致死率100%?狂犬病を解説!

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回もサメがメインではありませんが、大事な話なのでやらせてください。

 

先日こんなニュースが報じられました。

「愛知・豊橋市で狂犬病発症」

愛知県豊橋市の医療機関を受診した患者が「狂犬病」に感染していたことが分かりました。国内で人が狂犬病を発症したのは14年ぶりの出来事ということです。

ただ「国内発症」と言っても感染したのは国外だそうです。この患者の方は2月にフィリピンから日本に来ていたそうですが、去年9月にフィリピン国内で犬に左足首をかまれ、この時に狂犬病ウイルスに感染したとみられています。

ニュースの詳細はこちら↓

日本国内で狂犬病が発生したというわけではないですが、これを機に学ぶのアリだと思ったので狂犬病というものについて今回解説したいと思います。

 

目次:
【狂犬病とは?】
【致死率ほぼ100%】
【日本は清浄国】
【サメと狂犬病?】
【予防接種は絶対です】

 

【狂犬病とは?】
狂犬病とは狂犬病ウイルスという病原体によっておこる感染症を指します。

狂「犬」病とついているのでワンちゃんだけが感染源だとたまに誤解している人がいますが、ヒトを含むすべての哺乳類が感染します。

感染経路としては狂犬病にかかった動物に噛まれることで感染することが多いです。この狂犬病ウイルスは神経組織を伝わって唾液腺で増殖するので、噛まれた際に傷口から唾液の中にいるウイルスが侵入します。

動物により潜伏期間は異なりますが、人間であれば1~3か月程度がほとんどです。

発症すると発熱・食欲不振・不安感などに始まり、異常行動・幻覚・痙攣・麻痺などの症状に苦しんだのち昏睡、やがて死に至ります。

 

犬などの動物に感染した場合、興奮状態に陥ってやたらと攻撃的に噛みつきくなどの症状がでるため狂犬病と呼ばれます。また、口のあたりの筋肉が麻痺するなどして涎を垂らしながらむやみに徘徊するようになります。

ウイルスの視点に立てば、唾液を通して感染を拡大させるので、涎を垂らしながらいろんなものに噛みついてもらった方が都合がいいわけですね。

また、狂犬病に特徴的な症状として、水を飲もうとすると体が痛み水分摂取を拒否する・水を怖がるなどの行動があります。これも涎を外に出し続けさせるための症状だと思われます。

英語で狂犬病は「rabies」と呼びますが、今あげたような症状があるために「hydrophobia」とも呼ばれます。ハイドロは水、フォビアは恐怖症という意味です。

 

 

【致死率ほぼ100%】
狂犬病の恐ろしいところが、治療法が存在せず、発症したらほぼ100%死に至るということです。

この「ほぼ」というのは、毎年5万人以上が亡くなるほど多くの人が感染している中、発病してから生き残った人が今まで6人しか確認されていないというレベルの「ほぼ」です。

これは脅しでも誇張でもなく、厚生労働省の公式HPにも「効果的な治療法はない」・「ほぼ100%の方が亡くなります」と明記されています。

厚生労働省HP:狂犬病に関するQ&A↓

つい最近発見されたウイルスで治療法がないのであれば仕方ないかもしれませんが、狂犬病は何千年も前から存在していました。古代の知恵から最新医療まで、あらゆる人間の力をもってしてもまだ克服できていない恐ろしい病なんです。

ただし、ワクチンの予防接種で事前に対策することは可能です。

 

 

【日本は清浄国】
狂犬病がいかに恐ろしいかは分かりましたが、先ほどのニュースは日本では14年ぶりと聞きますし、日本でその驚異を身近に感じることはないですよね。

日本でよく野良猫を触る人いますけど、「狂犬病にかかって死んでしまう!」ってリスクを感じながら触る人はいないと思います(まあ猫は侵略的外来種なのでそもそも外にいちゃいけないんですけどね)。

イエネコ、ノネコ、呼び方はともかく侵略的な外来種です。また、狂犬病のリスクはなくても衛生的な状態ではないのでむやみに触らないようにしましょう。

さあ話を戻しますが、なぜ日本で狂犬病の心配がないかというと、日本では1956年に一人の死亡が確認されて以降、国内で狂犬病が確認されていないんです。

狂犬病による死亡者自体はその後も日本国内で二人出ていますが、2件とも海外で感染した方でした。

こうしたことから日本は狂犬病清浄国と呼ばれます。これは世界的に見ればかなり珍しい快挙です。

先ほど毎年5万人以上が死亡していると言いましたが、実は世界のほとんどの国は未だに狂犬病に苦しんでいます。日本、イギリス、オーストラリアなどごく一部の国々しか清浄国ではないんです。

