ネズミザメ (Lamna ditropis)

 

©Sa-sharky

和名:ネズミザメ
学名:Lamna ditropis
英名:Salmon shark
分類:ネズミザメ目ネズミザメ科ネズミザメ属
CITES:記載なし
生殖方法:母体依存型胎生・食卵タイプ
飼育難易度:★★★★★★(長期飼育実績なし)
見れる場所(野生):アラスカやベーリング海など太平洋北部、日本では関東以北
見れる場所(飼育):なし

【特徴】
ネズミという名前には似合わないやや大型のサメです。大きな丸い黒目と短い吻、グレーから黒っぽい体色は確かにネズミっぽさがありますが、大きさは最大で3mほどにまでなります。ネズミザメ目のサメの中でも、ネズミザメは顔つきや大きな三角形の第一背鰭、三日月形の尾鰭がホホジロザメとよく似ていますが、顔つきが何となく違うし、ネズミザメにはホホジロザメに見られない斑点模様がよくあるのであまり見間違うこともない気がします。一応生物学的な見分け方を説明すると、尾鰭の付け根にあるキール(隆起線)がホホジロザメは一本しかないのが見分けのポイントです(ネズミザメもぱっと見一本に見えますが、太いキールのすぐ下にもう一本あります)。また、ホホジロザメの歯は鋸歯状の三角形の大きな歯であるのに対し、ネズミザメは細長い歯が並び、副咬頭がついているのが特徴です。

左がホホジロザメの歯。右がネズミザメの歯。大きさもそうですが、形状がだいぶ異なります。

また、ネズミザメの吻先の骨が硬い丸みを帯びた独特の形状なっているのも特徴です。

ちなみに、ネズミザメの近縁種で大西洋側に生息するニシネズミザメというサメもいます。

【生態・行動など】
ネズミザメはアラスカ近海などサメの中でも割と冷たい海の外洋に生息しています。30~40尾の群れを作って泳ぎ回り、大型の魚などを捕食しています。ちなみに英名のSalmon sharkはサケをよく食べることからその名が付きました。寒い地域や水温の低い深海に生息するサメは動きが遅いイメージがありますが、ネズミザメはホホジロザメやアオザメが持つ熱交換システム、奇網をもっており、体温を周りの水温より高く保って速く泳ぎまわることができます。

生殖方法は卵食タイプの胎生で、2~5尾の子ザメをお腹で育てて産みます。体内では無精卵をお腹がパンパンになるまで食べていて、妊娠個体を解剖するとお腹が異様に膨れた胎仔が見るかることもあります。


【人間との関り】

ネズミザメは水族館で見れることはまずなく、ダイビングでもなかなか会えないサメですが、食卓にのぼることはよくあります。ネズミザメはモウカ、ゴウシカなどの名前で市場に出回り、宮城や青森で水揚げされたネズミザメの肉は関東でもスーパーで見かけることがあります。お肉は煮つけなどにすると美味しいです。また、ネズミザメの心臓は「モウカの星」と呼ばれていて、その刺身は例えるなら癖のない馬刺しのような一級品です。

気仙沼の居酒屋さんで食べたモウカの星。
【チャームポイント】
ネズミザメはホホジロザメと同じくクリクリした可愛い黒目と筋肉質でカッコいい体つきをした魅力あふれるサメです。また、モウカの星はとにかく美味しいので、サメには少し気の毒ですが、目で見てもよし、食べて味わって良しのサメと言えます。

【参考文献】

田中彰 『美しき捕食者 サメ図鑑』2016年 p23
仲谷一宏 『サメ ー海の王者たちー 改訂版』2016年 p38
沼口麻子 『ほぼ命がけサメ図鑑』2018年 p301