【2020年最新】特定動物とは何か?規則の何が変わったか?

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

 

今回はちょうど今月に入ってルール変更があった「特定動物」について解説します。

皆さんの中にも子供の頃に「ライオンとかトラを飼いたい!」って思った人が多分いると思います。あるいはサメ好きの方なら「サメを飼ってみたい」という夢を持つ人は多いはずです。

そうした危険な動物の飼育について、自由に誰でも飼っていいとしてしまうと色々と問題が起きるので、動物愛護管理法というもので規則が決まっています。

この動物愛護管理法が先日改正され、ついこの前の6月1日から特定動物と呼ばれるものに関する規則が変わりました。

今回は特定動物とは何か?、規則の何が変わったのかを紹介します。

 

目次:
【特定動物とは?】
【サメは特定動物?】
【特定外来生物との違い】
【今回の改正内容】
【今回の改正について思うこと】

 

 

 

【特定動物とは?】
特定動物とは、人間の生命・身体または財産に害を与える恐れのある動物のことで、先ほどの動物愛護管理法のもと約650種が指定されています。

どんな動物が該当するかというと、以下のような特徴をもつ動物たちから選定されます。

・強い毒

・人を殺傷できる爪や牙

・物理的な圧力(要はデカくて重い、ぶつかってきたりしたらヤバイ)

・攻撃性が高い

 

具体的な例をいくつかあげるなら、チンパンジー、ライオン、ゾウ、ヒクイドリ、コブラ、ワニなどですね。

環境省の特定動物リストはこちら↓

これを聞いて、「チンパンジーもやばいの?だって志村●●●でパンくん可愛かったじゃん」と思った方は「トラビス事件」とだけググっていただければご納得いただけると思います。

ざっくりと言えば飼育されていたチンパンジーが飼い主の指や耳をちぎり、顔をズタズタにしたという事件です(画像検索は自己責任でお願いします)。

チンパンジーは愛らしいイメージもあるかもしれないが、尋常ではない腕力と鋭い牙をもち、時に他のサルなどを捕食する。

とにかく、こうした危険な動物が特定動物に該当し、飼育するには都道府県知事の許可取得および手数料支払いなどの手続きが必要です。

さらに、許可を得た飼育者は以下の基準を厳守することが求められます。

・一定の基準を満たした「おり型施設」などで飼養保管する

・逸走を防止できる構造及び強度を確保する

・定期的な施設の点検を実施する

・第三者の接触を防止する措置をとる

・特定動物を飼養している旨の標識を掲示する

・施設の外で飼養等しない

・マイクロチップ等による個体識別措置をとる

※これ以外にも地方自治体などにより別途規則がある場合もあります。

 

これらの基準を満たしていない場合は許可を取り消されますし、無許可の飼育や不正に許可を得た場合などは懲役刑または罰金が課されます。また、何かの理由で譲渡する場合、あるいはその動物が死亡した場合にも届け出を出さなければいけないなど、厳しく管理されています。

ちなみに、先ほどの具体例、たまたま外国の動物が多めになってしまいましたが、特定動物は国内国外関係ないです。

例えば特定動物のリストには「クマ科全種」「クサリヘビ科全種」と記載があります。これにより日本国内に生息するヒグマやハブなどは特定動物とされていて、勝手に飼育することは許されません。

沖縄に住む毒蛇としてお馴染みのハブも特定動物。

 

 

【サメは特定動物?】
特定動物がどんなものかは分かりましたが、サメ好きの僕としては「サメは特定動物なのか?」は気になるところです・・・。

危険ザメとして知られるホホジロザメ。

結論から言うとサメは特定動物ではありません。そして今後も恐らく特定動物にはならないです。

確かにサメの一部は噛まれると生死にかかわるような大怪我になる種がいくつか存在しますが、特定動物の選定においては「水の中でしか生きられない動物」はあらかじめ除外されています。