日本にもかつては狂犬病があり、野犬に噛まれただけで命を落とす人たちが沢山いました。ですが、狂犬病予防法などの対策ができたこともあり、清浄国になれたというわけです。

 

【サメと狂犬病?】
ちょっとここで無理やりですがサメの話を突っ込みます。

よくサメを見ると多くの人が「ジョーズだ」・「人食いザメだ」と大騒ぎしますが、実際に何人の人がサメに襲われて亡くなっているでしょうか。

データにより前後しますが、世界中で年間に1~10人程度と言われています。多くの人の予想より少ないと思います。

多くの人が危険視するホホジロザメだが、死亡者数で言えば微々たるものでしかない。

ではワンちゃんはどうでしょう?

ワンちゃんによる死亡者数は、なんと年間2万5千人にのぼります。

もちろん単純に犬に襲われて失血死のケースもあると思いますが、死者数をここまで跳ね上げている一因が狂犬病です。

冒頭で言った通り狂犬病は全ての哺乳類が感染するため犬以外にもネコ、アライグマ、コウモリなどさまざまな動物から感染しますが、主な感染源はイヌであり、特にアジアではイヌによる感染が多いです。

つまり、犠牲者数で言えばワンちゃんはホホジロザメよりもはるかに人の命を奪っている危険生物と言えます。

何が言いたいかというと「人食いザメ」という言葉でサメだけモンスター扱いするのはかなり極端な見方だということです。サメだけ庇うのもずれているかもしれませんが、この情報で多くの人の視野が広がってくれたらなと思います。

 

 

【予防接種は絶対です】
最後にこの狂犬病について注意喚起なんですけど、ワンちゃんの予防接種は絶対に行ってください。

これは狂犬病予防法で定められた義務で、犬を飼う場合は市町村に犬を登録し狂犬病の予防接種を必ず受ける必要があります。一回だけでなく毎年の接種が義務です。

より詳細な法律内容は下記からご確認ください↓

実家のワンコです。今は一緒に暮らしていませんが、もちろん毎年狂犬病の予防接種は受けています。

これ、普通の飼い主さんなら当たり前なんですけど、恐ろしいことに予防接種を受けさせない人が一部いるそうなんです。

理由としては、

・室内犬だから必要ない

・もう老犬だから

・お金がかかる

・反ワクチンとかいうカルト集団

・なんでワンちゃんだけという疑問

とかがあるらしいんです。

 

これ順番に回答しますが、

・室内犬→いいからやれ

・老犬→いいからやれ

・お金がかかる→年間3000円だからさっさと払え

・反ワクチン→帰れ

もうこれで終わりです。

※老犬、その他病気や健康上の理由で懸念がある場合、獣医師に相談の上、狂犬病予防注射実施猶予証明書を発行してもらうことで免除されることがあります。それでも有効期限は1年なので都度相談および証明書の発行が必要です。

「なんでワンちゃんだけ」という疑問だけ丁寧に回答しますが、これは狂犬病の主な感染源が犬であることが理由です。

今後他の哺乳類ペットも対象にすることはあっても、犬の接種をなくすというのは選択肢としてないと思います。

 

日本は清浄国としての地位を確立しましたが、近隣諸国では依然として狂犬病が蔓延しており、いつ日本に入ってきてしまうとも分かりません。

現に2013年、50年以上発生を防いできた台湾で国内感染が確認されています。

発症がないから予防接種しなくていいといのは、ダイエットに成功したから朝マック・昼ミスド・夜はラーメン次郎にしても平気と言ってるようなものです。一瞬で地球みたいな体形になりますよね。狂犬病もこれと同じで、気を緩めれば状況は一気に悪化する危険があります。

狂犬病の予防接種をワンちゃんにしないことはバイオテロ級の迷惑行為です。しかも、もし発症すれば愛するその子は苦しんだうえで最期を迎えるか無条件で殺処分になります。

 

愛するペットと僕たちの安全のため、予防接種は絶対に受けましょう。

 

以上が狂犬病の簡単な解説でした。

最後に注意喚起です。今回話した内容は厚生労働省HPや獣医師の方の書いた記事をもとにしているので大きな間違いはないと思いますが、命にかかわる問題なので、何か判断する際は担当省庁や獣医師の方にご相談されるようお願いします。

本ブログやYouTubeチャンネルで生き物やそれに関連する問題を解説していますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

※今回の記事はこちらの動画でお話しした内容をもとに加筆修正を加えたものです。YouTubeでの情報発信も行っておりますのでよろしくお願いいたします。


 

 

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

社会人として働きながら、サメの生態や環境問題などについて情報発信。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化など。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、YouTube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇、水族館ボランティアなどで活動。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です