サメとイルカの違いは何?素朴な疑問を徹底解説!

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は水族館の人気者であるサメとイルカについて紹介します。

サメとイルカ、シルエットは似ていますが、一体何が違うでしょうか。

生き物に少し詳しい方なら「サメは魚類でイルカは哺乳類」と言ってくれると思いますが、今回はもう少しディープに解説していきますのでよろしくお願いします。

 

目次:
【外見上の違い】
【進化から考える違いの理由】
【進化はやり直しができない】
【何故サメとイルカは似ている?】
【まとめ】

 

【外見上の違い】
見た目ですぐ分かるサメとイルカの違いは二つあります。それが尾鰭とエラです。

まず尾鰭について、サメの尾鰭は体に対して垂直になっていて左右に動きます。

サメの尾鰭は体に対して垂直

サメ映画とかでよく水面にサメの背鰭が出ていて「サメだー!」と叫ぶシーンがありますが、尾鰭が縦になっているので、背鰭があれぐらい出るときはたいてい尾鰭も一緒に出ていたりします。

対してイルカの尾鰭は体に対して水平についており体を上下に動かして泳ぎます。

イルカの尾鰭は体に対し水平

水泳のドルフィンキックがまさにイルカの泳ぎ方と言えるかもしれません。サメと違って体を上下にしならせるように泳ぎ、尾鰭が水平なので水面でサメのように尾鰭が見えることはありません。。

そしてもう一つの違いがエラの有る無しです。

サメはエラ呼吸をするので、他の魚のように体の側面に鰓孔があります。ただし、いわゆる普通の魚と呼ばれるタイとかマグロなどと違って鰓蓋に覆われていなくて5~7対の切れ込みが入ったような見た目をしています。

サメは体の側面にエラがあります

対してイルカは哺乳類で、鰓はありません。僕たちと同じように空気呼吸をしているため時々水面で息をしなければなりません。

この時に使うのが頭の上にある噴気孔という穴です。水中にいるときは閉じていますが、息をするときに水面から出したこの噴気孔を開いて空気を取り入れます。

イルカの頭の上にある穴が噴気孔。僕らで言う鼻の孔である、ここで呼吸をする。

 

この他にも鰭の数とか歯の形状など違う部分はありますが、一番パッと見て分かりやすい外見上の違いはこの尾鰭とエラだと思います。

 

余談ですが「サメとクジラの見分け方」でも同じことが言えます。そもそもイルカとクジラは大きさが違うだけでほとんど同じグループの生物なので、この辺の特徴は一緒くたに考えて大丈夫です。

 

 

 

【進化から考える違いの理由】
サメとイルカの外見上の違いは分かりましたが、そもそもどうしてこういう違いが生まれるのか。サメは魚類でイルカは哺乳類と言われますが、実はこの分類学上の違いが、先ほど紹介した見た目の違いにつながってきます。

これを理解するには彼らの進化の道筋から理解した方が良い気がするので、そこから説明していきます。

サメもイルカも僕たち人間も「脊椎動物」と言われるグループにいます。ざっくり言えば背骨をもっている動物です。難しい言葉だと脊索動物門・脊椎動物亜門というグループに分類されます。

この脊椎動物のはじまりが魚の仲間でした。最初はウロコもアゴもないような動物でしたが、段々と進化して様々な魚が生まれます。その魚の一部が軟骨魚類、つまり今のサメたちがいるグループになりました。

一方で肉鰭類という別のグループも誕生します。今で言えばシーラカンスとか肺魚がこの中に入ります。この子たちの一部が鰭を腕のように発達させました。ティクターリクという「腕立て伏せできる魚」が有名です。

ここから色々端折りますけど、この肉鰭類から進化した脊椎動物たちが陸に上がっていき、やがて両生類が誕生します。そこからもっと乾いた環境でも生きていける爬虫類、空を飛べる鳥類、そして哺乳類が生まれます。

その後、恐竜が絶滅してから哺乳類の仲間が繁栄しますが、この哺乳類の一部が何を思ったのか水に戻り始めます。最初は水の中で音を聞きやすい耳をしていたり足に水かきがあったりするくらいでしたが、だんだんワニみたいな見た目になっていき、前足がヒレ状に、そして後ろ足はどんどん小さくなっていきます。

こうして水棲生活に適した姿に進化していった結果、現代のイルカたちが誕生しました。

このように、姿かたちが似ていてもサメとイルカはだいぶ異なった進化を遂げてきました。そしてこの進化の過程で、イルカは魚だったころとは異なる体の構造になりました。具体的に言えば呼吸の仕方と移動の仕方です。

呼吸の仕方は分かると思います。哺乳類になるまでに空気で呼吸するつくりになっていたので鰓呼吸ができません。だから海で暮らしているのに定期的に息継ぎをする必要があります。