そのため、サメ以外にもカツオノエボシやヒョウモンダコなど猛毒を持つ生物や、シャチなどの鯨類も対象外です。

ヒョウモンダコは猛毒を持つタコだが、飼育するうえでの規制はない。

つまり、この特定動物の規制についてだけ言えば、僕がホホジロザメやイタチザメ、オオメジロザメを飼うことは一応許されるわけですね(まあ、飼わないし飼えないですけど笑)。

他にも、通常人の飼養対象になるとは考えられない動物、家畜動物として取り扱われる動物は選定の対象外です。

特定動物にはオオカミの仲間が入っていますが、品種改良された大型犬は入っていないんですね。たぶんですが、これは家畜動物だからというのが理由だと思います。

ただ、環境省の資料に「通常人の飼養対象になるとは考えられない動物」の例としてスズメバチって書いてありましたが、Twitterでスズメバチ飼っている人をたまに見かけます笑。むしろ、ライオンとかヒクイドリをペットにしようと思う一般人がいることの方が常軌を逸している気がするのですが・・・。

 

 

【特定外来生物との違い】
特定動物に近い言葉として、「特定外来生物」があります。

用語がややこしいですが、「特定動物」と「特定外来生物」は別物です。

ここからややこしい話をするので集中して読んでいただくか、飛ばしてあとで読み返してください笑。

以前外来種の記事で解説しましたが、「特定外来生物」というのは海外から持ち込まれた外来種の中で、特に生態系や人間社会に重大な影響を与える侵略的なものが指定されます。

外来種の記事はこちら↓

例を挙げるならブラックバスやアライグマで、これらの生物は生きたままの運搬や許可のない飼育は厳禁です。

特定外来生物のアライグマ。可愛い見た目だが農作物への被害や狂犬病の媒介など様々な被害をもたらす。

先ほどサメとかスズメバチとかは特定動物に含まれないという話をしましたが、他にも明らかに特定動物になりそうなのになっていない動物がいます。それがカミツキガメです。

どうしてカミツキガメが特定動物でないのか理由を説明します。

例えば噛みつかれると大怪我になるワニガメというカメが特定動物に指定されています。一方で、同じカミツキガメ科の仲間でほとんど危険度も変わらないカミツキガメは特定動物ではありません。

これは「カミツキガメは危なくないから飼ってもいいよ」ということではありません。カミツキガメは外来生物法という海外から来た侵略的外来種を規制する別の法律で規制されているので特定動物のリストに載っていないんです。

つまり、規制している法律が違うだけでカミツキガメも勝手に飼うことはできません。

ワニガメとカミツキガメ、規制している法律が違うだけでどちらも勝手に飼育することは許されない。

まとめると、ワニガメ・カミツキガメ、どちらも危険な侵略的外来種なので厳しく規制がされていますが、ワニガメは特定動物、カミツキガメは特定外来生物としての規制です。

この辺ややこしいと思いますが、混乱しないようにお願いします。

 

 

【今回の改正内容】
この特定動物に関しては先ほど述べた通り動物愛護管理法に基づいて規則が決められていますが、この規則内容が今年2020年6月1日から変更になりました。

変更の注目すべき点は以下の二つです。

・交雑種も特定動物に指定されること

・愛玩目的での飼育が禁止されること

まず一つ目ですが、今までは特定動物Aと別種の特定動物Bの雑種、あるいは特定動物とそうではない種の雑種であれば、特定動物とはみなされないという抜け穴がありました。

今までこれらの交雑種は特定動物の扱いではなかった。

実際、特定動物の規制から逃れるためにアナコンダの仲間で雑種を作る、俗にいう脱法アナコンダが一部で流行ったそうです(ネーミングが完全にドラッグ・・・)。

ただ、今回の改正では、このような雑種も特定動物に指定されるため、規制から逃れることはできません。

 

