シロワニ (Carcharias taurus)

©サメ好き仲間U氏

 

和名:シロワニ
学名:Carcharias taurus
英名:Sand tiger shark / Grey nurse shark
分類:ネズミザメ目オオワニザメ科シロワニ属
CITES:記載なし
生殖方法:母体依存型胎生・食卵タイプ
飼育難易度:★★★☆☆☆(水族館などで飼育可能)
見れる場所(野生):伊豆、小笠原、オーストラリア近海、紅海、アフリカ北部・南部、アメリカ東海岸など
見れる場所(飼育):アクアワールド大洗水族館、鳥羽水族館、すみだ水族館、しながわ水族館、東海大学海洋科学博物館、京急油壺マリンパーク、横浜・八景島シーパラダイス、神戸市立 須磨海浜水族園、マリンワールド海の中道など

【特徴】
顔は厳つく誤解されやすいですが、一緒に泳ぐこともできる愛らしいサメです。常に口を若干開けて鋭い歯をむき出しにし、胴体の真ん中あたりで広がる体高は実に迫力があります。そんな見た目とは裏腹に、昼間はゆっくり泳いでのんびりしており、ダイバーが接近しても襲ってくることはほとんどありません。事実、僕も小笠原でダイビングをした時にかなり接近しましたが、実に堂々としていました。

多くの水族館で飼育されていることもあって割とサメの中では有名な種です。なので、他の種と見間違うことがないと思いますが、一応身体的特徴について説明します。全長は成熟した個体で1.9~4.3mほど。吻が短く、第一・第二背鰭、臀鰭がほぼ同じ大きさ、目が小さい、体高が体の中心部にかけて高い、体にシミ状の斑点があることが見分けのポイントでしょうか。ちなみに、同じ科に属するオオワニザメ(学名:Odontaspis ferox)とは、吻の長さ、目の大きさで見分けることができます。

@アクアワールド大洗水族館

 

シロワニの歯です。

【行動・生態など】
僕がダイビングで昼間出会ったとき、および水族館で日々観察する中では、とてもゆったりと泳いでくれます。ただ、獲物を食べる時の顎が飛び出る瞬間は素早く、やはり優れた高次捕食者の一面を見せてくれます。事実、魚だけでなく海生哺乳類を捕食することがあると言われ、少ないですが人が襲われた記録もあります。

そのサイズ故に一般家庭で飼うのは難しいですが、浅瀬に住み普段ゆっくり泳ぐためか大型のサメの中では人工飼育環境に適用しやすいようです。そのためか多くの水族館で長期間飼育されています。アクアワールド大洗では流産こそしてしまいましたが交尾も観察されています(2017年7月現在、国内唯一の記録です)。

アクアワールド大洗に展示されているシロワニの胎児の剥製です。

 

交尾と言えば、シロワニの子育ては極めて面白い特徴があります。シロワニは他のネズミザメ目同様に母胎内で仔ザメが卵を食べて成長しますが、シロワニは卵だけでなく他の子ザメも食べてしまいます。二つある子宮の中で生き残ったスーパーベイビーのみが生まれてくるのです(子宮を二つ持つため、二尾の子供を一度に産みます)。生まれる子の数は少ないですが、母ザメの体を離れる時点で全長1m近いため、自然界ではなかなか襲われることはないでしょう。

ただし、他の食卵生のサメでこの俗に子宮内共食いと言われる現象が確認されていないだけで、シロワニ以外のサメでも今後発見される可能性はゼロではありません。

シロワニのもう一つ面白い特徴が、「息継ぎをする」ということです。もちろん、肺呼吸をしているというわけではなく、体の浮力調節のために空気を水面から取り入れています。ちなみに僕は、その現場らしきものを目撃したことがあります。

水面から空気を取り入れた直後と思しき瞬間

 

【人間との関り】
先ほども触れたように水族館で飼育されることも多く、大型種では比較的なじみ深いサメです。ですが、自然界では絶滅の危機にあると指摘されることもあります。シロワニはその悪人面から「人食いザメ」、「危険ザメ」のレッテルを貼られることも多いのですが、そうしたことも影響してか、いたずらに人間のサメ狩りの対象されることがありました。今でも、サメの襲撃事件のネットニュースで、全く関係ないのに見出し写真にシロワニの顔が使われるなど、正直不愉快な扱いを受けることも多いです。個人的にはこの子達のイメージアップをはかっていきたいですね。

【チャームポイント】
シロワニのチャームポイントは、殺人魚だと勘違いされやすいその歯をむき出しにした顔とは裏腹に大人しい性格、堂々とした風でカッコいいこと、そしてその表情の中に時折見える可愛らしさでしょうか。何度も観ているうちに、どんどん愛おしく見えてきて、しばらく行っていない水族館に行ってきたと知人に言われると、「あそこのシロワニたちは元気でした?」とつい聞いてしまいます。女性でサメ好きな方は「太っているので可愛い」とシロワニ推しの方も多いみたいです。

シロワニの顔のどアップ。よく見ると可愛くありませんか?

個人的なエピソードになってしまいますが、僕が子供の頃擦り切れる寸前くらい観ていたVHS録画のサメ特番にはこのシロワニが多く登場し、「いつか彼らと泳ぐ」というのが子供の頃からの夢でした。大学3年生の時に小笠原でその夢が実現できた時には、水中の中にずっといたいほど見惚れていました。後でインストラクターさんに聞くと、「シロワニが見たいとうるさいくらいに言うから、いるかなぁって思いながらポイント見にくことにしたんだよ」と言われました。好きなものは発信し続けるのが大事ですね。

【トリビア】
サメなのに「ワニ」という名前がついているのは、一部地域でサメをワニと呼んでいた名残だそうです。。説が分かれるようなのですが、因幡の白兎に登場する「ワニ」はサメだと言われています。

映画『シャーク・ナイト』に「タイガーシャーク」として紹介されるサメがいるのですが、風貌がどう見てもシロワニなので、恐らく知識不足の制作人がタイガー繋がりで間違えたものだと思われます。

2017年7月現在、水族館で飼われているシロワニの中で、国産のシロワニはすみだ水族館にいる個体だけです。日本国内の水族館にいる他のシロワニは、南アフリカやオーストラリア産だそうです。

 

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【ギャラリー】
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