オナガザメとは何者なのか? 全長の半分ほどにも達する長い尾鰭の秘密を簡単解説!

あなたはオナガザメというサメをご存知でしょうか?



こんな感じのサメなんですが、インパクトのある見た目ですよね。全長の半分くらが尾鰭というとんでもない姿をしています。

今回はこのオナガザメの仲間や、なぜこんなに尾鰭が長いのかを簡単解説していきます。

目次:
【オナガザメの種類】
【なぜ尾鰭が長いのか】
【オナガザメは危険なのか?】  


 【オナガザメの種類】
オナガザメは尾鰭の上葉が全長の半分くらいを占めるという見間違いようのない姿をしています。名前は見た目のまま、尾が長いのでオナガザメです。

ただこのオナガザメ、実は3種いるというのはご存知でしょうか。

オナガザメの仲間はホホジロザメやシロワニと同じネズミザメ目の仲間ですが、その中のオナガザメ科というグループに分類されます。オナガザメ科は3種だけ現在確認されていて、それぞれマオナガ(Alopias vulpinus)、ハチワレ( Alopias superciliosus)、ニタリ(Alopias pelagicus)と言います。

ちなみに、最初に貼った写真はマオナガです。

僕が描いた3種それぞれの絵です。上からマオナガ、ハチワレ、ニタリです。

ハチワレは目のあたりから鰓孔にかけて大きな溝があることが特徴で分かりやすいのですが、マオナガとニタリはかなり似ています。実際には見分けるための違いがあるのですが、かなり難しいです。実際ニタリは「マオナガに似ている」からニタリだそうです。

一応マオナガとニタリの見分け方はいくつかああります。

・歯の形状が異なり、歯の大きさはニタリの方が小さい。

・尾鰭の欠刻から先の尾鰭がマオナガでは尻鰭より大きく、ニタリでは尻鰭とほぼ同じくらい。

・輪切りにした時の血合いの位置が異なる。

並べてみて分かる通り、捕まえてじっくり観察しないと分からないような特徴ばっかりです。一応体色も違っており、マオナガは胸鰭のあたりに白い模様が入る(ニタリは白い体色は腹面にとどまる)という見分け方もありますが、こちらも光のあたりかとかで見え方が異なるので、水中ですぐ見分けろというのはなかなか難しい気がします。

マオナガの体。腹部の白い模様が胸鰭のあたりまで広がっています。

 

マオナガの尾鰭欠刻より先の部分と尻鰭サイズの比較。


僕が描いたイラストでは色の特徴をあえて際立つようにしていますが、実際はもっとメタリックな色合いかグレーな感じです。


  【なぜ尾鰭が長いのか】
一体何故こんなに尾鰭が長いのか。普通のサメでは尾鰭の占める割合が全長の4分の1か5分の1くらいですが、オナガザメの尾鰭は3種とも半分くらいあります。しかも尾鰭の付け根が結構太くなって筋肉が発達し、尾鰭の付け根には目立つ凹みがあります。

マオナガの尾鰭付け根部分。かなり太くなっていて、特徴的な凹みがあります。

実はこの尾鰭、獲物を叩いて捕まえるために使う武器の役割をもっているんです。

オナガザメは沖合や外洋を泳ぎ回るサメで、ハチワレが深海域にも現れることもありますが、共通して広い海を泳いでいます。

そうした広い海で獲物の魚を見つけたオナガザメは、その群れに突っ込んでいくんですが、突然、頭と胸鰭を思いっきりさげてブレーキをかけます。その勢いで長い尾鰭を思いっきり振り上げます。



その尾鰭にたたかれて気絶したり絶命したりした魚をパクッって食べちゃうんですね。群れの魚を一気に仕留めることができるので効率がいいのだと思われます。



実際の映像とか見ると、鞭か剣を振り下ろすような感じでかなりカッコいいです。気になる方は「thresher shark hunting」などで検索すれば映像が見つかるのでぜひ見てみてください。 

こうした狩りの方法のためか、オナガザメの目はすごく発達しています。

サメという名前がそもそも狭目、つまり目が小さいことからついたのでは、という説があり、実際多くのサメの目が小さいと思うのですが、オナガザメはマグロみたいな大きな目玉を持っています。

マオナガの目。つぶらで大きな目をしています。

 

ニタリの目玉です。

泳ぎ回る獲物に尾鰭を当てるとなるとかなり正確に狙う必要があります。しっかりと小魚に狙いを定められるように大きな目をしているわけです。

ちなみにこんな狩りの方法をするので、オナガザメがはえ縄などで混獲されるとき、尾鰭の方が針にかかっているということがよくあるそうです。

【オナガザメは危険なのか?】
オナガザメの中で一番大型のマオナガは4m近くに達します(最大6mと言われています)。これだけ聞くとかなり大きいイメージですが、先ほど言った通り全長の半分は尾鰭なので、体自体はそこまで大きくありません。

また、オナガザメは総じて口と歯がかなり小さいです。。僕はマオナガとニタリの顎骨標本を作りましたが、大きさの頭を除肉していくうちに頭がどんどん小さくなっていき、「思ったより小さいな笑」っと感じたのを覚えています。

もちろん体の大きなサメがぶつかってきたりしたら危ないですし、尾鰭の攻撃は魚をたたき殺すだけの威力があるので、ないとは思いますが襲われた危険になる可能性はあります。

ですが、オナガザメが積極的に人を襲ったり食べたりというのはまずありえないと言っていいでしょう。    

 

 

今回の紹介はここまでとなりますが、今後もこうした面白いサメたちを紹介していくので、引き続きよろしくお願いいたします!



今回の記事はYouTubeにアップした以下の動画の内容をもとにしています。YouTubeのチャンネル登録もぜひよろしくお願いいたします!


【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。2016年から現在の肩書を使って活動。社会人として働きながら、サメや環境問題などについて情報発信を行なっている。水族館ボランティアとしても活動。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化生物学など。

Youtubeでの動画配信や、第3回ソーシャルドリームコンテスト、もうやん文京などプレゼン・レクチャーイベントで登壇。今後、書籍の出版など活動の幅を広げていく予定。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ! shark.sociology.ricky@gmail.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です