水族館の人気者!マンボウの真の姿とは?【都市伝説の真相】

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回はサメ、イルカ、ウミガメなどに並び多くの人の注目を集めるあの魚、マンボウについて紹介します!

マンボウの見た目はなんとなく分かると思いますが、マンボウは何の仲間か?何を食べるのか?マンボウの都市伝説は本当なのか?ちゃんと分かっている人は少ないように感じます。

一体マンボウはどんな魚なのか、解説していきますので宜しくお願いします!

 

目次:
【マンボウは何の仲間?】
【世界一重い硬骨魚】
【マンボウは何食べる?】
【卵3億個の真相】
【都市伝説のデマ】

 

【マンボウは何の仲間?】
マンボウの姿はほとんどの人が知っていると思います。

ではこのマンボウ、次のうちどの魚に一番近い仲間でしょうか?突然のクイズですが、以下の選択肢からお答えください!

 

正解は










 

Cのハコフグです!

マンボウはフグ目というフグやカワハギが分類されるグループの仲間なので、大雑把に言ってしまえばフグの仲間と言えます。なので、先の選択肢の中であれば、フグ目のハコフグが正解です。

マンボウはフグというより円盤みたいな形ですが、フグっぽい部分をあげるなら腹鰭がないところですね。フグ目でも腹鰭をもつ子はいますが、フグ科、ハコフグ科、ハリセンボン科などは腹鰭がありません。マンボウも同じように腹鰭がないのが特徴です。

他にも鰓孔が小さいとか肋骨がないなどの特徴が他のフグ目と共通しています。

ただ、マンボウを含むマンボウ科の仲間は、尾鰭もありません。その代わりに、舵鰭(橋尾とも言う)というヒレを持っています。マンボウはこの舵鰭で方向の調整を行いつつ、サメの背鰭みたいに突き出た大きな背鰭と臀鰭を動かして泳ぎます。

ちなみに、マンボウを含むマンボウ科の仲間と言いましたが、マンボウの仲間はいわゆる「マンボウ」以外にもヤリマンボウ、クサビフグなど複数います。つい最近もウシマンボウやカクレマンボウなどが新種として話題になりました。

 

他にマンボウっぽい魚としてアカマンボウという魚がいます。名前に「マンボウ」とついているので非常に紛らしいですが、この子はマンボウの仲間ではなく、アカマンボウ目というグループに属する全く違う魚です。その証拠にアカマンボウにはちゃんと腹鰭も尾鰭もあります。

少し変わり果てた感じのアカマンボウ

コバンザメやチョウザメが実はサメではないのと同じように、アカマンボウもマンボウの仲間ではありません。

アカマンボウを近い仲間をあげるなら、さきほどのクイズの選択肢に出したリュウグウノツカイが同じグループの魚です。

アカマンボウとリュウグウノツカイ。ともにアカマンボウ目の仲間です。

ここまでの話を一旦まとめます。

・マンボウは大きく言えばフグの仲間

・マンボウ科の仲間は複数いる

・アカマンボウという魚はマンボウではない

これらを知っているだけでもかなりマンボウ詳しい感は出ると思います。

 

 

【世界一重い硬骨魚】
マンボウは形が面白いだけでなく、サイズが大きい魚としても有名です。マンボウであれば全長270cm、ウシマンボウにいたっては全長330cm近くまで成長する巨大魚です。重さは1トン以上になり、世界で一番重い硬骨魚としてマンボウはギネス記録にも載っています。

なお、一応補足すると、硬骨魚とはマグロやタイなどと同じようにカルシウムが主成分の骨格をもつ、いわゆる「普通の魚」です。

もしサメなどの軟骨魚類も含めた魚全体で一番大きく重い生物をあげるとすれば、ジンベエザメになると思います。

世界最大の魚ジンベエザメ

 

 

【マンボウは何食べる?】
マンボウは何を食べるか、皆さんご存知でしょうか?

水族館好きの方ならバックヤードツアーとかで「クラゲ」と聞いたことあるかもしれません。

確かにマンボウはクラゲを食べることで知られています。しかし、実際にはクラゲ以外のものも幅広く食べているようで、野生のマンボウの消化管の中からは小さい魚やエビ・カニの仲間など様々な生物が見つかっています。

水族館でマンボウに与える餌も貝類、甲殻類、魚肉などをミンチにして混ぜ合わせたエサを与えています。

こうしていろんなものを食べるマンボウですが、消化不良を起こしやすい魚としても知られています。水族館では少しでも食べやすいようにミンチした餌を水と混ぜてゼラチンで固めるなど、かなり気を使った特性フードを作るところも多いです。

後でも触れるようにマンボウ最弱説のほとんどが誇張かデマですが、マンボウの飼育が大変ということは間違いないです。水族館でマンボウを見かけたら、ぜひマンボウと飼育員さんを応援してあげてください。

 

 

 

