ジョーズ・リターンズ (The LAST SHARK)

邦題に「ジョーズ」とついていますが、実際は何の関係もないイタリア映画です。なんもリターンしていません。むしろ「ジョーズ・パクーリ」です。

題名:ジョーズ・リターンズ
原題:The Last Shark / Great White (L’ultimo squalo)
公開年:1980年
監督:エンツォ・G・カステラッリ
主演:ジェームズ・フランシスカス

【かなりぼかしたあらすじ】
ウィンドサーフィンの大会を目前に控えた港町。サーファーの一人が忽然と姿を消すという事件が起きた。作家のピーター・ベントンとサメ漁師のロン・ハマーはサメの仕業と疑うが、知事選挙を目前に事を荒立てたくない市長ウィリアム・ウェルズは大会開催を強行する。しかし、彼らの前に巨大な人食いザメが現れ人々を恐怖に陥れる。ピーターとロンはサメを倒すために海に出るが・・・。

 

 

【ネタバレを含むあらすじ】
※今回の作品は諸事情により英語音声・字幕なしを観てあらすじを書いています。僕のリスニング力不足のため細かいところが不正確かもしれませんが、何卒ご了承ください。

冒頭は青年サーファーの無駄な筋肉美を見せつけられるところからスタート。ムキムキの腕や足を使って華麗にサーフィンするシーンが続き「筋肉フェチ向けのPVかな」と思い始めたころ、水中から音もなく何かが忍び寄り、青年のサーフボードをガブリ。逃げる青年ですが、ボードごと派手に突き上げられ、そのまま引きずり込まれてしまいます。

場面は変わって主人公のピーター・ベントン(絶対ピーター・ベンチュリ―をモジっただろ)の家へ。ノコギリエイの吻やサメの顎など羨ましいコレクションに囲まれて執筆に勤しむピーターでしたが、先のサーファー君が突然姿を消したという報告を娘から受け、知事を狙うウェルズ市長のイベントをすっぽかし船を出すことに。

同じころ、どう考えても『ジョーズ』のクイント船長を真似たとしか思えない風貌のサメ漁師ロンは、歯型の残るサーフボードを発見します(船のカラーリングが『ジョーズ2』でマーティンが乗った船にそっくりです)。ロンと合流したピーターはボードを見て、サメの襲撃を疑います。ちなみにこの時、お風呂のおもちゃよりもひどいミサイルっぽい物体(恐らくサメ)がピーターのボートにぶつかるシーンがあり、先が思いやられます・・・。

さて、あとはお決まりのパターンです。「サメが出るからイベントを中止しよう」→「確証がないのにそんなことできるか」。しかし、沿岸警備隊が無人のボートと切り裂かれた腕を発見します。ピーターとロンは再度ウェルズに警告しますが、ウェルズはそれを無視し、サメ除けのネットと柵を設置して大会を予定通り開催することに。

ピーターとロンは何が目的かよく分からない講義で「ホホジロザメは恐ろしい人殺しだ」と決めつける話をし、若者たちはビーチで遊んだりイチャイチャしたり・・・。そんな中、巨大なサメは恐ろし気な音楽と共に湾に迫り、サメ除けの柵に執拗に攻撃を加えます。ついにサメはネットも破り、小さなブイにつながったロープを引きずりながら湾内に侵入します。柵を攻撃するサメはドキュメンタリー映像のパッチワークで本物っぽくしているのに、ブイを引いて泳ぎだすサメがまたロケットのおもちゃみたいな代物です。音楽は結構いい感じなのに、冗談みたいな模型のせいで台無しです。

そんなこともつゆ知らず、ウィンドサーフィン大会は予定通り開催されます。ピーター達もそれを見守りますが、大会の最中、ヨットの間を不自然に進むブイが。それは猛スピードで動き出し次々とサーファーを倒していきます。どう見てもブイがボードにぶつかる前にサーファーたちが勝手に倒れて水の中に落ちていっているようにしか見えないのですが、ここは突っ込んだら負けです。

ついにサメはその巨大な背ビレを出して泳ぎだし、一同大パニックになります。クイント似のロンは自分のボートでサーファーたちを救助するという活躍をみせます。市長の助手的なおっさんはボートの上でメガホンもって「Don’t panic」と繰り返しますが、妙に落ち着いたというか気合の入らない声で、まるで機械音声みたいです。そんな彼にサメは迫り、ボートを思いっきり突き上げます。水に落ちたおっさんの後ろから「フガァー!」と変な声を出してサメが登場。まるで某ネズミの著作権帝国(失敬、千葉にある「夢の国」)のアトラクションみたいに顔出した後ゆ~くり沈んでいくサメ。こんなにトロいんだからさっさと逃げればいいのに、おっさんはそこで浮かんだままで「うわぁ!」とか言って食われます。アホです。

