ザリガニを飼ったら犯罪!?ザリガニ規制について解説(2020年9月3日現在)

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は生き物の規制に関するニュースを解説します。

皆さんザリガニを飼った経験はありますか?

公園の川でザリガニ釣りをしたりとか、学校の教室で飼っていたりとか、たぶん人生の中で一度は触れ合う機会があったと思います。

そんなザリガニですが、実はほとんどのザリガニが今後飼育できなくなるというニュースが入りました。

ザリガニ愛好家以外には関係のない話に聞こえるかもしれませんが、外来種問題について考えるうえでいいケースだと思うので、今回はザリガニ規制について解説していきます!

 

目次:
【規制の内容ざっくり紹介】
【外来種ザリガニの影響】
【なぜアメリカザリガニは例外?】
【ザリガニ規制について感想】

 

【規制の内容ざっくり紹介】
まずどういう事態が起こっているのかを簡単にご説明します。

2020年6月22日~6月26日の間に、環境省で「特定外来生物等専門家会合(第12回)」というものが行われました。

この会議にてザリガニの仲間のほとんどが特定外来生物に指定するのが妥当であるという見解が示されたんですね。

特定外来生物とは何かを確認すると、海外から来た外来種で、生態系や人間社会に被害を及ぼす、つまり侵略的外来種の一部が指定されます。例を挙げるならブラックバスやアライグマなどです。

特定外来生物として有名なブラックバス

この特定外来生物に指定されることは飼育・販売・生きたままの運搬などが禁止されることを意味します。つまり、一般人が新しく飼うというのは実質不可能になるんです。

違反した場合は三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金という刑事罰の対象になります。

では具体的にどのザリガニが規制対象になるのか。候補は以下の通りです。

・ザリガニ科の全種

・アメリカザリガニ科の全種 ※アメリカザリガニを除く

・アジアザリガニ科の全種 ※ニホンザリガニを除く

・ミナミザリガニ科の全種

※アジアザリガニ科はアメリカザリガニ科の亜科とする見方もあるみたいですが、環境省の記載に合わせています。

「ザリガニ」という名称はこれら4グループをまとめた呼び方らしいので、今回の規制で、実質ほぼ全てのザリガニの仲間が特定外来生物になるというわけです。

ちなみに、なぜ外来種のアメリカザリガニが規制対象外なのか。この点は後で説明します。

なお、実際の指定は2020年11月からになります。つまり、これ以降は新しくザリガニの仲間を飼育することができないし、規制の前から飼育している場合も、然るべき届け出を出して許可をもらわなければなりません。

 

 

【外来種ザリガニの影響】
特定外来生物は生態系や人間社会に深刻な影響を及ぼす外来種が指定されますが、外来種のザリガニにはどんな問題があるでしょうか。

3つにまとめると以下の通りです。

・捕食や競合

・環境改変

・病気の媒介

順番に解説していきます。

まず、ザリガニの仲間は魚や水棲昆虫、小型の両生類や爬虫類など幅広い生物を捕食するので、日本の在来種が大きな影響を受けます。

また、日本にはニホンザリガニという固有種のザリガニがいますが、このニホンザリガニが外来種のザリガニに食べられたり住処を奪われてしまい、現在問題になっています。

次に環境の改変について。アメリカザリガニで知られている事例ですが、彼らは水草を刈り取ることで周りの環境を変えてしまいます。

アメリカザリガニ

水草が少なくなるとザリガニが捕食するヤゴなどの生物の隠れ場所が少なくなるので、ザリガニたちは在来種を食べやすくなります。ただ食べるだけでなく、在来種が住みにくいように環境も変えてしまうという点でかなりたちが悪いです。

さらに問題なのが、ザリガニペストやザリガニカビ病と呼ばれる病気です。これは北米原産のザリガニから持ち込まれてしまう病原体が原因で起こるそうです。

アメリカザリガニなどの北米原産のザリガニたちはだいたい免疫がありますが、在来種のニホンザリガニは免疫がないため、生息する水辺にこの病気が持ち込まれると、全滅してしまう恐れがあります。

以上話した影響というのは、実はすでに日本に住み着いてしまっているウチダザリガニアメリカザリガニの事例が多く、今回特定外来生物に新しく指定されたザリガニたちが全てこういう影響をもたらすのか、正直僕には判断付きません。

しかし、ウチダやアメザリ以外にも、今回新しく規制されるミステリークレイフィッシュが、すでに日本の河川で確認されてしまっています。

ミステリークレイフィッシュはペットとして流通していますが、北米原産のためザリガニペストを広める危険性があり、雌だけで子供を産む単為生殖が可能なため、今後さらに脅威になるのではないかと懸念されているザリガニです。

全てを特定外来生物に指定するのが賢明だったのかは分かりませんが、何かしら規制をすべきだったことは間違いないと思います。

 

 

【なぜアメリカザリガニは例外?】
外来種のザリガニの影響が重大なのは分かりましたが、なぜアメリカザリガニが特定外来生物に指定されないのでしょうか。

まず言っておきますが、アメリカザリガニの影響が大したことないから、というわけでは決してないです。むしろ分布域が拡大し数が増えすぎてしまったアメリカザリガニの影響は非常に深刻です。

では、なぜ規制されないのか。シンプルに言えば、「広まりすぎていて厳しい規制をしづらい」というのが現状です。

アメリカザリガニはすでに日本各地に分布域を広げ、侵略的外来種であるにもかかわらず市場に数多く出回り、一般家庭や学校など様々な場所で飼育されています。

アメリカザリガニは日本各地に住み着いている。

 

