パニック・マーケット (Bait)

映画の出来はともかく、設定自体は中二病心をくすぐる作品で、僕は嫌いではないですね。ちなみに3D映画です。

題名:パニック・マーケット
原題:Bait
公開年:2012年
監督:キンブレ・レンドール
主演:ゼイヴィア・サミュエル

【かなりぼかしたあらすじ】
スーパーマーケットに強盗が入ったその日、巨大な津波が押し寄せ全員水浸しのフロアに閉じ込められてしまう。脱出を試みる生存者たちの前に、巨大ザメ、漏電ケーブルなど、次着とパニックが襲い掛かる。彼らは脱出することができるのか!?

 

【ネタバレを含むあらすじ】
※今回の作品は諸事情により英語音声・字幕なしを観てあらすじを書いています。僕のリスニング力不足のため細かいところが不正確かもしれませんが、何卒ご了承ください。

冒頭は本筋とそこまで関係ないのでサラッといきます。ビーチ監視員のジョッシュは同僚であり恋人の兄でもあるローリーと働いていました。ジョシュが恋人のティナとイチャつく間に、ローリーはサーフボードに乗ってブイを設置しに行くと、近くを泳ぐデブのおっさんが血流しながら沈んでいきます。サメが人喰うだけでそんなならないだろってくらいでっかい水しぶきを遠くから見た監視員が「サメだ!」と叫び(何故分かった?超能力かよ)、ジョッシュは急いで水上スキーにまたがりローリーの元へ。ローリーは真下から突然飛び出してきたサメにサーフボードを真っ二つにされ、ジョッシュの目の前で食われてしまいます。

 

1年たって物語スタート。ジョッシュの部屋の様子から、多分ティナと別れたことと、まだ未練があることが窺え、職場に向かう途中にワンちゃんが吠えたり鳥が一斉に海から離れたりと、不吉な雰囲気が漂います。

さて、ここからなのですが、登場人物が結構分かれていて面倒くさいので、ちょっと雑にまとめていきます。

・ジョッシュは元カノのティナと偶然再会。ティナには今彼スティーヴンがいてジョッシュの未練たらたら感やべえ。完全フラグ。

・ジェイミィって勝気な女子が万引きして、恋人である店員ライアンのもとに逃げ込むけど、結局警備員とウザそうな店長に見つかる。ライアンはクビにされ、ジェイミィは警察に引き渡されるが、登場した刑事がジェイミィのパパ、トッド。娘反抗期でマジ切れ。

・ヘザーっていうホラー映画でいかにもウザそうに叫ぶ系の女子とチャラそうなカイルって男子が駐車場でズッコンバッコン。それを見守る超かわいいワンちゃんブリー(ポメラニアン!!!!!)。

・ドイルといういかにも頼りがいのある感じの男は顔を明かさないパートナーと手を組んで、「これを最後に足を洗う」と決めた強盗に乗り出す。しかし、たまたま居合わせたジェイミィのパパ、トッドに銃を突き付けられ、それを見たパートナーが人質を取り、ドイルの意思に反して人を殺してしまう。

 

こんなところですかね。んで、強盗がティナを人質にとってジョッシュが焦りだしたときに、とてつもない勢いで津波が押し寄せます。マジでいきなりです。まあ、津波ってそれが怖いのである意味リアリティあるのかもしれないですね。とにかく津波のせいでフロアは水浸し、出入り口の階段にはでっかいトレーラーが突っ込まれ一同閉じ込められます。

いいですか、皆さん。間違っても「この勢いで水来たらその力で骨砕けて絶対全員死亡でしょ。てか何で死体が水の勢いに乗ってダイレクトアタック決めたのに車の窓ガラス割れてないの?ティナとか絶対水当たった瞬間指全部いっているでしょ。こっちとら地震大国日本だぞ。なめんじゃねえぞ」とか色々突っ込んではいけませんよ。そんなこと言ったら映画が成立しません。『スター・ウォーズ』観ながら「なんで宇宙で火が起きてんだよ。真空だろ」とか突っ込んじゃいけないのと同じです。ダメ、絶対。

