オオメジロザメ (Carcharhinus leucas)

和名:オオメジロザメ
学名:Carcharhinus leucas
英名:Bull shark
分類:メジロザメ目メジロザメ科メジロザメ属
CITES:記載なし
生殖方法:母体依存型胎生・胎盤タイプ
飼育難易度:★★★★☆☆(水族館などで一応飼育可能)
見れる場所(野生):太平洋、大西洋、インド洋の熱帯から亜熱帯、東南アジア、沖縄諸島周辺。主に沿岸域に生息し、アマゾン川、ミシシッピ川、ニカラグア湖などの淡水域にも生息可能。
見れる場所(飼育):美京急油壷マリンパーク、(美ら海水族館)

【特徴】
最も危険なサメの一種として知られているので、サメに詳しくない方も聞いたことがあるかもしれません。メジロザメ特有の典型的なサメ型で、体高のある厳つい風貌。淡水域に順応するという適応能力の高さ、どれをとっても魅力的なサメです。

全長は小さいものでは1.5m、大きいものでは3m以上にもなります。吻が丸くてかなり短く目が小さいという表情のわりに、体は太くで力強い印象を与えます。各鰭、特に胸鰭や腹びれの先端が黒っぽくなっていますが、オグロメジロザメやカマストガリザメのように真っ黒になることはないそうです(子供のうちは黒いです)。ちなみに、幼魚は55~80㎝程度の大きさで産まれますが、子供の頃は成魚に比べると細身な体つきをしています。

僕個人はオオメジロザメは顔つきと体格でなんとなく覚えてしまっているのですが、かなり厳つく成長したドタブカ(学名:Carcharhinus obscurus)がオオメジロザメと間違われることもあるとか・・・。メジロザメの見分けはむずかしいですね。

 

【生態・行動など】
大型ですが、他のメジロザメの仲間と同じように俊敏な動きで獲物を捕らえます。僕は幼魚が釣りの餌に向かっていく瞬間を見たことがありますが、「この動きで成魚が突っ込んで来たらひとたまりもない」という素早い泳ぎでした。鋸歯(ギザギザ)がある三角型の上顎歯と細長く尖った下顎歯を使って、魚だけでなく、ウミガメ、他のサメやエイ、海産哺乳類も餌食にします。

オオメジロザメの上顎歯。

性格は極めて獰猛と言われ、濁った水の中で見境なく襲ってくるとして恐れられています。水族館でオオメジロザメを飼育すると、一緒の水槽に入ったあらゆる魚やサメを食ってしまうと言われていて、結構問題児のようです。実際、美ら海水族館ではアカシュモクザメ、ヨゴレなど貴重なサメたちが無残な姿にされてきました。その反面、同じく悪食と称されるイタチザメや好奇心旺盛で知られるレモンザメと比べ、警戒心が強いサメでもあります。美ら海水族館曰く、サメを狙った延縄にはなかなかかからないそうで、アメリカのテレビ番組『Jonathan Bird’s Blue World』で放送された映像や、一緒にオオメジロザメと泳いだダイバーの話によると、最初は警戒するように泳ぎ回り、なかなか近づいてこないそうです。

オオメジロザメの生態として最も興味深いのは、淡水に対する適応能力です。サメに限らず、普通の魚は自分の住む環境の浸透圧に適応しているため、海水と淡水を行き来することはできません(浸透圧について詳しくはサメの体の構造  ~内部編~ 。なお、ウナギなどの例はここでは扱いません)。

ところが、オオメジロザメは幼魚、成魚ともに海水域でも淡水域でも生息しています。僕は沖縄でオオメジロザメの観察会に参加した際、子供のオオメジロザメが川を上ってくるのを目撃しています。ミシシッピ川、アマゾン川上流でもオオメジロザメの記録があります。ニカラグア湖やザンベジ川でも目撃され、「ニカラグアシャーク」、「ザンベジシャーク」とも呼ばれるそうです。

子供が大きな敵のいない淡水域で育ち、ある程度成長したら海に出ていき、そして子供を産むため汽水域や淡水域に戻ってくる、というライフスタイルならば分かりますが、オオメジロザメは成熟した個体が淡水域で発見されることがあり、また子供は河口付近やラグーンなど海に下った場所で産んでいるようです。

ちなみに、このオオメジロザメの淡水適応能力について、東京大学が西表島で調査をしています。その調査によれば、2016年6~8月、オオメジロザメの幼魚は塩水くさび(川の中で、比重の重い海水が淡水より沈むことでできる海水の層)がある場所で必ず捕獲されています。オオメジロザメは淡水環境で生きていくことはできても、実は自分に都合のいい塩分濃度の場所を選んで過ごしているのかもしれません。

 

【人間との関わり】
オオメジロザメはホホジロザメ、イタチザメと並び、人間にとって危険なサメトップ3としてよく紹介されます。沿岸~沖合の比較的陸に近い場所に多く出現し、さらに汽水域や淡水域にも生息するため、海水浴やマリンスポーツで出くわす可能性もあります。ただし、見境なく人を食い殺すようなサ生き物ではなく、透明度の高い海ではダイビングで一緒に泳ぐこともできるようです。

適応能力の高さからか水族館でも飼育しやすいようで、美ら海水族館のスタッフの方も「その気になればどの水族館でも飼育できる」と話していました。ただし、一緒に入れる生き物を相当限るか、下手するとオオメジロザメ専用水槽を用意する必要があるため、なかなか実現は難しいかもしれません。ちなみに、2017年6月時点で美ら海水族館ではオオメジロザメと同じ水槽にイタチザメ、レモンザメ、ヤジブカ、シノノメサカタザメなどが暮らしていましたが、これについては「大きさと、あとは相性の問題」とのことでした。

ちなみに、2017年8月現在、美ら海水族館のオオメジロザメは、危険ザメの海水槽に新しいサメを入れる都合で、バックヤード(生け簀?)に移されたそうです。


【トリビア】

沖縄では「シロナカー」とも呼ばれています。

「オオメジロザメ」という名前は、正式な標準和名が決まる前に美ら海水族館がつけていた仮称がそのまま採用されたようです。

『レッド・ウォーター サメ地獄』という映画では、珍しくオオメジロザメが登場します。

オオメジロザメとは異なり、主な生息域として淡水域を選んだサメのグループ(Glyphis)が存在します。

【参考文献】
KAKEN 『オオメジロザメはなぜ河川を利用できるのか:その仕組みと目的の研究』2018年6月25日アクセス
Jose I. Castro 『The Sharks of North America』 2011年 p430
仲谷一宏 『サメ ー海の王者たちー 改訂版』2016年 p203

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