ディープ・ブルー (Deep Blue Sea)

『ジョーズ』の続編を除けば、『ジョーズ』の次に有名かもしれません。『ジョーズ』を古臭いと感じる人やテンポの速いアクションが好きな人にとっては『ジョーズ』よりは高評価のようです。ちなみに、小学校低学年だった僕は初めて観たとき怖くて泣きました(笑)。

題名:ディープ・ブルー
原題:Deep Blue Sea
公開年:1999年
監督:レニン・ハーリン
主演:サフロン・バロウズ、トーマス・ジェーン

【かなりぼかしたあらすじ】
大手上場企業のキマイラ製薬はアクアティカと名付けられた海上施設でアオザメの脳組織からアルツハイマーの特効薬を開発する研究を行っていた。しかし、実験ザメが研究所から逃げ出し、クルーザーの一般人を襲撃するという事件が発生。死者こそではなかったものの、社長のラッセル・フランクリンはこの事件をきっかけに研究の中止をほのめかす。責任者のスーザン・マカリスター博士は成果を急ぎ、ラッセルを招いて実験の最終段階を行った。実験は見事成功したが、スーザンの実験の副作用によってサメの知能が増し、サメたちは職員を襲い施設を破壊し始めた。外は嵐に見舞われ脱出も困難の中、狭い施設内で人間対サメのデスゲームが開始された・・・。

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【ネタバレを含むあらすじ】
クルーザーの上ででお酒を飲みながらいちゃいちゃするカップル二組。ダブルデート中に船をブチ破って「こんにちは」したのは、歯をむき出しにしたアオザメ。驚いて船から落ちたカップルに迫り、「あわや」という寸前、アクアティカでサメの飼育係をしているカーターが麻酔薬の入ったダーツを発射。サメはおとなしくなり間一髪のところで悲劇は免れました。

死者こそでなかったものの今回の事件はメディアにも取り上げられ、研究の責任者であるスーザンは社長のラッセルから呼び出しをくらい、株価悪化を見込んで実験中止を言い渡します。父親がアルツハイマーによって苦しんだ経験をもつスーザンは諦めきれずに食い下がり、近日中に目覚ましい結果を出せなければ喜んで研究所をたたむと宣言。実験にはラッセルも立ち会うことに(何でだろう)なり、二人はアクアティカに向かいます。

ラッセルは短髪ブロンド美女のジャニスに案内され施設を散策。イタチザメ(縞模様がついたただけのアオザメ)がいる区画で何の道具も持たずに泳ぎ、華麗にサメの口からはみ出したナンバープレートをはずすカーター、ジャニスの恋人であり研究者でもあるのに平気で立ちションしているジムを紹介されます。

ちなみに、カーターがイタチザメの口から外したプレートの番号は、『ジョーズ』でフーパ―がイタチザメの胃の中から取り出したものと同じです。番号が「007」なのも何か映画ファンとしては意味深ですね。

週末は最小限の人数で運営するとのことでスタッフの大半が帰り、実験前にスーザンの誕生日パーティで楽しみます。いいムードの中、パーティ前にイタチザメを実験用のアオザメ二匹が共同して食い殺す場面を目撃したカーターは、スーザンにスケジュールを急ぐことについて警告します。しかし、「結果を出さなければ全員失業よ。特にあなたはは大変じゃない?(カーターは密輸の前科者)」と言って耳を貸さず、実験を強行。

サメを実験室に届けようと潜ったカーターを前にしたサメが共同で狩りを行い、銃を認識するようなそぶりを見せ、さらに意図的に水中モニターを破壊したために実験室は緊張が走ります。しかし、自らの空気タンクをおとりにしたカーターが麻酔銃をサメに発射。グッタリとしたサメとカーターが実験室にせりあがってきます。

実験は見事成功し、サメから取り出した脳組織によってアルツハイマーに侵された人間の脳が一部活性化する現象を確認。喜ぶのもつかの間、サメに近寄って煙草を吸う(どう考えても不注意)ジムの腕を、アオザメが思いっきり食いちぎります。

