太古の巨大ザメ、メガロドンを徹底解説!どんな姿で、なぜ滅んだのか?今も生きているのか?【後編】

前ページ:太古の巨大ザメ、メガロドンを徹底解説!どんな姿で、なぜ滅んだのか?今も生きているのか?【前編】

【どんな姿をしていたのか?】
メガロドンがホホジロザメの祖先ではないなら、一体どのような姿をしていたのでしょうか。

つい最近になって発表された論文では、ホホジロザメだけでなく、ネズミザメ目のサメ複数種のデータをもとに、全長16mのメガロドンの体型を推定しています。その結果、頭のサイズが約4.65m、背鰭の高さが約1.62m、尾鰭の高さは3.85mという結果が得られました。

実際の論文はコチら↓

このような分析がされる中でホホジロザメとの分かりやすい違いを紹介するとすれば、頭の形状だと思います。

ホホジロザメの吻先は割と尖っていますが、メガロドンは、そのデカすぎる顎で獲物を噛むのにかなりの筋肉が必要になるので、もっと吻先が潰れたような顔をしていたと推測されます。

他にも、メガロドンの胸鰭はその巨体の揚力を維持するために、ヨシキリザメというサメのように、かなり長かったのではないかと指摘する専門家もいます。

ヨシキリザメ

世間には未だにホホジロザメをそのまま大きくしたような画像で「メガロドンだ!」みたいに言ってるものがありますが、騙されないようにお願いします笑。

 

 

【何故絶滅したのか?】
メガロドンが絶滅した理由というのもはっきりとは分かっていませんが、いくつか説は挙げられています。

よくあげられる原因は、地球規模の寒冷化です。

鮮新世の末期、約260万年前、海水温が低下することにより多くの海洋生物が絶滅しました。メガロドン自体は低水温に適応できた可能性がありますが、寒冷化で多くの生物が死に絶えると、それを食べていた動物も餌をなくして滅び、それを食べていた生物も同じように…というように連鎖的に影響が及んでいきます。

メガロドンは非常に大きな捕食者で、しかもその歯の形状からしてクジラなどの大型の獲物を食べるのに特化していたでしょうから、仮に低水温そのものに適応できたとしても、餌が少なくなったことによって衰退していった可能性は十分にあります。

また、地球規模で寒冷化が進むと、海の水が大きな規模で凍り付き、海水面が低下します。

メガロドンの化石発掘場所やその大きさなどを統計的に分析した論文によれば、メガロドンは、現生のサメがそうしているように、子供の頃は浅い沿岸の海で暮らしていたことが示唆されています。

元になった論文はコチラ↓

いくら最強の捕食者だとしても、子供が産まれ、育たなければ種として生き残ることはできません。

海水面が低下したことにより、メガロドンの子供が安全に育つための理想的な沿岸環境が減ってしまい、結果として数を減らしていったのかもしれません。

これ以外にも、気候変動の影響を大きく受けるより前に、ホホジロザメやその他の捕食者が台頭したことによって衰退していったのではないか、など、メガロドンの絶滅の原因については様々な説が提唱されています。

恐らく複合的な要因によって滅んだのだと思いますが、「最強の捕食者がなぜ絶滅したのか?」は興味深いテーマですね。今後の研究にも注目していこうと思います。

 

 

【メガロドン生存説について】
メガロドンの絶滅について色々な説が出ている中で、「そもそも絶滅していないんじゃないか」というぶっ飛んだ話もあります。

最高にカッコいいハゲでお馴染みのジェイソン・ステイサム主演で映画化された『MEG・ザ・モンスター』をはじめ、メガロドンが実は生きていたという設定のフィクション作品や、メガロドン生存説を主張する都市伝説は数多くあります。

『MEG・ザ・モンスター』の予告編↓

もちろん全長16mのサメが平然と泳いでいたら多くの人に目撃されていると思いますが、都市伝説的に言えば、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵など、深海の奥深くでひっそりと暮らしているから見つからないということらしいです。

実際だいたいのメガロドン映画が「深海とか海底で調査や作業してる時にヤバいやつ来ちゃった」みたいな設定だった気がします。

何故かこのメガロドン生存説を信じたがる人がいるのですが、メガロドンが生存している可能性はほとんどゼロに近いと僕は考えています。というか、ないです。

なぜそう言えるのか、順を追って説明します。

<深海に潜む理由がない>
まず、メガロドンは超巨大な捕食者であり、かつては世界中の海を泳ぎ回っていました。そして、先ほども言った通り、歯の形状からしても、クジラなどの大型動物を食べるのに特化していましたと思われます。

