シャークアタック (Shark Attack)

残念なところも少々ありますが、サメが人を食いまくるのは異常なことなんですよ、とちゃんと表現してくれている点、割と迫力のあるアクションシーンなど、結構僕の中で高評価の映画です。

題名:シャークアタック
原題:Shark Attack
公開年:1992年
監督:ボブ・ミシオロウスキー
主演:キャスパー・ヴァン・ディーン

【かなりぼかしたあらすじ】
研究者のスティーブン・マクレイは親友マークの連絡を受け、不自然な頻度でサメの襲撃事故が起こっている南アフリカへ調査に向かう。スティーブンはそこで、親友マークもサメの餌食になってしまったことを知る。サメの異常行動の真相を明らかにするため、スティーブンはマークの妹コリンと共に調査を開始するが、その裏にはある陰謀が隠されていた・・・。

 

【ネタバレをふくむあらすじ】
冒頭はナイトダイブをするマークのシーンからスタート。狂暴化したサメの調査でナイトダイブって無謀じゃね?と思うのですがひとまずそれは置いておきましょう。船に上がって調査データをスティーブンに送信していたマークでしたが、いかにも悪者の使いパシリっぽい二人組に襲撃され、サメの餌にされてしまいます。

場面は変わってフロリダへ。マークの留守番電話メッセージと中途半端に送信されたサメの襲撃事故に関するファイルを見たスティーブンは、その異様な襲撃頻度を不審に思い、南アフリカへ調査に向かいます。

街に到着したスティーブンはホテル支配人のロウズが手配した漁師(漁業が成り立たずタクシー運転手始めた)マニの運転で、研究所にいるマイルズ・クレーブン博士のもとを訪れます。どうでもいいですが、最初にこの映画を観てマニが登場した時「ああ、多分この人は最後生き残る人だな」と思いました。なんとなくですけどね。

感じの悪い警備員に案内されてマイルズに会ったスティーブンは、マークの死をマイルズから知らされます(マイルズがカマストガリザメを解剖する際にマークの腕を発見しました)。

ちなみにマイルズがマークの腕をサメの胃の中ら発見するシーン、英語だと「Good morning, Mr. Blacktip」と言っているので、少なくとも設定上はカマストガリザメのはずですが、日本語吹き替えだと「見事なツマグロザメだな」となっていました。カマストガリザメかどうかは別にして、明らかにツマグロ(Blacktip reef shark)ではないサメなので、ここはちゃんと訳して欲しかったです。

バーでマークの妹コリンと再開したスティーブン。現地漁師に絡まれて喧嘩おっぱじめるというシーンを挟みつつ、二人はマークが最後に乗っていた船を訪れます。コリンはそこで、船の上にダイブウォッチがあり、遺体の腕には陸でつけていた時計が巻かれていたことに気付きます。江戸川コナン君であれば「あれれ~、おかしいぞ~」と言いたくなる不審な点ですね。

桟橋にて。マークが最後に潜っていたコイジラグーンにコリンがスティーブンと一緒に潜るかどうかもめている間に、さっきのバーで喧嘩売ってきた漁師がまたイチャモンつけてきてトラブルかと思いきや、ボート遊びをしていた少年がサメに襲われます。ボートをひっくり返されパニくる少年ですが、銛をもって飛び込んだスティーブンと漁師の活躍で助け出されます。物語の本筋とあんま関係ないですが、模型と本物の映像を見事に使い分けたなかなかいいシーンです。

翌日。スティーブンはロウズとマイルズに送り出され、マニの運転&ボート操縦でコイジラグーンに向かいます。

忠告を無視して先回りしていたコリンと共に潜ったスティーブンは、沈没船の中で低周波を発するつぼ型の容器を発見しますが、ホホジロザメの襲撃を受けます。沈没船に隠れながら難を逃れ浮上する二人でしたが、突然網につかまりコリンがボンベを落としてしまいます。網を切ってなんとかボートに上がったスティーブン達は、勝手に潜ったことに対しブチ切れる地元民族コイサン族に追い返されてしまいます(散々な日ですね)。

スティーブンたちはマイルズを訪れて低周波発生装置のことを尋ねたあと、懲りずに夜中コイジラグーンを訪れ、肉とチャム(魚の血とか色々まぜたもの)でサメ釣りを始めます。ボートの上で大暴れするサメを鎮静剤で大人しくしようとするも、結局銛で仕留めて(最初からそうしろよ)解剖スタート。水の中に写っていたのがホホジロザメなのに対し、船の上にあげられたのはどうみてもメジロザメ系(同定不可)なのは、サメ好きとしてはちょっと残念・・・。

解剖の結果、肝臓が変形しており、脳に異常が起きてサメが常に空腹を感じていたことが判明します。血液サンプルをとったところで、再びコイサン族にキレられてサメを没収されます。

翌日、マニのボートに乗っていたスティーブンたちは、再びサメの襲撃事件に遭遇し、足を噛みちぎられそうになっていた女性を救出します。ここも緊張感のあるシーンですが本筋とは関係ないです。

ロウズの妻に招かれた食事会でスティーブンは、サメの血液から見つかった謎のホルモンについてマイルズに追及します。観念したマイルズは、サメの血液細胞を使って癌治療薬を開発していると明かします。軽率に人体実験をしていると激昂するスティーブンですが、マークは効果が出ているのだから問題ないと聞き入れませんでした。

