ジョーズ’87 復讐篇 (JAWS: The Revenge)

  1. さあ、天才スピルバーグから始まったジョーズシリーズは、なんともぶっ飛んだ方法で幕を閉じます。これ以降も「ジョーズ」 という言葉が邦題に入ったポンコツ映画が沢山現れますが、一応本作が正当な完結編です(正当とは認めがたいクオリティですが・・・)。

題名:ジョーズ’87 復讐篇
原題:JAWS: The Revenge
公開年:1987年
監督:ジョゼフ・サージェント
主演:ランス・ゲスト、ロレイン・ゲイリー

【かなりぼかしたあらすじ】
かつてサメと死闘を繰り広げたマーティンを病気で亡くしたものの、アミティ島で平和に暮らしていたエレンとショーン。しかし、そんなブロディ家にサメが復讐にやってきた。次男のショーンがサメに惨殺されてしまい悲しみに暮れるエレンは、マイクが研究者として活動するバハマで休息をとることに。息子夫婦と孫と共に心の傷を癒すエレンだったが、何とサメはバハマまでブロディ家を追ってきていた。サメとの因縁に決着をつけるため、マイクとエレンはサメに立ち向かう・・・。

 

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【ネタバレを含むあらすじ】
ぼかしたあらすじの時点でとんでもない物語だと分かっていただけたと思いますが、まあ続けましょう。

冒頭は平和なブロディ家からスタート。長男マイクは海洋学者として家を出て活躍し、次男のショーンと母エレンはアミティ島で仲良く暮らしていました。ショーンは父マーティンと同じように警察官として働いています。

クリスマスシーズンにゆっくり過ごすつもりのショーンでしたが、港にある流木が漁師の邪魔になってしまうということで、一人で船を出し除去することに。

ブイのところに引っかかった大きな流木をどけようと作業するショーンに迫る不穏な影(音楽は引き続きジョン・ウィリアムズなのでそこの質はしっかり保っています)。サメが突然飛び出し、ショーンの左腕を食いちぎります。気が動転しながらもショーンは必死で助けを求めますが、クリスマスの聖歌隊演奏にかき消され誰も気づきません。サメが再度飛び出し、船を破壊してショーンをさらに襲います。流木につかまり助かろうとする努力も虚しく、ショーンは水中に引きずり込まれてしまいます。

ショーンの葬式のため兄のマイク、その妻カーラ、娘のティアがエレンのもとを訪れます。悲しみを共有するひと時ののち、エレンはマイクに「海に入らないで」と執拗に迫ります。ここで初めてマーティンが心臓麻痺によって死んだことが明かされます。マイクはなだめようとしますが、エレンはサメが一家を狙っているだの、マーティンもサメへの恐怖で死んだのだからサメが殺したようなものだとか無茶苦茶なことを言い食い下がります。

ちなみに、一部のサメ映画レビューでは「マーティンの死は『ジョーズ3』でサメが出たことによるショックで心臓麻痺を起こしたため」と書いてありますが、それはエレンがヒステリックに言っているだけで、実際にそんなイカれた理由でお亡くなりになられたのかは不明です。

一作目『ジョーズ』の場面が挿入されるという違う意味でしんみりする葬式の後、マイクはエレンをバハマに連れていき心の傷を癒してもらおうと提案します。

陽気な中年のパイロットホーギーの操縦&運転でマイクの家に到着するも、エレンはサメへの恐怖から、海の近くで孫が遊ぶだけで気が休まりません。就寝中もサメに食われる悪夢にうなされてしまいます。

この後、マイクが研究のため海に潜り巻貝に標識を付けたり、共同研究者の陽気なジェイクと家族ぐるみで仲よくしたり、エレンがなおも海に潜らないでほしいとマイクに懇願したり、明らかに初回作よりも質が悪くなった模型のサメが海を泳いだり、ティナと一緒に砂の城を作っていたエレンがパイロットのホーギーといい感じに砂浜を歩いたりと、いろんな場面が流れるのですが、面倒くさいんですっ飛ばしますね(笑)。

巻貝の調査中、潜水艇に乗るジェイクの横を通り過ぎる巨大な影。突如サメが現れ、マイクが立っていた船の出っ張った板の部分に思い切り噛みつきめちゃめちゃにします。同じころにホーギーと祭を楽しんでいたエレンは虫の知らせ(この場合はサメの知らせ?)で突如胸がざわつきます。もはや超能力です。ホホジロザメを感知する能力があるなら僕も欲しいです。ちなみにこのサメ、ただ木の板を噛み散らかしただけなのに、なぜか水に潜るときに口から血を出していました。口の中を切っちゃったのかな(笑)。

