日本人が知っておくべきヤバい外来種

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は前回の記事で解説した「外来種」の具体例を挙げて紹介します。

前回の記事はこちら↓

一応おさらいします。外来種とは「意図的かどうかに関わらず、また、移入時期に関わらず、人為的な理由で元の生息地から移動してきてしまった生物」を指します。外来種そのものに関しての詳しい説明は前回の記事でしているのでまだ読んでいない場合はチェックしてみてください。

今回はそんな外来種の中でも、人間の活動や生態系に影響を与える侵略的外来種で、特に日本人に身近でかつ厄介な生物を5つほどご紹介していきます。

ちなみに、僕があんまり植物詳しくないので今回扱うのは外来「動物」です。予めご了承ください。

 

目次:
【ブラックバス】
【ウシガエル】
【ミシシッピアカミミガメ】
【アライグマ】
【ノネコ】
【まとめ】

 

 

【ブラックバス】

ブラックバスはあまりにも有名で侵略的外来種の代表格です。この名前は特定の一種を指す言葉ではなくオオクチバスやコクチバスなどの一部のバスの仲間を指す総称です。

ブラックバスは30~60cmほどになる北米原産の淡水魚で、1925年に食用として赤星鉄馬氏が神奈川に放流されました。ですが食用魚として根付くこともなく、当初はそこまで拡大していませんでした。

しかし、1970年代ごろから急速に拡大を広げ、今では日本のいたるところで見られるようになりました。

これは当時流行したルアーフィッシングブームの影響で、釣り人に人気なブラックバスが意図的に、そして恐らく組織的に放流がされたのではないかと思われます。

ブラックバスの一番の問題は「捕食」です。食欲旺盛で魚、甲殻類、カエル、イモリ、昆虫など、口に入るあらゆるものを食べるので、数多くの在来生物が餌食になります。

実際に宮城県などではオオクチバスの侵入が確認されたあと、在来の魚が激減したり確認出来なくなるなど、多大な影響が出ています。

また、ブラックバスは2000~10万以上の卵を産み、しかも親が巣をつくって卵を守る習性があるので、一度繁殖してしまうととんでもない数に増えてしまう危険があります。

こうしたブラックバスの生態そのものも十分に厄介ですが、ブラックバスは駆除を妨害する勢力がいるという点でも厄介です。

バス釣りを楽しみたいという一部の釣り人やバス釣りブームで利益を得ている企業や財団法人が

「バスは在来種を食べつくさない」

「バスよりも開発の方が在来種に影響している」

「バス釣りの経済効果を考えろ」

などの主張を展開してバスの駆除や規制に反対することがあります。これらのほとんどが事実の捻じ曲げや論点のすり替えです。外来種と侵略的外来種の区別ができていない、ブラックバスによる在来種の被害が明確に出ているのに「出ていない」と嘘をつくなど、はっきり言って目も当てられないほどお粗末なものが多いです。

ブラックバスは特定外来生物に指定されているので生きたままの運搬や放流は犯罪です。しかし、今でもバスの密放流が行われていると思われ、実際に2000年には摘発された事例もあります。

こうした社会事情も考えると、ブラックバスはかなり厄介な外来種と言えそうです。

 

 

【ウシガエル】

ウシガエルはアカガエル科に属するカエルで、アメリカ東部やカナダ南東部などが原産です。大きさは11~18cmで、カエルの中では大型種です。実際日本にいるどのカエルよりも大きく、アメリカでもトップクラスのサイズです。

その鳴き声が「ウーウー」と牛っぽいことから名前がついたウシガエルは、ブラックバスと同じように食用で持ち込まれました。確かにカエルは鶏肉みたいで美味しいですからね。

ただ、持ち込まれた個体が野生化してしてしまい、「捕食」の被害をもたらしています。ウシガエルは口に入るものなら昆虫はもちろん魚や他のカエルも食べてしまう食欲旺盛なカエルです。

また、カナダにも生息していることから分かるように寒さにも耐性もあるようで、北海道から沖縄にいたる日本各地に拡大しています。

ウシガエルは先ほども言った通り美味しいので捕獲して食べるということで駆除しつつ有効活用できますが、この子たちも特定外来生物なので、持ち帰る際は必ずその場で締めるようにしてください。

 

 

【ミシシッピアカミミガメ】


ミドリガメという名前の方がなじみがあるかもしれません。また、僕くらいの年齢の方なら縁日のカメすくいなどで見たことあると思います。

ミシシッピという名前からも分かるようにアメリカと南部やメキシコ北東部が原産のカメですが、1950年代ごろにペット用として大量に輸入されました。

名前の「アカミミ」は東部の両端に赤い模様があるから、愛称の「ミドリガメ」は小さい頃は体が割とはっきりした緑色だからという理由でつけられました。

数十万から数百万匹という単位で輸入されたミシシッピアカミミガメは、かなり安価な値段で売られていました。サイズも最初は小さいので金魚感覚で飼育を始める方が多かったようです。

ですが、大きくなると甲羅の大きさだけで20~30cmほどにまで成長し、寿命もうまくすれば40年以上生きることから、飼いきれなくなった人が逃がしてしまい、日本全国に分布が拡大したと思われます。

