胎盤を作るサメの観察会!シュモクザメの生殖を学ぶ静岡合宿!

9月は三連休が2回ありますが、1回目はシャークジャーナリスト沼口麻子さん主催の静岡サメ合宿に参加してきました!

今回はシュモクザメの子宮内にいる胎仔を観察するという極めて貴重な体験をすることができました。

前提知識のない方のために簡単に解説すると、サメは6割が胎生、4割が卵生で子供を産みます。胎生の中でも母胎の中で無精卵や兄弟を食べる卵食型、胎盤を作る胎盤型など様々なタイプがいて、シュモクザメを含む多くのいくつかのメジロザメの種は胎盤を形成します。

今回は約2.8mほどのシュモクザメの子宮を切り開き、中に胎仔が何尾いるのか、どのような状態になっているのかを観察させていただきました。

凍って固まってしまったアカシュモクザメの子宮

ちょっと分かりにくいですが、サメの卵巣、卵殻腺、輸卵管、そこから発達した子宮部分は左右に1つつずつあります。写真だと二つの子宮がくっついて丸まってしまっている状態です。

この子宮を徐々に切り開いていきます。

解凍しながら切り開くと、徐々に胎仔が見えてきました。

ちなみにアカシュモクザメの胎仔は全て尾鰭から産まれるそうです。そのためか、子宮に入っていた胎仔たちの向きが綺麗に揃っていました。

そしてついにアカシュモクザメの胎仔を取り出していきます。

死んでしまったのを前にしてこれを言うのも変ですが、可愛いです・・・。全長50cmもないミニチュアサイズのシュモクザメたちが沢山入っていました。

胎仔の胸鰭あたりから伸びている細長い管がへその緒です。卵膜(サメを包む膜)や小部屋のようにサメを分ける膜などがあってかなりごちゃごちゃしていたように感じましたが、このへその緒で母胎とつながっていました。

胎仔だけ外すとこんな感じです。

シュモクザメのへその緒は哺乳類のものと異なり、卵黄の袋(外卵黄嚢)が変化して胎仔から母胎の子宮壁にくっついて形成されます。胎仔についていた袋が変化して伸びていき子宮の壁にくっつき、そこから栄養が子供に送り込まれる。産まれるときにへその緒は切れてしまい、母胎の中に吸収されるそうですが、一体どのような仕組みでそうなるのか、生命の神秘を感じずにはいられません。

 

ちなみに、シュモクザメが胎生だということを初めて知った方からたまにいただく疑問が「産むとき痛くないのか?」です。確かにこのハンマーヘッドを小さい穴から産むのはかなり大変そうに思えます。

実際にサメがどの程度「痛み」という情動を伴う侵害受容を行っているかは定かではありませんが、シュモクザメの産むの大変そう問題は、産まれてからしばらくするまで胎仔の頭はかなり柔らかいという方法で解決されています。

胎仔の頭を触っている様子。

この写真だとちょっとちょっと分かりにくいですが、骨があるとは思えない曲がり方をしました。今回のイベントで摘出した胎仔を一部持ち帰らせていただいたので、近いうちYouTubeでより詳細に紹介できればと思います。

 

さて、子宮の中にどれだけの赤ちゃんが入っていたのか?一応数えておきましょう。

左右合わせて子宮で29尾入っていました!!子供と言ってもそれなりのサイズがある仔ザメたちをこれだけお腹に入れて栄養も与え続けるとは、解剖しておいてこれ言うのもアレですが、母は強し・・・。

ちなみにこのサメの赤ちゃん達、実は父親は何尾かずつ異なっているはずです。胎生のサメはネコ(ネコザメではなく哺乳類の猫)と同じく、複数の雄の子供を一尾の雌が妊娠します。

どれくらい父性遺伝子があるのかは個体によりますが、もし発見される父性遺伝子の数が少なかったりすれば、資源量が減少している可能性のでは?と推測することもできるので、かなり重要な研究です(実際にどの程度の指標になるかは研究者により意見が分かれると思います)。

ちなみにシュモクザメとは別にクロトガリザメ(Carcharhinus falciformis)の子宮も観察しました。単なる冷凍具合の問題ですが、こちらの子宮の方が構造が分かりやすかったです。

左右(写真だと上下)に分かれている大きな袋が子宮です。子宮から見て左側に見える小さな袋のようなものが卵殻腺で、ここで受精が行われ、卵殻や卵膜に包まれます。

子宮の中でへその緒がつながった胎児たち。卵膜に包まれた胎児たちは、膜のような仕切りで分けられて、みんな同じ方向を向いて育つようです。

僕がもし本格的なサメの研究者になるのだとしたら、生殖について学びたいですね。サメの生殖様式は多様でまだ分からないことも沢山あるので、その謎に切り込んでいくのは実にエキサイティングだと思います。

今度やるイベントでもサメの生殖について解説したりする予定なので、興味のある方はぜひご参加ください!

よろしくお願いいたします!

<イベント告知!>
水族館での楽しみ方というテーマに沿ってサメの生態などを解説するトークイベントを行います!ぜひお越しください!

第33回八王子ネイチャートーク
「サメがいる水族館を10倍楽しむための講義」

日時:10月5日(土)16:00~17:30
会場:nature cafe Hidamari
住所:東京都八王子市中町7-10 紅洋ビル5F
TEI:042-621-0292

参加費:一般:2000円 学生:1000円 小学生以下:無料

人数に限りがございますので,予約の上ご参加くださるようお願いいたします。
予約はcafe@liferbird.comまでお願い致します。

 

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