そんなことを思いながらも暖かく温かく見守っていると、ジョッシュ、ティナ、スティーヴ、ジェイミィ、足に鉄片がぶっ刺さったトッド、ドイル、店長のジョサップ、店員のナオミ、警備員、柄の悪い大男(声と話し方で顔を隠していた方の強盗だってすぐに分かりますが、一応マスクを死体に被せて身代わりにし、何食わぬ顔で皆に加わっている設定です)が水浸しのフロアの商品棚の上に登っていきます。同じころ、同じく水浸しになった駐車場ではライアンが自分のボロ車から脱出、ヘザーとカイル、ブリーちゃんは沈んだ車の中に浸水されないまま閉じ込められます。

ここから場面が分かれるので各自まとめて書きますね。

<フロア側>
脱出口を探すためティナとスティーヴは店の入り口側、警備員のボブは倉庫側を見に行きます。

しかし、ジョッシュが不穏な影に気付き、お決まりのセリフ「Get out  of the water!」を叫びます。ティナとスティーヴは急いで棚に上がりますが、逃げ遅れたボブが皆の前で襲われて引き裂かれます。その場を悠然と泳ぎ去るサメを見て、彼らはホホジロザメと一緒に閉じ込められたことを知るのでした。

店長のジョサップは「警官だろ、なんとかしろよ」とバカ丸出しの発言。武器もなしに3m以上あるホホジロザメをどうにかできる奴がいるか。こういうバカは死ぬのがモンパニ映画のセオリーですね(そして、案の定後で死にます)。

どうすることもできない一同の前に、別の危機が。建物が揺れた振動で漏電しているケーブルが垂れ下がり、電気を切らずに放置すると全員感電死しかねない事態に。電気を切るには水の中に入って倉庫に向かう必要があります。見事なタイミングで、水につくかつかないかのスレスレでケーブルが垂れ下がる感じ、天の声が聞こえてきそうな完全に狙ったシチュエーションです。まあ、映画なんで別にいいんですが。

感電死もヤだけどサメもヤダ。さてどうするか。スティーヴ君がなんとも奇想天外なことを思いつきます。買い物カゴとか缶詰とかで作った自家製モビルスーツを身にまとい、シュノーケルから伸ばしたホースで息を吸いながら底を歩き、サメをやり過ごそうというのです。なんでそんなものでサメを避けられると思ったのか謎ですが、サメは本当にスティーヴを無視し、スティーヴは任務を成功させます。しかし、電源まで手を伸ばすためホースを捨てたスティーヴはそのまま溺れ死んでしまいます(このシーン、ジョッシュがホースを引っ張らなければスティーブ死ななくて済んだ気がしてならないのですが、主人公を人殺しにするわけにもいかないので、突っ込まないのでおきましょう)。

やることもなく待っていると、ジョッシュが上に通っている太い空調パイプから外に出られないかと思いつきます。志願したジョサップをロープを使って持ち上げ、パイプに登らせようとしますが、パイプ内を歩いていた無数のカニに邪魔されてぶら下がります。ちょうどそこにサメがガブリ。ジョサップは半分になり。サメは落ちた残り半分も美味しく頂きます。そこら辺に死体が浮いているのに飛び出してまで登場人物を食べるあたり、ある意味健気なサメです。

今度はドイルが案を出します。サメを肉につけたフックで引っ掛けて、つなぎとめている隙に脱出しようというのです。ジェイミィが勇敢にもサメを出し抜いてフックと肉を調達し、ドイルは罠を張りますが、サメは肉を無視してしまいます。すると、大男のカービーが「生餌が必要なんだよ!」と本性表し、銃で皆を脅します。ここでやっとこの男がドイルの相棒だというバレバレな設定が公式に明らかになります。

カービーはナオミのシャツにフックをかけて水に落としますが、ドイルが包丁と棒で作った自家製の銛でカービーを突き刺し、ナオミを救い出して回収したフックをさらに突き刺して代わりにカービーを餌にします。サメはカービーを食べる際にフックに引っかかり、計画は成功します。

<駐車場側>
ライアンは車から脱出して大量に積まれた車の残骸に登り、ヘザーたちに気付きます。しかし、彼らもまた、ホホジロザメと一緒の空間に閉じ込められていたのです。ブリーちゃんが吠えるせいなのか、それともヘザーとカイルがこの危機的状況でプレゼントの靴がグッチの偽物だったことで喧嘩する馬鹿さ加減にイライラしたのか、サメは車をつついてガラスにひびを入れていきます。津波の水圧でも割れなかったのに、実に都合のいいガラスです。