ジェイクは大興奮してサメを調査対象にしようと言い出します。マイクは複雑な表情で海を見つめ、一言「母さんには言わないでくれ」。

その後も島のカジノパーティにみんなで出席したり、ホーギーといい感じになるエレンをマイクが心配したり・・。ここも飛ばします(笑)。

ジェイクはサメの心拍を利用した発信器を自分で作りサメを調査することにノリノリです。マイクは巻貝の調査が中途半端になってしまうと反発しますが、最終的には折れて、数日間サメを調査することに。

撒き餌をして肉をぶら下げサメを待つマイクたち。「押すなよ、絶対おすなよ」的な装置に支えられ、黄色いシャツに青いキャップというギャグみたいな恰好で待ち構えるジェイク。サメが肉に食らいついた瞬間を狙い、サメの横顔に発信器を取り付けます。普通は背ビレの付け根に取り付けるんですが、まあ置いておきましょう。

ヨットに乗り換えてサメを追うマイクとジェイクでしたが、サメを見失ってしまいます。

エレンとカーラのガールズトークとかをすっ飛ばして後日の調査へ。マイクは潜水艇に乗り巻貝の調査を水中で行っていましたが、サメに取り付けた発信器の電波を受信します。身の危険を感じて潜水艇で船へと戻ろうとしますが、サメが横から潜水艇を攻撃してめちゃくちゃにしてしまいます。辛うじて逃げたマイクはそのまま沈没船の中に隠れます。ギリギリのところでサメが入ってこれない狭い部屋に逃げたマイクでしたが、サメが船の壁を破ってきました。マイクは背負っていたボンベの空気を放出させ、その勢いで天井の穴から水面まで一気に逃げ、慌てて船に上がります。こんなことをしたらマイクの肺が破裂するか血管に窒素がつまるような気がするのですが、置いておきましょう。

場面は移ってビーチへ。芸術家であるカーラが創作したオブジェが式典で称賛される中、娘のティアはバナナボートに乗って遊んでいました。しかし、突如サメが現れ、バナナボートを襲撃。ティアは無事でしたが、彼女の目の前で別の女性がサメに食われてしまいます。

泳ぎる去るサメの背ビレを見て決意したような表情をしたエレンは、ヨットに乗って単身海に出ます。武器はおろかサメをおびき出すための餌も持たずに追うとは、もはや血迷っているとしか思えませんが、とにかく船に乗って母親がいなくなったことを知り、マイクはジェイクと共にホーギーのセスナに乗り込んで母の救出に向かいます。

ちなみにここまで、少なくともエレンの理論では、サメを今まで殺してきたブロディ家への復讐でサメがショーンを殺し、ティアを襲ったとなっているぽいですが、ショーンを襲ったサメとバハマに現れたサメが同一のサメだという証拠やそれを表すシーンは一切ありません(笑)。

しかし、やはりそこは映画。何の餌も撒いていないヨットに対して向かってくるサメ。「Come and get me, son of  a bitch」と珍しく口汚いことを言うエレン。「武器も持たずに何ほざいているの」とサメが思っているかどうかは知りませんが、サメはどんどん向かってきます。ちょうどマイクたちがセスナでエレンの船を見つけたまさにその時、大口を開けたサメがヨットに噛みつきます。

ホーギーはセスナを水面に不時着させ、マイクとジェイクはセスナから泳いでヨットに乗り込みます。サメが飛行機を海中に引きずり込みますが、いつの間にか逃げていたホーギーもヨットに泳ぎ着きます。

マイクとジェイクは協力し、即席の電気送受信機を作り(どんな技術力やねん。ドクター・フーもビックリだわ)、サメの口に片方を入れることでサメの体に直接電気を伝えて倒そうとします。ジェイクはヨットの先に立ってサメの口に装置の片方を投げ込むことに成功しますが、そのまま落下してサメに咥えられて海に引きずり込まれてしまいます。

呆然とするマイクたちでしたが、サメを倒すと決意を固め、それぞれ持ち場につきます。マイクは電気装置を構え、エレンは操縦して船をサメに向けます。電気装置のスイッチを入れる度、サメは水面から顔を出し、苦しそうに「ウゴ~」とかいうゴジラみたいな声をだします。船はサメに迫り、『ジョーズ』のマーティンがサメを殺した時のシーンがフラッシュバックするように映り、サメにヨットの先が突き刺さり、その瞬間サメは大爆発(え?なんで?何故フットンダ?)。

いや、マジでここは謎です。どういう原理でサメが破裂したのか。最初観たときに「え?」と思って巻き戻して観直したくらい意味不明です。まあとにかく、これで一応サメは死んだことになります。

サメにぶつかっただけじゃ絶対そうならないだろうというくらい船が跡形もなくなって全員海に投げ出されて浮かぶ中、血塗れになりながらも辛うじて生きていたジェイクの声が。なんと彼は生きていたのです。

ホーギーのセスナに乗るエレンをマイクたちが見送り、ブロディ家とサメの長い長い因縁の対決は、こうして幕を閉じたのでした。

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【サメの生態に関する評価】
えーと、何から話せばいい(笑)?