【卵3億個の真相】
マンボウの紹介がされるとき「3億個の卵を産む魚」というのはよく聞きます。3億個と聞くととんでもない数ですが、果たしてこれは本当でしょうか。

結論から言うと、「本当に3億個産むのかはっきりとは分かっていない」が答えになります。

この3億個の卵を産むという情報の元ネタはとある論文で、解剖されたマンボウの卵巣に3億個の未成熟卵があったと書かれていました。

しかし、この論文、推定方法が載っていないので信憑性がちょっと微妙なんです・・・。

人間の細胞の数とかもそうですが、こういう数が莫大なものは「いーち、にー、さーん」と数えるわけはないので、ちゃんと論文の中に推定方法を書くのが普通です。

ただ、この論文には推定方法どころかマンボウの体重、卵巣の重量などの情報もないので、何をもって3億個としたのかが謎なんです。

加えて言えば、卵巣内に3億個卵があったのが仮に事実だったとしても、その卵をすべてを産卵するのか?産卵するとして、それは一度に3億個生むのか?はっきりしたことはまだ分かっていません。

ただ、マンボウが沢山の卵を持っているのは事実なので、恐らく相当の数の子供を産んでいるとは思います。そして、そうにもかかわらず海がマンボウまみれになっていないので、生き残れるのがほんの少しというのも間違いではないはずです。

 

【都市伝説のデマ】
3億個の卵を産むという話が微妙なのをお伝えしたので、この流れで巷に流れるマンボウ都市伝説を切っていきたいと思います。

今は下火になった気がしますが、一時期「マンボウ都市伝説」とか「マンボウ最弱説」と呼ばれる誇張とデマにまみれたネタが流行りました。

全部扱うとキリがないので、今回はその都市伝説のいくつかをマンボウの生態に絡めて紹介します。

 

<都市伝説①:ジャンプして着水したショックで死ぬ>
一番有名な奴だと思いますが、これは嘘です。確かにマンボウは勢いよく水面から飛び出すことがありますが、着水が直接の原因で死んだ事例は報告されていません。

ただ、水族館の水槽の上に飼育員さんが歩くキャットウォークという通路があるんですが、マンボウが飛び出した際にぶつかって怪我をすることがあるので、キャットウォークの下に緩衝材的なものを用意している水族館はあります。

 

<都市伝説②:太陽の光が強過ぎて死ぬ>
これも嘘です。マンボウはむしろ水面で日光浴するかのように体を横にしてぷかぷか浮くことがあります。そもそもマンボウの英名はOcean sunfish、太陽の魚ですからね。見当違いも甚だしいデマです。

この日光浴的な行動の意味は諸説ありますが、海鳥に寄生虫を食べてもらっている様子や、深く潜って体温が下がった後に海面で浮くことが確認されているので、寄生虫対策・体温の過剰な低下防止の二つが有力です。

 

<都市伝説③:深海に潜った時の寒さで死亡>
これもデマです。完全にマンボウの潜水能力を舐めてます。

マンボウは頻繁に水深150m程度まで潜り、800m以上潜ったという記録もあります。もちろん変温動物なので先ほど紹介したように定期的に海面に行き体温をあげる必要はあるみたいですが、簡単に死亡するほどやわではないです。

むしろマンボウは他の魚に比べて潜るのが得意な魚と言えます。

多くの魚には鰾(うきぶくろ)があります。この鰾は浮力を調整するのに役立っていますが、水圧によって体積が変化するという特徴があります。つまり、深く潜っていくと水圧が増すため浮力をどんどん失っていきます。逆に浮上すると水圧が減る分どんどん体積が増すので、急に浮力が上昇してしまいます。

一方、マンボウには鰾はありません。マンボウの浮力は主に、表皮と筋肉の間にあるゼラチン質によって保たれています。

マンボウは表皮のすぐ下に分厚いゼラチン質をもっている。

このゼラチン質は水圧で圧縮とか膨張をしないので、マンボウは鰾をもつ魚に比べると上下運動の負担が少ない、つまり潜水に優れた魚と言えます。

 

 

こういう都市伝説について「興味持ってもらうきっかけになる」とかいって肯定する人もいますが、僕は賛成できません。何故なら、そうしたネタで興味持った人は正しさよりも面白さを求めるだけで「実際の生態はどうなのか?」というところを楽しんでくれないことがほとんどだからです。

例えば『ジョーズ』のホホジロザメや『ファインディング・ニモ』のカクレクマノミみたいにフィクションのイメージが勝手に広まっちゃった場合はしょうがない気がしますし、そうしたフィクションの偏ったイメージとか変な噂を切り口にして解説するというのは、一般に分かりやすいと思うのでアリでしょう。

ですが、マンボウ最弱説のような明らかなデマを意図的に広めるというのはナシだと思っています。

 

 

以上がマンボウの解説でした!マンボウは結構面白いところが沢山あるのでもっと色々話したかったんですけど、キリがない気がするので一旦終わりにします。また何かきっかけがあれば紹介したいと思います。

今後も面白い生き物の生態や環境問題の発信を行っていくので引き続きよろしくお願いいたします!

 

 

 

※今回の記事はYouTube動画内でお話しした内容を加筆修正したものです。

 

 

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

社会人として働きながら、サメの生態や環境問題などについて情報発信。主な発信分野はサメの生態、水産業、動物倫理、進化など。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、YouTube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇、水族館ボランティアなどで活動。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

 

 

 

 

 

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