こうしたことを考慮すると、向かうところ敵なしの化け物であるメガロドンが、ご馳走がたくさん泳ぐ水深を避けるようにして、餌が少ない深海奥深くにわざわざ隠れて暮らす意味が分かりません。

<深海の奥深くでは資源不足>
メガロドンのような巨大ザメが深海で生き残るには、彼らを支えるようなクジラや他の大型サメ類などのエサが沢山必要であり、さらにそのエサを支える沢山の魚が必要で、さらにその魚たちが食べる小さな生物が必要です。

しかし、深海は光が届かないために一次生産者である植物が生息しておらず、資源量は限られています。海域にも寄りますが、数千mほど深くなれば1mに達する生物はかなり少なく、7000mともなれば魚類が辛うじて確認されるかどうかという世界です。そんな深海の生物たちだけで、巨大なメガロドンを支え切れるとは到底思えません。

<子育てに来るメガロドンがいるはず>
先ほどの絶滅の話でも触れた通り、メガロドンは子育てのために沿岸環境を利用していた可能性があります。

もしメガロドンが生き残っているのであれば、現生のレモンザメの仲間がマングローブ林に来るように、出産のために浅い海に来るお腹の膨れた母メグが目撃されてもおかしくありません。また、そこから生まれた小さなメガロドンが確認されていてもおかしくはありませんが、信頼できる報告事例はありません。

マングローブ林を泳ぐ子供のレモンザメ↓

<そもそも生物学的にメガロドンなのか?>
そして、最後に僕がどうしても気になるのが、仮に全長16m前後の大きな歯をもった巨大ザメが深海などの環境に生存していたとして、それは本当に生物学的にメガロドンと言えるのか、ということです。

諸説あるとはいえ、メガロドンが生きていたとされる時代から200万年以上経っています。もしメガロドンが深海という高水圧、低水温、少ないエネルギー量という特異な環境に適応して今まで子孫を残してきたのだとしたら、それは当時のメガロドンから進化した全く別のサメではないでしょうか。

そうだとしたらそれこそ非常に興味深いテーマだと思いますが、みんな「デカい人食いザメがまだ生きている!」と騒いでいるだけ。結局メガロドンかどうかはどうでもよく、証拠もない妄想を信じて騒ぎたいだけに見えます。

別にそういう楽しみがあってもいいと思いますが、そういうのは映画やSCPなど、明らかにフィクションだと分かる範疇でやって欲しいです。真面目にサメについて考えている時にデマや捏造写真とかを広められるとはっきり言って迷惑です。

こういうことを言うと大抵「価値観の自由だ」とか「夢を否定された」とか的外れな批判が来ることがあるのですが、メガロドンが現代の海で生き延びているかどうかは科学的な問いです。

また、あんな化け物が本当に海を自由に泳ぎ回っていたら、それこそ海の安全保障にかかわる重大問題であり、断じて価値観とか夢の領域ではないです。

「信じる」とか「否定するな」というなら、人に文句言う前に確固たる証拠を持ってきましょう。

 

また、これこそ価値観の話かもしれませんが、別にメガロドンが絶滅していてもう会えないとしても、現生に生きているサメたちも十分に魅力的です。そして、古代のサメたちが進化を通してそのサメたちにつながっている、この生物の歴史そのものがロマンに満ち溢れています。

証拠に乏しい生存説を無理に擁護するより、現生のサメに目を向けたり、本格的に古生物学を勉強する方が有意義で面白いと僕は思います。

 

 

 

 

【Writer Profile】

サメ社会学者Ricky

1992年東京都葛飾区生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国ポートランド州立大学へ留学。

サメをはじめとする海洋生物の生態や環境問題などについて発信活動を展開。

本HP『World of Sharks』での運営のほか、YouTube動画配信、トーク・プレゼンイベント登壇も行い、サメ解説のライターとしても活動。水族館ボランティアの経験あり。

メールでのお問い合わせ、質問などはコチラ!
shark.sociology.ricky@gmail.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「太古の巨大ザメ、メガロドンを徹底解説!どんな姿で、なぜ滅んだのか?今も生きているのか?【後編】」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です