 

ピーターとロンはピーターの奥さんを助手にしてサメ退治に出かけます。爆発する銛と爆薬を手に海に潜ったピーターとロンは、水中の洞窟でサメに襲われます。何でホホジロザメを仕留めるのに洞窟を探すのか理解に苦しむのですが、とにかく洞窟の中でサメに遭遇し、ピーターの銛は噛み砕かれ、ロンが銛を打つも外してしまいます。さらにサメが洞窟に体当たりし、彼らを洞窟に閉じ込めてしまいます。この時も例のふざけた模型で、なんか岩を鼻でつついて意図的に閉じ込めている感じがして、健気に思えてきます。ピーター達はサメを殺すためにもってきた爆薬で岩を吹き飛ばしなんとか脱出します。

 

同じころ、ウェルズは今回の事件で責任を問われ、それを見ていた息子が居ても立っても居られず、ピーターの娘ジェニーを含む友人たちとサメ狩りに向かいます。でっかい肉を垂らし当てもなく水の上を彷徨う彼らの前にサメが現れ、大はしゃぎ。ショットガンをぶっ放します。が、下手くそすぎてちっとも当たりません。挙句、肉に食らいつくサメを見ただけでなぜか絶叫するジェニー。そこに銃を撃てばいいのにパイプを引っ張るだけの若者たち。アホです。結局肉につながったパイプがぶつかってジェニーは水に落ち、サメに片足を食いちぎられてしまいます。

これを知ってウェルズは責任を感じたのかヘリに乗り込み海に出ます。ヘリから海を見下ろし、ホホジロザメの魚影を発見します。さっきの若者たちもそうですが、そんな簡単にホホジロザメを発見できる能力があったらぜひ欲しいものです。野生動物を舐めるなと言いたいですが、まあ置いておきましょう。

ウェルズはサメを見つけるとヘリを降下させるようパイロットに命令し、ドアを開けてヘリから肉を垂らします。するとサメがまた「フゴォー!」という叫び声をあげて水面から顔を出し肉に食らいつきます。ウェルズはどうするのかと思ったのですが、ただ「Up! Up!」と叫ぶばかり。まさかヘリでサメを釣り上げて、某カールじいさんみたいに浮かんでやろうとでも思っていたのでしょうか。完全に血迷っていらっしゃるとしか思えません。顔がスーパーマリオにしか見えないパイロットは必死に操縦しますが、サメが肉を思いっきり引っ張った衝撃でウェルズは水に落ち、両足を食いちぎられてしまいます。このシーン、ウェルズが自分で手を放して水に落ちたとしか思えない場面が二回映りますが、ここも突っ込んだら負けです。そんなウェルズを助けようとしていたパイロットもヘリごと引きずり込まれてしまいます(最後のパイロットの顔がどう見てもマリオの「マンマミ~ア!」にしか見えません)。

同じころ、頭の悪いというか倫理観の欠けたカメラマンが港の桟橋に肉を括りつけてサメをおびき出しスクープ映像を撮影しようと計画します。

 

そんな頃、ピーターとロンは再び海に出て、ヘリが引きずり込まれてバラバラになった場所を見つけます。ウェットスーツに着替える二人でしたが、サメをどっちが殺すかで口論を始め、最終的にロンがダイナマイトの入ったベルトを身につけて単身海に潜ることに。あまりにも無謀な計画です。ヘリコプターの残骸の中に入ったところをすかさずサメに襲われるロン。ピーターは慌てて潜って助けようとしますが、サメはロンが絡まったロープを引っ張って泳ぎだし、ロンは連れていかれてしまいます。

 

さて、桟橋ではサメハンターを気取るおっさんがサメに対して銃をぶっ放したりする場面を撮影しようとカメラマンたちが待ちかまえ、ピーターの奥さんたちもなぜかその場にいます。しかし、サメが肉を引っ張ったせいで桟橋が壊され、一同港から離れていきます。サメハンターのおっさんはライフルを落とし、ディレクターみたいな奴は「助けを呼ぶ」とかほざきながら映像のチェックを続けるだけ。絶望的な状況の中サメが桟橋をかじりだし、一同パニック。襲われて水に落ちたカメラマンは真っ二つに食いちぎられ、ピーターの奥さんは泣きわめきます。

そんな場面にピーター登場。全員を船に挙げて救い出すピーターでしたが、今後はピーターを桟橋に乗せたままサメがロープを引っ張り出し、ピーターは皆から離れていってしまいます。「いや、ウェルズの息子が船の操縦できるんだからピーターを助けに行けよ」と思うのですが、まあ置いておきましょう。