ミドリガメがもたらす影響は「競合」と「捕食」です。在来種のカメと日光浴する場所を争ったり、在来の生物や他のカメの卵を食べてしまいます。

捨てられた外来種のすべてが日本の環境に適応するわけではないですが、ミシシッピアカミミガメはニホンイシガメの倍の数の卵を産み、半分の期間で産卵可能になり、さらに寒冷地でなければ汚い水でも適応できることもあって、全国各地でかなりの数が確認されています。

特定外来生物にこそ指定されていないですが、対策が急がれる外来種ですので、今飼育しているという方は、絶対に、絶対に、絶対に捨てたりしないようにお願いします。

 

【アライグマ】

可愛い顔をしていますが非常に厄介なのがこのアライグマです。

元々は愛知県の動物園から逃げ出した個体が最初の野生化だと言われていますが、後にテレビアニメ「あらいぐまラスカル」の影響でペットブームが起き、その後飼いきれなくなって捨てられたものが繁殖・拡大してしまったと推測されます。

アライグマは見た目だけ見るとめちゃくちゃ可愛いですが、成獣は気性が荒く、とても一般人がペットできるような生物ではありません。

アライグマが起こす被害は甚大です。ざっとあげるだけでも以下のような問題を引き起こします。

・在来のあらゆる生物を食べてしまう「捕食」

・在来の哺乳類と食べ物などを争う「競合」

・攻撃的な性格から人やペットを攻撃したり狂犬病を媒介する「人的被害」

・畑を荒らす、鶏地や養殖魚を食い殺す「産業被害」

当然特定外来生物に指定されているので許可のない飼育や生きたままの運搬も許されません。しかし、ここまで多方面への被害があるにもかかわらず、可愛いその容姿からか駆除や殺処分に反対する声もあり、そうした事情も踏まえるとより一層厄介な存在だと思います。

 

【ノネコ】


ネコが外来種であるということを知らない、あるいは認めないという方が多いので一応言っておきますが、ネコは明確に外来種です。環境省の侵略的外来種のリストなどにも掲載されています。

国立環境研究所の侵入生物データベース↓

環境省のノネコに関する紹介↓

僕たちが日常的にネコと呼ぶ動物はリビヤヤマネコなどを品種改良して人為的に作られた家畜であり、日本固有種であるイリオモテヤマネコとツシマヤマネコを除ければ全てのネコが外来種です。

そしてノネコはこれまでのリストの中でもかなり厄介な生物です。

ネコの最大の問題は「捕食」です。捕食能力が高いネコは素早い動き、ジャンプ力、前足の爪と牙を使い鳥類や小型哺乳類などあらゆる動物を捕食します。

さらに、ネコはいわゆる「遊び」で他の動物を殺すこともあります。外に放たれた飼い猫が他の動物を殺して持ち帰るという行動は学術的な調査や一般人の証言を含め数多くが知られており、数多くの動物が犠牲になっています。

また、多くの方がご存知のようにネコは繁殖能力が高いです。ネコは非常に若い年齢で生殖可能になり、しかも非常に多くの子供を出産します。

もし島などにネコが持ち込まれればもうその島の生態系は絶望的です。実際に海外ではネコが持ち込まれたことで島の固有種が絶滅した例もあり、日本でもアマミノクロウサをはじめとする固有種を保全するうえでネコは深刻な問題になっています。

そしてある意味一番厄介な問題はネコが可愛いことです。

皆さんご存知の通りネコはめちゃめちゃ可愛いです。しかも壮大な生物全体の歴史では新参者ですが、人間の歴史感だとかなり前からいた動物なので多くの人に親しまれています。これもあってネコが侵略的外来種である、外に出してはいけない動物ということを主張してもなかなか同意を得られません。

可愛くてペットや日常風景として愛されているネコを「駆除しよう」なんて言い出したら大変です。

「猫ちゃんは悪くない」

「虐待だ!殺戮だ!」

「猫ちゃんは外来種ではない!」

「猫ちゃんも命!」

など感情的な大批判にさらされることは間違いないです。実際この記事のもとになる動画には低評価とネコ教信者とも言うべき人たちからの支離滅裂なコメントが寄せられました(それでも高評価の方が多いのでありがたい限りです)。

中には「〇〇は大規模な殺処分計画を実施している」とか「猫を駆除することで利権が動いている」などデマや陰謀論まで発生し、ネットノネコ界隈は非常に面倒くさいことになっています。

生物多様性への影響が甚大であるにもかかわらず駆除や捕殺の理解が社会から得られないネコは、ある意味もっとも厄介な史上最強最悪の外来種と言えるかもしれません。

 

 

【まとめ】
今回は侵略的外来種のほんの一部を紹介しました。前回の記事でも話した通り、外来種=悪者ではありませんが、侵略的外来種が生態系や人間社会に影響及ぼすことは事実なので、しかるべき対処が必要です。

侵略的外来種は様々な要因で生まれてしまいますが、今見てきたように数々の外来種がペット由来で生まれてしまっています。

不幸な外来種を僕たちが生まないためにも、

・ペットを絶対に最期まで飼いきる

・飼いきれないペットは最初から飼わない

・外飼いなどの無責任な飼育をしない

上記のような飼育者責任を徹底していきましょう。

 

今後もこのように環境イシューの紹介をしていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

社会人として働きながら、サメの生態や環境問題などについて情報発信。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化生物学など。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、Youtube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇、水族館ボランティアなどで活動。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です