太古の巨大ザメ、メガロドンを徹底解説!どんな姿で、なぜ滅んだのか?今も生きているのか?【前編】

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は海や水族館で出会えるサメではなく、すでに絶滅してしまったサメがテーマです。

サメ好きの方は当然ですが、そうではない方も「メガロドン」というサメの名前は聞いたことあると思います。

映画の題材になったこともあって、「バカでかい古代のサメ」という認知はかなり広まったと思いますが、実際にどのくらい大きかったのか?どの時代に生きて、どんな姿をしていたのか、ちゃんと考えたことはあるでしょうか。

今回は謎に満ちた古代ザメ、メガロドンを解説していきます!

 

目次:
1ページ目
【メガロドンはどんなサメ?】
【古代ザメの手がかりは〇だけ】
【どれくらい大きかったのか?】
————————-
2ページ目
【どの仲間かもはっきりしない?】
【どんな姿をしていたのか?】
【何故絶滅したのか?】
【メガロドン生存説について】

 

 

【メガロドンはどんなサメ?】
メガロドンとはどんなサメなのか、まずはざっくりと紹介していきます。

ちなみに、あとで理由も説明しますが、今回僕が言うことはほとんど「諸説あり」です。「この論文にはこう書いてあった!」みたいな意見もあると思いますが、あくまで僕が調べた限りではこうです、という内容になっているのでその点ご了承ください。

メガロドンは、だいたい2000万年前~300万年くらい前、時代でいえば新生代の新第三紀に生息していたサメです。

「絶滅した巨大ザメ」という言葉の響きからして、映画『ジュラシックワールド』に出てくるモササウルスと死闘を繰り広げるようなイメージがあるかもしれませんが、メガロドンが生きていたのは恐竜やモササウルス類が滅んだK/pg境界大絶滅のかなり後の時代です。

この時代にはすでに多くの哺乳類が繁栄し、その一部が海に戻って進化したクジラ類も数多く生息していました。メガロドンはそんな時代の中で、最大級の捕食者として君臨していたとされています。

こちらがメガロドンの歯の化石です。先がとがった三角形をしており、縁はノコギリのようにギザギザしています。

この歯のサイズは大きいもので高さ15cm以上、絶滅したものも含め、これまで知られている全てのサメの中で最大級の歯です。そもそも「メガロドン」という名前自体が「巨大な歯」を意味します。

ちなみに、メガロドンの歯の化石は日本でも数多く発見されており、サメの歯だと分かる前は天狗の爪と言われていました。

 

このデカすぎる歯とその肉を切り裂くのに適した形状、そしてそこから推定されるサイズからして、当時メガロドンは最強の捕食者の一種だったと思われます。現に、同時代のクジラの骨の化石からメガロドンに噛まれたと思しき跡や歯の欠片が見つかっているので、生態系の頂点にいたことは間違いないでしょう。

しかし、その大きさを含め、メガロドンは色々と分かっていないことが多いサメでもあります。その理由も含めて、もう少し掘り下げていきましょう。

 

 

【古代ザメの手がかりは〇だけ】
メガロドンに限らず、古代のサメがどんな姿でどんな生活をしていたのか調べるのは非常に困難です。それは、サメの骨格に理由があります。

サメやエイ、そしてギンザメの仲間は軟骨魚類というグループに分類されます。名前の通り、骨格のほとんどが軟骨で構成されています。

これの何が問題かというと、軟骨は化石として非常に残りにくいのです。

化石にもいろいろな種類がありますが、皆さんが一般にイメージする化石というのは、死んだ生物の骨格や殻など硬い部分が鉱物に置き換わって作られます。しかし、軟骨は分解されやすいので、恐竜の骨のようにサメの骨が化石として残ることはめったにありません。サメの骨格が化石として残っているものもありますが、かなりのレアケースと言えます。

軟骨魚類の化石、歯以外が残されていることは非常に珍しい。

では、古代のサメを知る主な手掛かりは何かと言えば、です。

骨格のほとんどが軟骨のサメですが、歯は僕たちの骨と同じようにカルシウムを多く含んでいて、しかも生きている間に何度も抜け落ちるので、たくさんの化石となって僕たちの前に現れてくれます。

それをもとに、どの時代に生きていたどんなサメだったのかというのを調べていくわけです。

歯以外の手がかりがほとんどない中で研究を進める古生物学者の方々は本当にすごいなと思いますが、恐竜以上に手掛かりが少ないがゆえに、その姿や大きさ、分類は非常に論争の的になります。

 

 