狭い桟橋でノロマなサメと対峙するピーター。タイミングよくロンの死体が浮かび上がります。引き上げようとするピーターの努力も虚しく、サメはロンを咥えて水に潜っていきます。ピーターはロンの腰から奪い取った起爆装置を持ち、水に飛び込みながら(意味不明)、起爆スイッチをポチ。サメの頭から少し後ろ当たりが吹っ飛ぶ描写が一瞬映り、サメが死んだことになります。いや、マジであっさりで、初めて観たときは「え、今死んだの?」となりました。

 

港に戻ったピーターは、バカな企画でカメラマンを死なせたおっさんからインタビューを求められ、そいつをぶん殴ってエンドクレジットが流れます。

 

 

【サメの生態に関する評価】
サメがメインの映画にしてはあまりにもお粗末な模型で、観ていて切なくなってきます。水中から顔を出すサメは、恐らく第一背鰭手前くらいまでしか作られておらず、水面から登場するときにゆ~くりと浮かび上がり、その迫力のなさを「フゴォー!」という謎の鳴き声で誤魔化している感じです。念のため言いますが、サメは吠えません!動きがあまりにトロ過ぎて、このサメに食われるには恐らく自殺願望でもない限り無理です。「食われるくらいサメが好き」という変態(良い意味)の方がこの映画の中に入れば、もう少しサメが映えるかもしれません。

もっとひどいのは水中シーンの模型です。ロケットのおもちゃみたいなものにゆらゆら揺れる胸鰭らしきヒラヒラがついていて、サメというか図工の工作。幼稚園生の時に僕が作った粘土細工の方がまだサメの形をしていたと思います。まあ、鼻先の尖らせたオンデンザメにバケアオザメの胸鰭をフニャフニャにしてくっつければこんな珍獣になるかもしれません。肉に食らいつくシーンや泳ぎ去るシーン、檻に体当たりするシーンはドキュメンタリー映像を継ぎ接ぎして本物のサメ感を一応出しているのですが、ときたま出てくるこの模型のせいで、完全にギャグにしか見えません。

一応模型以外のことにも突っ込んでおくと、生餌も血液も使わずにサメをおびき出すのは至難の業です。高級そうなでかい肉を水に垂らすだけで毎回来てくれるこのサメは、サメ好きからしたらかなり有難い存在です。謝謝。

 

【映画についての評価その他コメント】
対抗意識を燃やしているのか敬意を表しているのか知りませんが、『ジョーズ』のストーリー展開や要素をパクったトンデモ映画です。主人公の名前のピーター・ベントンは、間違いなく『ジョーズ』の原作者ピーター・ベンチュリ―をもじった名前ですし、相棒のロンの顔つき、海の男感、威張った挙句食われる結末は完全に『ジョーズ』のオルカ号船長クイントを意識しています。サメがブイを引っ張るシーンも、『ジョーズ』のサメが樽を引っ張るシーンを真似たものだとすぐに分かります。しかし、先述したサメの模型があまりにもしょぼい点、ストーリー展開にちょくちょく無理がある点(というか登場人物がバカすぎてよくわからない点)、最後のサメが死ぬシーンが実に地味な点のせいで、「パクリだ」というマイナスポイントを除いてもウ〇コ映画と言えます。

ラストシーンは特にひどいです。僕が初めてこの映画を観た頃の画質では画面が暗く、ピーターが意味もなく水に飛び込みながらスイッチを押した瞬間、ほぼ真っ黒な画面で「ボーン!」という鈍い音が聞こえ、「ん?」と思っているとエンドクレジットで、「あれ?今サメ死んだ感じ?」と本気で思って巻き戻しました。今のDVDなどで観れば「ああ、サメの頭がちぎれてんな」と割とはっきり見えますが、一瞬しか映らないし、しかもあのふざけた模型なので、ちょっと目そらすと何が起きたのかマジで分からなくなります。

あと、これは今後沢山出てくるサメ映画共通なのですが、ドキュメンタリー映像を見境なく使う映画は基本的に僕の中で評価低いです。映っているサメの細かい顔の傷とかが違うのはしょうがないとして、海の色とか、挙句に画質までも全然違う映像がいちいち挿入されて、しかも心霊特番の『ほんとにあった!呪いのビデオ』並みに散々使いまわされているから、観ていて萎えるんですよね。『シャークアタック』とか『ジョーズ 恐怖の12日間』でもドキュメンタリー映像は使われていますが、ちゃんと場面に合っているものを使ったり、CGを加えてシーンと整合性をとったりと努力が垣間見えます。

強いてこの映画で僕が評価する点は、音楽ですかね。『ジョーズ』に似せていなくもないような気がするけど、どうも頭に残るテーマソングは、この映画のクオリティが高ければ『ジョーズ』の音楽と同じように多用されたかもしれません。まあ、個人的な意見です。僕は音楽については専門性ないので(笑)。