そして移動の仕方ですが、魚は尾鰭を左右に振ります。そして両生類や爬虫類も背骨を左右にくねらせながら足を前に出して歩きます。

両生類や爬虫類は体幹から左右に出た足をのしのしと言った感じで動かす。

 

一方で哺乳類は四本の脚を体幹の真下に引き込んだ体形をしています。そして歩く時も四肢の関節を大きく速く屈伸させるので背骨が突き上げられ、左右ではなく上下の運動になります。

馬が走る様子。爬虫類などと異なり四肢が体幹の真下に引き込まれてい、走ると上下運動になる。

 

ここで話をイルカに戻しますが、イルカはもともと四つ足の陸上哺乳類だったので、海に入るときも体を上下に動かす移動方法のままになりました。つまり体を上下にしならせて泳ぐようになったんです。

こうした進化の過程で起きた変化がサメとの違いにつながっていきます。イルカは肺呼吸のまま海に戻ったのでエラ孔がなく頭の上に噴気孔で息継ぎをします。そして、体をしならせて泳ぐためそれに合わせて尾鰭も水平になっていったというわけです。

これは一部僕の推測も交えていますが、進化の道筋を考えると理にかなった説明だと思います。何気ない2種の違いの中にも何億年という歳月の中で起きた進化の歴史が垣間見えるって考えるとなかなかロマンがありますよね。

 

 

【進化はやり直しができない】
ここまで聞くと「なんでイルカは鰓呼吸に戻さなかったのか」そして「そんなに違うのに何故サメとイルカは似ているのか」という2つの質問が来そうなので僕なりに回答しておきます。

最初の質問について、結論から言えば進化はやり直しができないという答えになるかと思います。

生物を作ったのは神ではありませんが、仮にあなたが神だとしましょう。もし「イルカという生物を作ろう」と思ったら、わざわざ肺呼吸の生物を作らないと思います。水中で一生を過ごす動物なのにいちいち空気を吸わないと生きられない構造で作るなんておかしいですよね。水中で息ができるようにするか、水中と空気中どちらでも息ができるように作ると思います。

ですが、進化はこれができないんです。すでにある構造からスタートするしかなくて、外見とか中身を多少変えることができても、呼吸のシステムとか栄養の摂取方法とか、もっと根本的なボディプランは変えられないんです。

イメージしやすいようにものに例えてみます。

例えばこのカメラについて以下の依頼がきたとします。

・水中でも使えるようにしてほしい

・太陽光でも充電できるようにしてほしい

どちらが難しいか問われれば、後者の方ではないでしょうか。

水中カメラにするだけなら水が入りそうな穴をふさぐとか防水ケースの中に入れるとか多分やりようがあると思います。しかし、充電となるとカメラを分解して電池の仕組みから変えないといけません。

イルカの進化も似た感じで、肺呼吸から鰓呼吸へ戻すのはできなかったため、体形や呼吸する穴の位置などは変えて水中生活に適応したのでしょう。

 

 

【何故サメとイルカは似ている?】
では、そこまで進化の道筋の異なる動物の姿が何故ここまで似ているのでしょうか。

これはサメとイルカに限りませんが、生態系の中で同じような生き方をしている生物が分類に関係なく似た特徴や能力を発達させることがあります。

サメとイルカはともに海のハンターとして生きており、魚やイカを捕食するために早く泳ぐ必要があります。そのため、どちらも海で泳ぐのに理想的な体に進化していきました。

水で泳ぐ際は圧力抵抗と摩擦抵抗の2種類の抵抗がかかります。圧力抵抗を減らすには体を細長くするほうが良いですが、細長い体だと相対的な表面積が増してしまって摩擦抵抗が増えてしまいます。この2種類の抵抗をできるだけ抑える理想的な形が流線形や方錐形、涙のしずくやミサイルを思わせる形状です。

つまり、サメとイルカが近い仲間だから似たのではなく、海で速く泳ぐための最適解に別々のルートでたどり着いただけというわけです。

このように、生態系において近い位置にいる生物が系統学的なつながりに関係なく似た特徴や能力を持つように進化することを収斂進化と呼びます。

 

【まとめ】
今回はサメとイルカの外見上の違いから進化について掘り下げて考えてみました。

「サメとイルカの違いは何?」という疑問に答えるだけだと単なるクイズか水族館好きの豆知識みたいに聞こえますが、その背景には何億年という歴史がつまった壮大な物語があります。

今後なにか心惹かれたり不思議に思える生き物に出会った時、どうやって進化してそこに至ったかという視点で見てみてください。

きっと、よりその子のことが深く理解できて生き物について学ぶのが楽しくなると思います。

 

※今回の記事はYouTubeに投稿した動画内容を加筆編集したものです。
YouTubeの方もあわせて応援いただけると嬉しいです。

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

社会人として働きながら、サメの生態や環境問題などについて情報発信。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化生物学など。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、Youtube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇、水族館ボランティアなどで活動。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

 

 

 

 

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