完全に目を覚ましたサメは暴れだして拘束具も破壊、とっさに銃殺しようとしたカーターを見て、スーザンは緊急ボタン的なものを押してサメを逃がしてしまいます。

すぐさま救急ヘリがアクアティカに到着しますが、外はとてつもない嵐。ずぶ濡れになってジムを乗せた担架を運び、ヘリからぶら下がるワイヤーにつなげて一同は施設内に戻ります。しかし、ヘリのワイヤーが故障し、ジムは海中に落下してしまいます。引き上げようとする隙を与えず、水中のサメがジムの担架を咥えて全力疾走。ヘリは施設の管制塔にぶつかり、大爆発が起きます。

突然の衝撃に戸惑う施設内のスーザンたちの前に現れたのは、実験室にある巨大なガラスに映る影。それはどんどん近づいてきて、ジムを咥えたサメだと分かった瞬間、サメは勢いよく担架をガラスに叩きつけました。ガラスは徐々にひび割れ、完全に割れると同時にとてつもない水が押し寄せてきます。スーザンたちは必死になって入り口に向かい、全員の力でなんとかハッチを閉めました(施設内の空気と水が一気に押し寄せてくるのを人間の力では絶対押し返せない気もしますが、どうなんでしょうか)。

同じころ、キッチンがめちゃくちゃになってひとまず出口に向かっていたコックのプリーチャーも、階段を登ろうとしたところ押し寄せてきた水に流されてしまいます。

階段も水に沈んでしまい、潜水艇で逃げようというカーターの提案に基づいていったん施設の最下層に一同は向かいます。しかし、その途中の鋼鉄の扉がすごい衝撃で攻撃されるのを目撃、やがて扉は破られ、またも水が押し寄せてきます。

一端落ち着いたところでラッセルが口を開きます。ラッセルを演じるサミュエル・L・ジャクソンは、僕の印象ではほぼ全ての映画で子供に聞かせたくない言葉を連発しているのですが(そしてそんな彼が僕は大好きなのですが)、この映画でもやっとそれらしくなってくれました。

ラッセル:「Was that a goddamn shark broke through that door?」
カーター:「I expect so」
ラッセル:「You expect so? Well, well, well.. Am I the only asshole down here who thinks that a tad bit odd?」

ちなみにこの後の食われる少し前の演説を始める前も「Enough! That’s enough!」と叫び、『スネークフライト』(原題:Snakes on a Plane)のあのシーンを彷彿とさせ、僕的にはたまらないですね。はい、どうでもいいですね(笑)。

とにかく、この場面でスーザンが協定や法律を破り、ジムと一緒にサメの遺伝子操作を行い、副作用でサメの知能が上がったということを白状します。

とにかく潜水艇でまずは脱出しようと一同は向かいますが、彼らが目にしたのはひっくり返って使い物にならなくなってしまった潜水艇の無残な姿でした。

さて、コックのプリ―チャーは相棒のインコともはぐれてしまい廊下を歩いていましたが、施設内に侵入したサメに追いかけられ、厨房に逃げ込みます。食器棚に登って水中からは脱しましたが、サメがいきなり顔の覗かせ、鍋に乗って休んでいたインコを食ってしまいます。

プリ―チャーは何とか電子オーブンの中に隠れますが、サメが何度も攻撃した際に偶然「チン!」とスイッチが入ってしまいます。スイッチが入った瞬間、すごいシリアスな場面なのに「This isn’t happening」と少しコミカルな感じに言うのがいい感じですね。

ガスが充満し苦しい中、護身用で持っていた斧で脱出。充満したガスに向かってライターを投げ、サメを粉々に吹き飛ばします。

さて、場面は戻ってスーザンたちへ。脱出方法について仲間割れをして言い争うスーザンとスコッグズに対し、ラッセルが制して団結の大切さを説きますが、肝心な脱出方法について述べる前に、水から飛び出してきたでっかいサメに食われてしまいます。

一同はエレベーターハッチを登りレベル1まで登ることにしますが、気圧の関係でハッチを開けた瞬間に、先ほどサメが飛び出してきた水が一気に沸き上がり押し寄せてきました。この時もカーターたちはエレベーターシャフトのハッチを閉めてますが、どんな馬鹿力なんだろう。