【どれくらい大きかったのか?】
メガロドンの大きさについては様々な説があります。よくテレビとか映画で言われるのは全長20m以上というものです。特に主流の説というわけではなく、キリがいいしインパクトのある数字なのでよく用いられているだけだと思います。

先ほども言った通り古代ザメを調べる手がかりは歯以外ほとんどないので、メガロドンの大きさも、その歯の化石から推定することになります。

一番楽なやり方は、現生の近い仲間であるサメの全長と歯の関係式に、メガロドンの歯を当てはめることです。

メガロドンは、現生のホホジロザメに近い仲間とされてきました。この説の問題についてはあとで述べますが、確かにパッと見の歯の形状は似ているようにも思えます。

そこで、全長3mのホホジロザメの歯の大きさは何センチ、6mなら何センチ、というデータをプロットしていき、その関係式にメガロドンの歯の大きさをいれるわけです。

メガロドン全長の推定イメージ。

この方法で導き出されるメガロドンの全長は約16m、多少前後するにしても15~18mほどだと思われます。20mには及びませんが、それでも現生のホホジロザメの3倍以上の大きさです。

人間が仮にメガロドンに食べられるとしたらこんな感じです。

噛まれるとかではなく丸飲みですね。

ただ、この16mという数字は、以下のようなことを都合よく前提にしたうえで導き出されています。

・メガロドンがホホジロザメと同じような体形である

・メガロドンとホホジロザメは体と歯の大きさが同じような成長率で大きくなる

・成長しても歯と体の大きさの相関関係が変わらない

これらが成り立つと仮定したうえでの推定方法なので、16mというサイズが本当に正しいサイズなのか、はっきりしたことはまだ分かっていません。

歯の大きさ、そして形状などの証拠からして、とてつもなくデカイ捕食者だったことは間違いないですが、全身骨格が見つかっていない以上、限りあるデータから「多分これくらいかも」という数値を求めることしかできないんです。

 

【どの仲間かもはっきりしない】
「メガロドン」で画像検索すると、ホホジロザメに近い姿をしたサメのイラストや、ただ単にホホジロザメをバカでかく見えるように合成した写真がたくさん出てきます。

これは「メガロドンはホホジロザメの祖先である」という説の影響も大きいと思いますが、実はメガロドンの分類についても議論があります。

そもそも「メガロドン」という名前自体が通称でしかなく、学名についても定まっていないのが現状です。

少しだけ、分類学の話をさせてください。

生物には、どの世界や地域でも共通して一つの種を表せるように、唯一無二の名前、学名が与えられます。この学名は二名法という規則に従い、属名と種小名が合わさったものでできています。例えば人間はHomo sapiens、ホホジロザメであればCarcharodon carchariasという学名が与えられています。

だいぶ前に「トリビアの泉」という番組で「ゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ」というネタが紹介されたことがありましたが、あれはゴリラ属のゴリラという種、という意味です。

メガロドンという名前は、この話でいう種小名にあたります。そのため、本来であれば「どの属に分類されるか」を表す属名がついて、〇〇・megalodonになるはずですが、ここで意見が分かれています。

当初メガロドンはホホジロザメと同じホホジロザメ属に分類されていて、Carcharodon megalodonと呼ばれていました。

たしかにメガロドンの歯は素人目にはホホジロザメの歯に似ている気もしますが、鋸歯と呼ばれる縁のギザギザの細かさや歯根という部分に違いが見られます。

さらに、ホホジロザメはメガロドンとは別の系統、現生のアオザメに近い仲間から進化したと示す研究も出てきました。

そうした流れで、メガロドンは現生にはもういない、完全に絶滅したサメの仲間であるとする説が有力視されるようになりました。ただ、これについても、Carcharocles megalodonとするか、Otodus megalodonとするかで意見が分かれています。

もうややこしくなってきたと思うので僕はこれ以上の深堀はしませんが、この記事のために読んだ複数の論文や博物館のウェブサイトを見ると、Otodus megalodon説が推されているような気もします。

英国のThe Natural History MuseumのHPにおけるメガロドンの解説↓

マニアックな話に聞こえるかもしれませんが、「メガロドンというのはどのサメの仲間かはっきり分かっていないけど、ホホジロザメの祖先であるという説は疑わしい」くらいのことは、とりあえず覚えてもらってもいいと思います。

次ページ:太古の巨大ザメ、メガロドンを徹底解説!どんな姿で、なぜ滅んだのか?今も生きているのか?【後編】

 

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

サメをはじめとする海洋生物の生態や環境問題などについて発信活動を展開。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、YouTube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇も行い、サメ解説のライターとしても活動。水族館ボランティアの経験あり。

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