そうした生物を特定外来生物に指定するとどうなるでしょうか。

先ほども言った通り、特定外来生物は販売、飼育、生きたままの運搬などが禁止されています。規制が始まる前に飼育していた個体であれば飼育はOKですが、これも許可をとるために細かい手続きが必要です。

ここで一番怖いのが、一部の終わっている飼育者や販売業者が「手続きが面倒」や「もう販売できないなら・・」などの理由でアメリカザリガニを大量に遺棄してしまう事態です。これだと、生態系を守るための規制によって地域の生態系が破壊されることになります。

さらに言えば、アメリカザリガニは僕たちの生活にだいぶ馴染んでしまっているので、特定外来生物に指定すると、犯罪だと知らずに子供が連れ帰ってしまう、などのトラブルも起きると思います。

実際に環境省の資料の中にもこのように記載があります。

“アメリカザリガニについては、生態的影響(あるいは生態的特性)としては特定外来生物に指定する要件を満たしているものの、現行法下において指定した場合、飼育個体の大量遺棄が懸念されるなど、社会的な混乱を引き起こすことが懸念されるため、今回の指定は見送ることとされた。”

下記資料より引用↓

 

つまり、さっきも言った通り、本来であれば今すぐにでも特定外来生物に指定すべきヤバい生き物なのに、社会的な理由で規制できていないんです。

アメリカザリガニは特定外来生物ではないので今後も一般人が飼育できてしまうし、川に流してもブラックバスを放流した時のように罰せられることはないですが、その危険度で言えば特定外来生物と同等です。

どうしても飼育するのであれば逃亡の恐れがないよう厳重に管理すべきですし、放流するのは非常に頭の悪い反社会的行為です。

飼うなら最後まで飼え、絶対に捨てるな、できないなら飼うな。

アメリカザリガニに限ったことではないですが、これらをきっちりと頭に刻み込んで欲しいと思います。

 

 

【ザリガニ規制について感想】
今回の規制についてはやっぱり賛否両論で、愛好家の一部は規制に反対する人もいるようです。

気持ちは分かりますが、そもそも外来ザリガニを気軽に飼育できること自体が問題だったと思います。

今回規制されたザリガニたちは、もともと未判定外来生物に指定されていました。

未判定外来生物とは何かを説明すると、生態系などに被害を及ぼすかどうか未判定である生物を指します。特定外来生物に指定して厳しい規制をするのか、それとも輸入OKにするのか、環境省がまだ判定していない生物です。この判定は輸入のために届け出を出した時点で行われます。

未判定外来生物について詳細はコチラ↓

 

 

以上を踏まえて今回の規制の流れを説明します。

2006年に、すでに特定外来生物に指定されていた種を除き、ほぼすべてのザリガニが未判定外来生物に指定されました。未判定外来生物に指定されれば輸入に制限がかかりますが、特定外来生物とは異なり、国内での飼育や取引は規制されません。

そのため、規制前に輸入された個体や国内で繁殖された個体(少なくともそういう名目のザリガニ)の飼育・売買は今まで行われてきました。

カッコを付けて「名目」と言ったのは、この外来種ザリガニの密輸が行われていた、という黒い噂を目にしたからです。

確かに国内に入ってしまえば規制されないので、以前に紹介したカワウソペット問題のように、密輸個体を合法的に売買することは可能でした。

カワウソペット問題の解説はコチラ↓

ただ、ザリガニの一匹当たりの単価は高くて数千円みたいなので、そのために密輸を行う人がいるのか、ちょっと微妙な気がします。

いずれにしても、輸入を制限されるような外来種がペットとして普通に販売されていたことは事実です。そして今回、輸入のための届け出がどこからか出されて、そうしたザリガニたちも全て規制された、という流れのようです。

ザリガニ愛好家からすれば、届け出をだして輸入しなくても国内の個体を扱えたはずなので、無知な誰かが届け出を出したのか、それともいい加減規制されるべきと思った人がわざと届け出を出したのか・・・。この辺は何とも言えないです笑。

 

今回だと届け出が出た種以外もまとめて指定されていて、その辺を批判する飼育者の方もいるようです。

「細かく指定するのが面倒くさいから環境省が全部指定しちゃったんじゃないか?」

「指定された中には日本の水温に耐えられない種もいるはずだ」

などの声もネットでは見かけました。

これの真相は分かりませんが、ザリガニは色の変異も多く、同じ種でも色とかによって呼び方が違う種がいるみたいなので、その辺を考慮したではないか、と僕は思いました。

「まとめて指定した方が管理しやすい。そうしないと別種だと偽って販売したり、知らずに違反を犯してしまう人が出てくる」と、誰かが考えたのかもしれません。

実際にワシントン条約では、規制をかけたい種に似ているという理由で、絶滅の恐れがそこまで高くない場合でも記載されることがあるみたいです。

 

 

ちょっと長くなったので今回のザリガニ規制をまとめます。

・ザリガニのほぼすべての仲間は特定外来生物に指定されるので、2020年11月以降、飼育や販売などを許可なくすることはできなくなる。

・今回アメリカザリガニは特定外来生物にならないが、与える悪影響は同じかそれ以上なので、他のザリガニ同様扱いには十分注意し、絶対に、絶対に、絶対に捨ててはならない。

 

ザリガニ好きの方はもちろんですが、今回話した外来種問題や特定外来生物の話は、他の生物でも関わってくるので、この辺の知識は基本としておさえておくようにしましょう。

 

今回は以上になります!今後も生物の生態や規則など、生き物好きにとって有益な情報を発信してきますので、引き続きよろしくお願いいたします!

 

 

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

サメをはじめとする海洋生物の生態や環境問題などについて発信活動を展開。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、YouTube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇も行い、サメ解説のライターとしても活動。水族館ボランティアの経験あり。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

 

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