まず、一応念のため突っ込みますがサメは別のサメが殺されたからと言って復讐に来たりしないです(笑)。一応ホホジロザメには社会性があるという報告もありますので、彼らの知能が『ディープ・ブルー』みたいに高度に発達すればあり得るかもしれないですね。

そしてマイクが「バハマはホホジロザメが来るには暖かすぎる」とか言っちゃってますが、バハマ(フロリダとかキューバの近く)にもホホジロザメは平気で入ってこれます。そもそも、寄網を発達させ驚異的な運動能力を持つホホジロザメは、サメの中でもトップクラスで分布域が広いです。サメ好きでない人なら知らない可能性があるのではっきり言いますが、日本近海でも襲撃事件や混獲されたケースの報告があります。なので、こんだけディスっておいて今更ですが、サメの行動範囲だけを考えて有りか無しか言えば、サメがアミティ島からバハマまでブロディ家を追ってくるのは一応可能です。

さて、その肝心のサメですが、今回の模型は実にお粗末でした。『ジョーズ』が作られたのは1975年、『ジョーズ2』が1978年。本作が1987年なので技術は進歩しているはずですが、明らかに1よりもサメが間抜け面だし動きがぎこちないです。お粗末ならカメラワークとかでそれを誤魔化して欲しいものですが、そこはスピルバーグのようにうまくいかなかったようです。

そして、これはこの『ジョーズ’87 復讐篇』以降のサメ映画でなぜか多用されてしまったので一応ここで断っておきますが、サメは吠えません。もう一度言います。サメは吠えません。何度でも言います。サメは吠えません。さあ皆さんご一緒に。サメは吠えません!!

 

 

【映画としての評価その他コメント】
突っ込みどころがありすぎて長くなりそうなので、いったん箇条書きにしてまとめます。
1、サメが復讐しに来るというストーリー設定がヤバい
2、本筋と関係ないどうでもいいシーンが多くて間延びしてる
3、ラストシーンがウ〇コ

1、
いや、やばいでしょ。ギャグ系の話とかサメが知能高くなりました系の話ならまだしも、これ『ジョーズ』の続編だからね。確かに『キングコング』シリーズとか『白鯨との戦い』(原題:In the Heart of the Sea)みたいに動物が一人の人間やあるいは人間そのものに執着するような映画はあるけど。そうだと仮定しても突っ込みどころがある。

まず、ナチュラルな流れでショーンを殺したサメがバハマにやってきて、そいつを殺してめでたしめでたしみたいになっているけど、ここがそもそもおかしい。だって、ショーンを殺したサメがバハマのサメだって示すシーンがない。僕がそのシナリオで映画作るなら、ショーンがマーティンの形見のナイフか何かを持っていて、死に際にサメの顔にぶっ刺して、刺さったままそのサメがバハマに来て、そのナイフを見てマイクが「やつが弟を殺したんだ」とかなる展開にしますが、それ系の伏線は一切なし。ちなみに、エレンが一匹のサメではなく「サメ」という全体を敵視していた可能性(要はショーンを殺したサメとバハマのサメは別物)もありますが、だとするとアミティ島にはまだサメがいることになるので、ちっともめでたくありません。

ただ単に不運な家族がまたもサメに出くわしてしまって、という流れなら「映画だから」と片付けられますが、マイクの前にサメが現れた際にエレンが胸騒ぎを起こすシーンなど、時々スピリチュアルな場面を挟むせいで「こいつらキてるんじゃないの」と思いたくなります。僕だけでしょうか(笑)。

2、
本筋と関係ないシーンが多く、結果的にサメが出るシーンはかなり少ないです。後半になって沈没船のシーンとかバナナボートのシーンがあって緊張感が出てきたと思ったら、あっという間にエレンが奇行に走り、ジェイクとマイクが謎のハイテク技術を突然発動し、最後には例の爆発。間延びしてグダッた分、お尻の方をギュウギュウ詰めにした感がすごいです。

3、
なんといっても例のラストシーン。実は、これには裏話があり、元々はサメに普通にヨットの先端が突き刺さり、それがサメを貫通してサメを殺し、沈んでいくサメの重みでヨットの先から船が壊れていく、という流れのラストがあるのです。動画サイトとかで頑張って探せば見つかるかもしれません。それを、誰が何を血迷ったのか知りませんが、例の謎の爆発シーンに差し替えられてしまったようなのです。確かにマイケル・ベイ監督だって酸素がない宇宙空間で大爆発を平気で起こしたり(『アルマゲドン』(原題:Armageddon))、ハリウッド映画は爆発を起こすことと全米を泣かすことが大好きですが、にしても棒に刺さってサメ爆発はテキトーすぎて笑えます。

唯一の救いとしては、エレン・ブロディ役を一作目、二作目と同じロレイン・ゲイリーが演じていることでしょうか。彼女がいるおかげで、ジョーズ感があるというかなんとうか・・・。