さて、梯子を上ってレベル1を目指す一同でしたが、サメがハッチを破って侵入。水がどんどん侵入してきます。カーターがレベル2に水が流れるように扉を開けて時間を稼ぎ頑張りましたが、梯子自体が折れてしまい、衝撃でジャニスが落ちてしまいます。引き上げようとするカーターの努力も虚しく、ジャニスはサメに噛み付かれたまま引きずり込まれ、水は真っ赤に染まっていきました。

水が上がってきてサメに食われるのを待つしかないのか、と絶望するスーザン、カーター、スゴックスの前に現れたのは、先ほどサメをふっ飛ばしたプリ―チャーでした。

布をつないだロープでレベル1に上がった彼らでしたが、階段が水没したことをプリ―チャーから聞かされます。階段の水を排水するための装置を動かすため、カーターとスコッグスは最初に水没したサメの実験室まで向かいます。

ジムの死体が浮かんでいる実験室で二人は排水装置を動かすことに成功します。しかし、喜ぶのもつかの間、サメが後ろから迫り、スコッグスを咥え排水装置に食いちぎりながら押し当てめちゃめちゃにしてしまいます。カーターは辛うじて部屋から脱出し難を逃れます。

同じころ、スーザンはどうしても研究データだけは持ち帰らなければならないと言って、止めるプリ―チャーを聞かずに腰の高さまで水没した自分の部屋に向かいます。研究データを無事に見つけ、サメの模型にビックリした後にほっとしていると、本物のサメ登場。小さい棚の上に追い込まれたスーザンは、ウェットスーツを抜いて下着姿になり(サービスショットですね)、それをたたんで踏み台にして電気の通ったコードを引き抜き、向かってきたサメに投げつけ、サメを感電死させます(脱いだのはサービス精神ではなく、自分が感電しないようにしたんですね。当たり前だけど笑)。

さて、残された三人は最終手段に出ます。小部屋のハッチから水中に逃げ、救命胴衣をつけた消火器を囮に、海の上まで自力で泳ぐのです。プリ―チャーが祈る中部屋は水でいっぱいになり(ハッチを開ける前に部屋の水圧を外と同じにするため)、三人は脱出。サメは最初消火器を咥えますが、すぐに口から離し、海面に出たプリ―チャーに嚙みつきます。これまでかに思われたプリ―チャーでしたが、神に祈るときに握りしめていた十字架のネックレスを必死にサメの目にぶっ刺し、サメが離したところでカーターに救われます。

このまま助けを待てば一件落着に思われましたが、揺れるフェンスを見てカーターはサメたちの狙いに気づきました。彼女たちの目的は、施設内で人間を追い込んで水浸しにして水没させ、地上に出ているフェンスの鋼鉄部分(水中にはチタン合金が使用されていましたが、海上はただの鉄でした。予算ケチったんですかね)を水中に下げて、そこを食い破って外に出ること、”Deep blue sea” (深く青い海)に行くことだったのです。

スーザンとカーターは自然界に出てしまう前にサメを殺さなければならないと決意し、火薬をつめたダーツをサメに打ち込み、それをバッテリー電源で起爆させる作戦に出ます。しかしサメが遠すぎてカーターはうまく狙えません。スーザンはそれしかないと考えたのか、それとも自分が犯した罪の責任なのか、自らが餌となってサメをおびき出すため手を切りつけて海に飛び込みます。

サメはただ単に腹が空いていたのか、それともその知能ゆえに血の匂いがスーザンのものと分かって殺したくなったのかどうかは知りませんが、フェンスを壊すのをやめてスーザンに猛接近。そこに矢をぶち込めばいいものを、カーターはスーザンの身を案じて海に飛び込んでしまいます。一連の事故が起きる前のスーザンとカーターのいい感じのムードは、ここでスーザンのことが心配で非理性的な選択をしてしまうことへの伏線だったのかもしれません。

しかし、サメは無情にもカーターが海に飛び込んだ瞬間というある意味最悪のタイミングでスーザンに襲い掛かり、半分に食いちぎってさらに残った半分も美味しく頂いてしまいます。その上今度はカーターに迫っていきます。歯をむき出しにして戦闘態勢に入るサメですが、カーターは冒頭のイタチザメのシーンで見せた以上の驚異の身体能力を見せ、アオザメの攻撃をかわして背ビレにつかまります。ガチレスしてしまうとアオザメはサメの中でもトップクラスのスピードを誇るサメなので、この時点でカーターは魚人確定ですね(笑)。

