけど、サメと人間が出くわす件数そのものが上がれば、絶対数も増えてしまうということですね。

 

前々から僕が、というより僕以外のサメ好きやサメ専門家の方が発信していますが、基本的にほとんどのサメはこちらか刺激しなければ襲ってくることはなく、人を襲って食べてしまう危険のあるサメも、500種以上知られているうちの3~10種程度で、その子達も常に人を獲物として襲っているわけではありません。

サメが潜在的に危険だとすれば、それは野犬、キツネ、シカ、スズメバチ、クラゲ、クジラ・・・などなどあらゆる野生動物に当てはまります。自然の中で生き物と接するときは常に注意が必要です。

サメは確かに怖いときもありますが、実に美しく洗練された生き物だと思います。このような生き物の見方が社会で、世界で、早く変わって欲しいと願うばかりです。

今回紹介したインデペンデント紙の記事の全文はコチラ

 

【Writer Profile】



サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。2016年から現在の肩書を使って活動。社会人として働きながら、サメや環境問題などについて情報発信を行なっている。水族館ボランティアとしても活動。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化生物学など。

Youtubeでの動画配信や、第3回ソーシャルドリームコンテスト、もうやん文京などプレゼン・レクチャーイベントで登壇。今後、書籍の出版など活動の幅を広げていく予定。

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shark.sociology.ricky@gmail.com

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