外来種の基本を解説!正しい定義やよくある勘違いも紹介!

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

いつもサメや特定の生物を取り上げていますが、今回はもっと広いテーマを紹介します。

今回のテーマは「外来種」です。よく聞く言葉だとは思いますが、色々誤解されているようなので、なるべくわかりやすく、しかし詳細に解説していきます。

 

目次:
【外来種とは】
【よく聞く誤解】
【侵略的外来種】
【外来種による影響】
【外来種への対策】
【外来生物は外来種と同じ?】

 

 

【外来種とは】
そもそも「外来種」とは何か。言葉の定義から確認していきましょう。

外来種とは「元々その地域にいなかったのに、人間の活動によって別の地域から入ってきた生物」です。これは意図的かどうかや移入時期は関係ありません。食料や加工品の原料、ペットなど様々な用途で持ち込まれた生物全般が含まれます。

ちなみに、人間が品種改良した生物も当然もともとその地域にいなかった生物です。したがってイヌやネコも外来種に含まれます。

ネットで話題の絶えない猫ですが、定義からしても明確に外来種です。

逆に、「人間が持ち込んだ生物」が外来種なので、自力で他の地域に移動する渡り鳥たちや地球規模で回遊するホホジロザメ、それに海流や風に運ばれて生息域を広げる植物や昆虫などは外来種ではありません。

一応つけくわえておくと、外来種の対義語、つまりもともとその地域に住んでいた、あるいは人間活動以外の方法でその地域に住み着いた生物を「在来種」と言います。

 

【よく聞く誤解】
この「外来種」という言葉はだいたいの人が聞いたことあると思いますが、言葉の意味を誤解している人がかなり多いです。なので、ここではよくある誤解を3つほど取り上げます。

<よくある誤解1:海外から来た生物>
外来種=海外から来た生物だと思っている人が多いように感じます。確かにマスメディアで取り上げられる生物は海外から来た生物が多いですが、「国内外来種」と言って、国内の別の地域から人間の活動でやってきた生物も外来種に含みます。

例えば、長野県で捕まえた昆虫を東京に持ち帰って逃がしてしまった場合、その昆虫も外来種という扱いになります。

<よくある誤解2:人間も外来種>
外来種の問題を論じるときに「人間こそ最悪の外来種」という発言をよく耳にしますが、「自力ではなく人間の活動によって運ばれた生物」が外来種です。なので、お猿さんの仲間として進化して自分で生息域を拡大した僕たち人間は外来種ではないです。

<よくある誤解3:外来種は悪者>
これもマスメディアなどの影響だと思いますが、「外来種=悪者」と考える人が多いですが、これも間違いです。

まず、全ての外来種が移入先に適応できるわけではないです。むしろいきなり違う環境に連れてこられてしまうので子孫を残せず死んでしまうものが多いです。また、イネや野菜の仲間のように僕たちの生活に欠かせない外来種も多くいます。

これからお話しするように問題になっていて対処が必要な外来種もいますが、彼らが悪者というわけではないです。なぜか「外来種」を侮蔑的・差別的にとらえるよく分からない人たちがいるのですが、言葉の定義からしてそんな意味はないです。

 

 

【侵略的外来種】
外来種は悪者ではないという話をしましたが、移入先で問題になっている外来種がいるのもまた事実です。こうした外来種を「侵略的外来種」と呼びます。

具体的に言えば、その地域の生態系や人間社会に影響を及ぼす危険性のある生物を指します。メディアで主に取り上げられるのはこの侵略的外来種たちです。

テレビによく出る侵略的外来種のワニガメ(北米原産)

何度も言うように彼らが悪なわけではないです。確かに駆除や殺処分を含めた何かしら対処が必要です。しかし、彼らは何か目的や意志をもって生物多様性を破壊しようとしているわけではなく、連れてこられた環境で生物として当たり前のことをしているだけです。逆に言えば、彼らに悪気がないのは当然なので「外来種が悪いわけではないから駆除しない」というのも前提がずれています。

そもそも悪とか罪というのは人間が社会秩序を維持するために作ってきた虚構の概念なので、安易に人間以外の生物に使うべきではないと僕は思います。

 