サメはカーターを振り落とそうと猛スピードで泳いだり、くねくね変な動きをして暴れます。しかし、そこへ血まみれになったプリ―チャーが登場。意識が朦朧とするなかで二人のピンチを目撃し、力を振り絞って立ち上がり、銃を構えます。プリ―チャーの放った矢はサメに命中しましたが、何とカーターの太ももも貫きます。爆破をプリ―チャーが躊躇う間にサメとカーターは水中に消えていきます。

「やるしかない!」とプリ―チャーはバッテリーにワイヤーをつなぎ、大爆発でサメは木っ端微塵に。サメがフェンスを破る際に矢から外れていたカーターも無事で、二人は沈みゆく施設に横たわります。

疲れ切った彼らは船の音を聞きます。顔を上げると、交代のスタッフがこちらに向かってきます。「こんな仕事はやめだ」とカーターは毒づき、二人は脱力したように寝転がって、この一連の騒動は幕を下ろすのでした。

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【サメの生態に関する評価】
姿かたちに関しては、イタチザメの件を除けば、サメ映画史上で恐らく最も正確に描かれていると言えるでしょう。CGとアニマトロニクス(生物を真似して作ったロボット)を巧みに使い分け、かなりリアルな映像になっています。サメの形も本物そっくりだし、獲物を襲う前に歯をむき出しにするしぐさや、攻撃するときに白目をむく表情も、本物の顔の動きを反映しています(アオザメを含むネズミザメ目のサメは、獲物を襲う際に目を保護するため目玉を反転させ白目をむくことがあります。メジロザメ目で似た現象が見られますが、あれは瞬膜という膜が下りてきて目を保護しています)。

しかし、そこまでやっておいて「これはないだろう」と思ったのが、イタチザメです。どう見てもアオザメのロボットを縞模様に塗っただけ。ナンバープレートのネタを入れてくる時点で当然『ジョーズ』を見てるんだから、イタチザメの形状を当然知っているはずなのに、これは明らかに手抜き。まあ予算の関係とかいろいろあったのかもしれませんが、これにはかなりガッカリしています。

サメの行動に関してですが、今回は「知能が高くなった」という設定があるので、あんまりグダグダ評価はできません。この映画に出てくるサメは明らかに食欲旺盛すぎる感じがしますが、それが通常の食欲ではなく「人間を追い込むための策略」、または「知能が発達した分エネルギーが欲しくて食べたくなる」などの理由からである可能性があるので、その部分は突っ込まないのが賢明でしょう。強いて批判するなら、知能に関係なくサメが後ろへの推進力を生み出す体の構造をしていないから後ろには泳げないので、そこは間違いなくアウトということと、この映画の最後で重要になったフェンスについて、ぶっちゃけあの海のスペースとアオザメのパワーならあのくらいのフェンスジャンプで超えられたのでは?という疑問が残ります。まあ、そうなると映画が成立しなくなるのであんまり突っ込みませんが・・・。

 

【映画についての評価その他コメント】
サメ映画、というより、『ダイ・ハード2』や『クリフ・ハンガー』に代表されるレニー・ハーリン監督が得意な「不運だけど不死身野郎 vs 悪党」という設定を変えず、悪党の部分にサメを入れた感じですね。映画自体はハラハラドキドキで、音楽の入れ方も効果的で、本当に恐ろしく感じられます。サメを殺人マシーンとして描いてしまった点ではやはり一部のサメ好きからは評価が悪いでしょうが、僕個人としてはやはりパニック映画としては好きですね。結構人が食いちぎられてグロですが、最近の「とりあえず内臓とかだしときゃいいでしょ系」のクソ映画(失敬)と違って、そこまで嫌味じゃありません。

ただ、先述したイタチザメの件といい、スーザンが自室で襲われるシーンのサメの映像が一部あきらかにプリ―チャーが厨房で襲われるシーンの使い回しだったり、ところどころ「予算がたりなくなっちゃったのかな」と思える場面が見えます。ですが、下手なCGや明らかにどっかのドキュメンタリーの使い回しだろと言いたくなる映像を使わずに頑張った点、僕は評価してあげたいです。