次の変更ですが、愛玩目的での飼育が禁止されるというのは、平たく言えば一般人がペットとして飼うのはもう無理だよってことです。

今後は動物園や水族館を含む研究施設などが許可を得て、先ほどの基準を満たした状態で飼育すること以外は認められません。

ただし、改正前から許可を得て飼育していて、今後も飼育を継続される方は飼育しても大丈夫です。

特定動物を今も飼っている人が全員犯罪者というわけではないので、SNSとかで見かけてもいきなり喧嘩腰に批判したりするのはナシでお願いします。

 

 

【今回の改正について思うこと】
今のところこの特定動物の規制が変わったのは良いことだととらえています。

まず交雑種も特定動物にしたことについて、これは当然の処置だと考えています。

もちろん種にも寄るでしょうけど、交雑したところでそこまで危険度が変わらないと思いますし、場合によってはより攻撃的になったり毒が強くなったりなんてケースもあると思います。

また、先述の脱法アナコンダのような抜け道があると、周りや行政が知らぬ間に危険動物を飼育する人が増えることになります。

これは僕の偏見かもしれないですが、そういう人はおそらく飼育基準を満たしていない、あるいは満たす気がそもそもないから交雑種に手を出すのではないでしょうか。また、本来払うべきお金をケチるようなマインドの人であるとも言えるので、事故・逃亡などの問題を起こしやすい気がします。

 

次に愛玩目的での飼育を禁止にしたことについて。ペット飼育の一切禁止は確かに厳しいと感じる人もいると思いますが、ワニガメの外来種問題をはじめ無視できないことが起きていたので、不適切な飼育者及びそこに販売する元を絶つには、これしかなかったのでしょう。

先日の記事で取り上げたコツメカワウソも種の保存法という別の法律の関係で取引が規制されました。

カワウソペット問題の記事はコチラ↓

特定動物規制の改正もカワウソの事例と同じで、過剰な規制というよりも現状の問題に法律が追いついた、というのが今のところの僕の感想です。

 

僕だってワニとかアナコンダ、コブラなど危ない感じがする動物が幼稚園の頃から大好きです。だから飼う夢が叶わなくなるのは切ないですが、無理に手元に置かなくてもいいのかなって思います。

 

サメだけでなくワニなどの危険な動物が大好きです。

 

最優先事項は彼らがそれぞれの生態系で暮らしていることです。そうした野生の子たちを見に行くのは確かに大変ですが、僕たちには動物園や水族館があります。

プロの人たちがきちんと管理・研究している子たちを見に行く、それができるだけでも感謝して、そういう子たちを愛するという生き方もあるはずです。

 

最後に、現在特定動物を飼育している方に向けてお願いです。

法改正があったのは当然飼育者の方は知っていると思うので、今後TwitterとかYouTubeに特定動物を載せる際は、許可を得ている例外的な飼育であることを明記する方がいいと思います。

「飼ってもいいと勘違いする人がでるからそもそもそういうペットをネットに載せるな」っていう人もいるかもしれないですが、生態のことや法規制についてきちんと触れたうえで発信すれば、それは単なるペット自慢ではなく啓発になると思います。

各人のトラブル回避にもつながると思いますので、ご検討をよろしくお願いいたします。

 

 

以上が特定動物の解説でした!

今回僕自身改めて確認したいという思いもあって動画にしましたが、僕は特に担当部署の人間とかではないので、

・現在飼育しているけど●●の手続きはどうしたらいいか

・基準を満たしていない方法で飼育している人が身近にいるがどうしたらいいか

などの相談は各都道府県の担当の方にお願いいたします。

 

今後も生物・環境系の情報発信を行っていきますのでよろしくお願いいたします!

※今回の記事はYouTube動画内でお話しした内容を加筆修正したものです。
YouTubeの方も応援よろしくお願いします。

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

社会人として働きながら、サメの生態や環境問題などについて情報発信。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化など。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、YouTube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇、水族館ボランティアなどで活動。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

 

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