ライアンに向かって「助けろ!なんとかしろ!」と理不尽なことを喚くカイル。実にいい人であるライアンはそれをちゃんと引き受け、近くにあった死体の腕でサメを自分側におびき寄せ、その間に沈みきっていないバンの上に泳ぐようにカイルたちに指示します。

結果的にヘザーとカイルはバンまで泳ぎ着くのですが、なんとカイルのクソ野郎がブリーちゃんを放り投げやがった。これはマジで死刑ですね。ポメラニアン投げるとか。クマちゃんみたいな顔しているとはいえ実家にポメラニアンがいる僕からしたら許されざる大罪ですね。うちのワンちゃんに同じ事したら、いっそサメに食われた方がマシだと思うくらい生きたままズタズタのグチャグチャにします。ええ、レクター博士も真っ青にしてやりますとも。

まあ、この後パイプを伝って脱出しようとしたライアンが逃げる際のドタバタでカイルはバラバラに食いちぎられ、ブリーちゃんも無事だったので僕は大満足ですが・・・。

 

さて、やっとここで場面がつながります。ライアンは一縷の望みにかけ、恋人ジェイミィに通じるサインをモールス信号のようにパイプを叩いて伝え始めます。それを聞いたジェイミィと、彼女を心配するジョッシュ(パパのトッドは足のケガで当然行けません)が駐車場に向かいます。

駐車場に着くと、さっそくサメがジョッシュとジェイミィに迫ります。トッドの車に登った二人は、協力してサメの隙をついて銃を取り出し、ジョッシュが顎の下からサメにショットガンを一発。脳みそがはじけ飛んだサメはそのまま水に沈んでいきます。あっさり書いちゃいましたが、結構緊張感のあるシーンです。

ドイルたちはその間にスーパーの入り口側に非難。ドイルが入り口のところに詰まったトレーラーのウィンチを引っ張り、電源に繋げて入り口を爆破して開けようとします(映画でよくある、「よくわかんないけどワイヤー+電気+αで爆発」ってやつですね。『ディープ・ブルー』でもありましたが、まあ突っ込まずにおきましょう)。しかし、ジョッシュたちが戻ってきたちょうどその時に建物が激しく揺れ、衝撃でサメが自由になってしまいます。そこでジョッシュが実にアクロバティックな体制でポールにぶら下がり、トッドの車からもってきたテーザー(銃みたいに打つタイプのスタンガンです)を発射。サメは感電死します。

サメを撃退し、入り口を爆発で開けた一同が外に出ると、目の前には津波で滅茶滅茶になった街が。んで、最後に意味もなく飛び去る海鳥が、これまた意味もなく3Dで飛び出したサメに食われて、一件落着・・・、って津波のせいで全然落着ではないですが、とりあえず映画自体はおしまいです。

 

【サメの生態に関する評価】
今回のサメはサメ映画あるあるで人を食いすぎな点と、一部のCGが雑なことを除けば、そこまで文句のつけるところがないと思います。「津波がサメを健全な状態で運んでくれるのか」という疑問が残りますが、まあ実際には分からないことなのでいいでしょう。

水中を泳ぐ顔がお目目が小さすぎて可愛い、飛び出したりするときのCGが雑で作り物感がすごい、顔を出したり泳ぐ姿が水上から見える場面では模型(?)がリアルでいい、など、場面によってサメの質が変わるのがマイナスポイントですが、近ごろのC級サメ映画と比べれば全然マシなので僕はあまり気になりませんでした。

 

【映画としての評価その他コメント】
「もしも家の周りや学校が水浸しになり、そこにサメが入ってきたら・・・」。一度はした妄想ではないでしょうか。多少の無理矢理感はありますが、そんな中二病なシチュエーションを形にしてくれてぶっちゃけ僕はテンション上がりました。無駄な場面も少なくてテンポのいいパニック映画です。確かにサメの出来具合や、カービーの正体がバレバレなことや、所々穴はありますが、単なる娯楽映画としては十分なクオリティだと思います。