【外来種による影響】
侵略的外来種が与える影響をグループ分けすると以下のようになります。

まず生態系への影響と人間社会への影響の2つに大きく分け、さらに細かく5つに分けてみました。これは環境省のHPなどをもとにした僕なりの分け方なので絶対ではないですが、整理しやすいと思うので順番に見ていきましょう。

<生態系への影響1:捕食>
これは割とイメージしやすいと思います。外来種が在来種を食べまくってしまうことです。

その地域の生物はその地域の他の生物と渡り合って生き残ってきました。なので、全く違う生態の生物が現れて急速に増えると在来種は対処できないことがあります。人間に例えるなら、剣とこん棒だけで戦っていた中に、急に銃を持った集団が現れて暴れまわる感じです。

こうして急に現れた外来種が在来種をどんどん食べてしまい、在来種数を減らして絶滅してしまう危険もあります。捕食の代表的な例としてはブラックバスやブルーギルがあげられます。

 

<生態系への影響2:競合>
仮に在来種を食べつくさなくても、在来種が食べる餌や生活環境を争うことで、生態に影響を与えてしまう外来種がいます。今までいなかったライバルが急に現れるので、在来種が飢える確率や子孫を残せない確率が高くなってしまうのです。この競合の例としてはオオタナゴなどがあげられます。

また、競合とは少し違いますが、外来種が他の地域から伝染病や寄生虫を持ち込んでしまい、在来種が死滅してしまう危険性もあります。これは「感染」などのカテゴリーで他の影響と合わせて問題視されています。

 

<生態系への影響3:遺伝子攪乱>
これは捕食などと比べるとだいぶイメージしにくいと思いますが重要です。簡単に言えば、外来種が在来種と交雑して雑種を作ってしまうという問題です。

これの何がよくないのか。簡単に例をあげてみます。

・産まれた雑種が不妊になる
雑種の多くは子孫を残せません(難しい言葉で「稔性を持たない」と言ったりします)。これなら外来種が拡大しないので一見被害がないように見えますが、在来種が子孫を残すために使った時間やエネルギーが無駄になってしまいます。希少種であればこれだけで絶滅の原因になりかねません。

・産まれた雑種がこれまでない形質を獲得する
近縁の在来種とは異なる形質(体が大きい、寒さに強いなど)を持った雑種が産まれた場合、その雑種が在来種と競合して生態系に影響を与える可能性があります。

・地域ごとの遺伝子多様性が失われてしまう
雑種の遺伝子がどんどん在来種と交わることで拡大し、純粋な在来種が実質消滅してしまう危険があります。似た姿の個体が生き残っていても、それは決して元の種ではなく遺伝子的には絶滅してしまっているのです。一般には認識されずらい問題点ですが、生物多様性を保全するには対処すべき事象です。

 

生態系への影響をまとめると以上のようになりますが、人間社会への影響もありますのでそちらも紹介していきます。

 

<人間社会への影響1:人的被害>
これは単純に人間が攻撃されたりして危ないということです。カミツキガメ、セアカゴケグモ、近年話題のヒアリなどがイメージしやすいですね。噛みつかれたり毒を注入されるなどして人間が危ない目に合うので対策が必要になります。

 

<人間社会への影響2:産業被害>
外来種が畑を荒らしたり家畜を襲ったり、ものを壊すことを指します。直接人間が襲われるわけではないですが、被害総額を考えれば深刻な影響だと言えます。

農作物を荒らす、住居に親友するなど様々な被害を起こすアライグマ。可愛い顔をしていますが非常に厄介な外来種です。

 

 

【外来種への対策】
これまでに挙げたように外来種の一部は生態系や人間に深刻な被害をもたらすので、対策が必要になってきます。

環境省では「外来種予防三原則」として以下をあげています。

入れない
悪影響を及ぼすおそれのある外来種を自然分布域から非分布域へ移入させない

捨てない
飼育・栽培している外来種を適切に管理し、外に放したり捨てたりしない

拡げない
すでに野外にいる外来種を他地域に拡大させない

こうした取り組みで外来種による被害を減らすことができますが、残念ながら日本には数々の侵略的外来種が存在し、その一部は全国的に拡大してしまっています。その場合は、これ以上拡げない・被害を増やさないために駆除、つまり殺すことも時に必要になります。