翌日、スティーブンとコリンは大きめに隙間を作ったシャークケージで海に潜り、低周波装置を回収します。2個目を回収している最中、マニが何者かに船の上で襲われてケージのロープを切られ、二人のケージはホホジロザメが泳ぎ回る海底に落とされていしまいます。サメの襲撃を受ける二人ですが、低周波装置の電源を切り、ボンベの空気を上手く使って浮上しピンチを切り抜けます。

その晩、サメの血液サンプルから見つかったホルモンがステロイド剤のせいだと判明。一連の襲撃多発の原因はマイルズの実験だと睨んだスティーブンたちですが、マークを襲った二人組に捕まり、コイジラグーンに投げ出されてしまいます。絶体絶命のピンチですが、先日沈没船に落ちたコリンのボンベを使って危機を脱します。実際にタンク内の空気がそこまで保存されているのかは知りませんが、この伏線回収はうまいなと思いました。

翌日、ホテルに戻って警察に通報した彼らでしたが、登場した警官は先日の襲撃犯。マニの車に乗ってカーチェイス開始。もはやサメ映画ではなくクライムアクション映画の体をなしてきましたが、まあお気になさらず。

逃げ切ったスティーブンたちは先日マイルズに紹介された治療薬の被験者である少年の元を訪れ、少年の容体が急変したことを知ります。マイルズの悪事を公表するため、スティーブンとコリンはマニの助けを借りてマイルズの研究所に忍び込みます。研究所内のサメを逃がすために柵を引き上げる様子が『ジョーズ』でクイントが檻を引き上げる場面を思い出させます。

研究室で多数の死者がでている患者リストを発見したスティーブン。患者リストをコピーすることに成功しますが、マイルズと警備員に見つかってしまい、コリンが捕まってしまいます。

『007 ロシアより愛をこめて』を思い起こさせる(ってほどでもないか笑)ボートチェイスで敵を振り切ったスティーブンは、マイルズからデータとコリンの交換取引を持ち掛けられます。スティーブンはコリンを助け出すべく、マニと漁師たちの協力を得て、マイルズの研究所に向かいます。

研究所にはロウズたちもいて、彼が一連のサメ騒動の黒幕だと明かされます。港近くで発見された油田の利益を手に入れるため、ロウズはサメ騒動で漁業と観光業をめちゃくちゃにし、港を自分のものにしようとしていたのです(色んな意味ですんげえ計画)。

口封じのためにスティーブンたちを殺そうとするロウズでしたが、スティーブンの合図で乗り込んだ漁師たちの襲撃を受け一同大混乱。ロウズは逃げ、ロウズに利用されていたマイルズは殺されてしまいます。

逃げようとするロウズのヘリにつかまり、もみ合った挙句ロウズと共に海に落ちるスティーブン。サメが迫る中、スティーブンを押しのけてブイに登ろうとするロウズ。形勢が逆転したあと慈悲深くもロウズを助けようとするスティーブンでしたが、ロウズはホホジロザメに食いつかれ、水中に引きずり込まれていきます。クソ野郎にふさわしい最期ですね。

スティーブンはマニや漁師にまた戻ってくることを伝え、途中からいい感じだったコリンとはお約束通り恋仲になり、めでたしめでたし。

 

【サメの生態に関する評価】
この映画『シャークアタック』で最も評価すべきは、「サメが人を襲いまくるのは人間がおかしくしてしまったから」という設定であり、最後に死ぬ悪者もサメではなく金を求める強欲な人間であるという点です。「こんなに頻度で人が襲われるのは異常だ」というストーリー設定そのものが「サメはそもそも常に人を襲う訳ではない」という事実に成り立っています。もちろん、人がサメに襲われるシーンはありますが、サメ映画お決まりの「殺人マシーンであるサメをぶっ飛ばしてハッピーエンド」というサメが絶対悪の立場になっていないこの映画の流れそのものが、サメの生態について高得点に値します。

ですが、残念なことにサメの種類については製作側は詳しくなかったようです。マイルズがマークの腕を発見するシーンで、コイサン族に運ばれていたサメはアオザメ(だと思う)なのに対し、解剖台にのせられたのはカマストガリザメ。夜中にサメを釣るシーンでも、肉に食らいついたのはホホジロザメなのに、船の上で暴れるサメは尾鰭下葉の長さと顔つきからして間違いなくメジロザメ系。さらに言えば、マイルズの研究所に忍び込む際に柵をあげてサメを逃がすシーンがありますが、どう見ても逃げるサメがホホジロザメ。あんなスペースで飼えるわけがないのに・・・。

ですが、全体的にはやはり高評価です。サメの襲撃シーンは模型と実際のサメの映像を使ったスリルのあるもので、一部模型が泳ぐ姿がショボい以外はいい感じでしたし、解剖されたサメもリアルでした。というか、肝臓が大きくてそれをどけると胃が見えるという体内構造がちゃんとしていて色もそれっぽかったので、本物のサメさばいたのかもしれないですね。

 

【映画についての評価その他コメント】
テレビ映画ゆえかボロはありますが、総じて面白い映画だと思います。サメ映画は今も昔もサメが完全な悪者になるものばっかりなので、サメを利用する悪者が倒されるというクライムアクションというのは新鮮です(後にできる『シャーク・ナイト』より現実味ありますしね笑)。腕についていたのがダイブウォッチではないというサスペンス映画さながらの手がかりや、沈没船に沈むタンクの伏線など、ストーリーの運びも悪くないです。本筋とあまり関係ないサメの襲撃シーンを挟むのはB級あるあるですが、ちゃんと主人公たちが登場して活躍する緊張感のあるシーンなので、どうでもいい人間がどうでもいい感じで食われる他のB級映画とは質の違いを感じさせます。

 

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