イタチザメ (Galeocerdo cuvier)

和名:イタチザメ
学名:Galeocerdo cuvier
英名:Tiger shark
分類:メジロザメ目メジロザメ科イタチザメ属
CITES:記載なし
生殖方法:卵黄依存型胎生・子宮分泌タイプ
飼育難易度:★★★★☆☆(水族館などで一応飼育可能)
見れる場所(野生):太平洋、大西洋、インド洋の熱帯、温帯、亜熱帯地域、日本では青森以南の各地、特に南西諸島、九州、四国など
見れる場所(飼育):美ら海水族館など

【特徴】
危険ザメトップ3としてメディアで取り上げられることも多い、言わずと知れた暴れん坊です。魚はもちろん、亀だろうが牛だろうが人だろうが金属だろうが食ってしまう食欲は、まさに「海のごみ箱」。しかし、その独特の模様と堂々と泳ぐ姿は実に美しく、僕の大好きなサメです。

一属一種のサメで有名なため、恐らく見間違うことはないと思います。吻は短くて丸く、正面から見ると顔が横に広く見えます。灰色(黒みがかっていることもあり)の体に入った垂直線と斑点の模様がトラっぽく見えることから英語では「Tiger shark」と呼ばれます。幼魚ではこの模様が成魚より濃く、サバのように見えることからサバブカなんて呼び方もあります。また、尾柄部分にキール(隆起している部分)があるのも特徴の一つです。

まだ若いイタチザメ。子供の頃は模様が濃く出ています。 ©pikayadon

 

子供の頃は目も特徴的で、少しネコっぽいです。 ©pikayadon

 

体長は2~3.5mほどと大型で、7m以上の個体も報告されています(仲谷, 2016, p205)。幼魚の頃から大きさが50㎝ほどある生まれながらのハンターです。ハート形に見える特徴的な鋸歯を使い、あらゆるものを切り裂いて食べてしまいます。

イタチザメの歯を使ったネックレスです。

 

国内最大級のイタチザメの顎。頭だけで僕と同じ重さがあったそうです。

 

【行動・生態】
優れた捕食者としてのパワーを持っていて好奇心旺盛なので、よく「獰猛」と称されてしまいます。海のごみ箱と揶揄されるその胃からはあらゆるものが出てきます。魚はもちろん、ウミガメ、イルカ、ウミヘビ、海鳥、伝書鳩、陸生の哺乳類、ドラム缶などなど。バラクーダや他のサメが見つかった事例もあります。サメは手あたり次第に食いまくるというのは偏見じみた意見ですが、イタチザメに関しては何とも言えませんね。さらに言えば、イタチザメは大型のサメの中でも日中に浅瀬に出没するため、外洋性のサメと比べれば人間との遭遇率も高いかもしれません。

大型で人を襲う危険がある種の中で、イタチザメは子供を産む数が多いことでも知られています。ホホジロザメが2~14、オオメジロザメが1~13と言われるのに対し、イタチザメは卵黄依存型胎生で最大80以上の子ザメを産むとされています。子供は母親の胎内で卵黄で育ちますが、最近の研究でミルクのような栄養物質も子ザメに与えていることが明らかになりました。

 

【人間との関り】
イタチザメは漁業被害をもたらすとして漁師から嫌われ、サーファーやダイバーからは人を襲うことがある危険なサメとして恐れられています。石垣島では毎年夏ににイタチザメを対象とした駆除が行われています。ただし、駆除にどれほどの効果があるのかはっきりとしたデータはないようです。また、イタチザメ以外のサメも当然混獲されているため、他の希少種が巻き込まれてしまう可能性もぬぐえません。例えば、2017年8月12日の沖縄新報では、駆除された99匹のサメの中にツマジロも含まれていたと報じています。

沖縄やフロリダ、ハワイなどマリンスポーツが盛んな温かい地域の沿岸にも現れることから、イタチザメによるものと思われる人への襲撃も報告されています(オオメジロザメと生息海域が被ることが多く、はっきりしないケースもあるようです)。ハワイでイタチザメに片腕を食いちぎられたサーファー少女の実話が『ソウル・サーファー(原題:Sould Surfer)』という映画になったりもしました。ただ、バハマなど一部のダイビングスポットではイタチザメに餌付けをして手なずけるパフォーマンスが行われているようで、必ずしも人を殺してしまう生き物という訳ではありません。

水族館の飼育については、結構丈夫らしく搬送自体はできるそうなのですが、大型かつ狂暴であるイタチザメを飼育できる施設が限られるためか、現在では美ら海水族館でのみ常設展示されています(2017年10月現在、八景島シーパラダイスでも展示中)。時々網にかかった小型個体が搬入されることがあり、新江ノ島水族館、京急油壷マリンパーク、蒲郡市竹島水族館などで飼育されたことがあります。

また、イタチザメの歯はアクセサリーで使われることも多く、サメの歯グッズが売っているお店でアオザメの歯と並びよく見かけます。実際僕は2つもっています。

 

【チャームポイント】
大きな体で悠然と泳ぐカッコよさ、独特のトラ模様の美しさ、ウミガメだろうがばりばり噛み砕いてしまう力強さ、黒目がクリクリしている可愛さ、イタチザメはあらゆる魅力を備えたサメ界トップスターの一種です。危険とされている種ですが、檻無しで一緒に泳ぐことができれば、天国に行ったかの如く気持ちが舞い上がるでしょう。まあ、肉体まで天国に行きたくはないですが(笑)。

 

【トリビア】
映画『ジョーズ』で捕獲されたイタチザメの胃の中からナンバープレートがでてきますが、同じ番号のプレートが『ディープ・ブルー』に出てくるイタチザメ(イタチザメっぽく色を塗られたアオザメ型のサメ)の歯にはさまっていて飼育員のカーターがそれを外すというシーンがあります。

イタチザメは幼体と成体とで模様や顔つきが異なるためか、昔はイタチザメとサバブカという別々の種類だと考えられていたようです。かなり昔のサメ図鑑には分けて記載されています。

 

【参考文献】
Jose I. Castro 『The Sharks of North America』 2011年 p469,472
沖縄新報 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-554338.html
仲谷一宏 『サメ ー海の王者たちー 改訂版』2016年 p202, 203, 205
矢野和成 『サメ 軟骨魚類の不思議な生態』1998年 p106-107

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【ギャラリー】
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