何度でも何度でも言いますが、侵略的外来種にも罪はないので「駆除するのはかわいそう」という気持ちは分かります。しかし、罪はないけど人間や生態系に害があるのは事実です。また、人間の都合で駆除するのが可哀想というなら、人間の都合で勝手に天敵や競合相手を移入された在来種たちもかなり可哀想です

「命」とか「可哀想」という言葉で反対するのは簡単ですが、それだけでは何の解決策にもなっていません。僕たちが起こしたことは僕たちが対処すべきです。

ただ、かわいそうな外来種を生まないために僕たち一般人にもできることがあります。

先ほどの三原則を守ると言えばそれまでですが、一番身近な取り組みを挙げます。それがペットや捕まえた生き物を絶対に捨てないということです。

ペットを捨てるのは論外です。飼育したペットはその子が死ぬまで飼ってください。無理かもしれないと思ったらそもそも飼わないでください。

もしペットを飼うときは

・どれくらいお金がかかるのかという費用面

・必要なスペースや環境などの設備面

・その子の成熟サイズや寿命などの生態面

この3つを必ず把握して、最期まで飼いきる覚悟を持って飼ってください。

捨てられたらペットはたいていが死んでしまいますし、生き残っても外来種として先にあげたような問題を起こします。厳しいことを言うようですが、ペットの遺棄は環境破壊であり反社会的行為です。絶対にやめましょう。

もちろん外来種が産まれてしまう理由は輸送貨物に紛れるなど他にもたくさんありますが、僕たちが自主的に取り組めることの第一がペットを飼いきることなのではないでしょうか。

 

【外来生物は外来種と同じ?】
外来種や侵略的外来種と紛らわしい言葉として「外来生物」と「特定外来生物」があります。

外来生物は簡単に言えば国外外来種とぼぼイコールで、日本国外から来た外来種を指します。

そしてこの外来生物のうち、明治以降に移入された種で、生態系や人間社会に被害を及ぼす、つまり侵略的になり得る種の一部が「特定外来生物」として規制対象になっています。例をあげるならブラックバス、アライグマ、カミツキガメなどです。最近だとアリゲーターガーをはじめとするガー科の魚も特定外来生物に指定されました。

ガ—の規制についてはこちらが分かりやすいです。

これらの生物を許可なく飼育・売買・放流・生きたまま運搬することは犯罪行為として罰せられます。こうした規則を定めた法律が外来生物法です(正式名称は”特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律”)。

外来生物法について詳細はコチラ↓

 

ここまで読んで用語の意味などが混乱している人もいると思うので以下のようにまとめます。

外来種の中には国内と国外のものがいて、国外外来種は外来生物とほぼイコールです。全ての外来種が問題を起こすわけではないですが、一部は生態系や人間に被害を及ぼします。そして、国外由来で侵略的な外来種のいくつかは特定外来生物として法律で規制されているわけです。

この辺の認識が欠けていると、「明治より前に定着しているから●●は外来種ではない」などの勘違いしたりします(実際Twitterではよく見かけます)。最悪の場合、特定外来生物の扱いを間違って犯罪者になりかねないので十分気を付けてください。

 

【まとめ】
以上が外来種の紹介でした。内容が長くなってしまったので要約します。

・外来種はもともとその地域にいないのに人が移入させてしまった生物である

・外来種は悪者ではないが、中には生態系や人間社会に被害をもたらす侵略的なものもいる

・その中でも特定外来生物は法で規制されていて飼育や売買などは原則禁止

・外来種問題は複雑だが、一般人ができる取り組みはペットを責任もって死ぬまで飼いきることである

グローバル化した世界において、すべての外来種を完全になくすことはおそらく無理です。生態系そのものも変化していきます。

しかし、犯罪がなくならないから警察も司法もいらない、なんてことがないように、大惨事にならないように、変わる世界の中でも守っていなければならないものを守るために、できることがあると僕は思います。

 

今回の記事は先日アップしたYouTube動画で話した内容をもとに書いています。普段は海の生き物が中心ですが、こうして環境問題の発信も行っているので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

 

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

社会人として働きながら、サメの生態や環境問題などについて情報発信。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化生物学など。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、Youtube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇、水族館ボランティアなどで活動。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

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