サメの仲間たち? 似て非なるものと似てない近いもの

サメ好きであれば常識ですが、思った以上に一般に知られていないようなので、サメの親戚、および「サメ」と名がつくのにサメではない魚たちを紹介します。

 

目次:
【サメの親戚:エイ】
【サメの少し遠い親戚:ギンザメ】
【サメじゃないサメ:コバンザメ】
【サメじゃないサメ:チョウザメ】
【サメなのにサメと呼ばれないサメたち】

【サメの親戚:エイ】
サメとエイは同じ板鰓類に属する極めて近い仲間です。学者の中にはサメとエイを一緒の仲間と分類したがる方もいるようです(仲谷先生、田中先生、故矢野先生など著名な学者先生の本ではサメとエイはだいたい分けて書かれています)。
サメとエイは板鰓類の名前の由来になった鰓ブタのない五対以上の鰓孔、ほぼ軟骨でできている骨格など、多くの特徴を共有しています。また、浮袋の代わりに大きな肝臓を持ち、尿素とトリメチルアミンオキサイドを血中に保つことで浸透圧調節を行うこと、雄がクラスパー(おちんちん)を二本持ち体内受精で生殖することも共通しています。

では、サメとエイは何が違うのでしょうか。体が平べったいかどうかでしょうか。残念ながら不正解です。別ページで紹介した通り、カスザメ目という平べったい体つきのサメもいます。正しい見分け方は、鰓孔が体の側面にあるか下側にあるか、そして体が一枚布みたいになっているかどうかです。

実際に見比べてみてみましょう。

鰓孔の位置が違うのは一目瞭然。こちらだけでだいたい見分けられますが、迷ったら頭と胸鰭に“区切り”があるか確認してください。サメは区切りがはっきりしていますが、エイは頭部と胸鰭がつながって一枚布みたいになっています。

少しマニアックですが、ノコギリザメとノコギリエイの見分け方も触れておきます。サメかエイかというのは同じように鰓の位置で見分けられますが、もっと分かりやすいのはのこぎり状の吻です。ノコギリザメは吻についている棘が細く長さがまばらで、吻にひげみたいなものがあります。一方で、ノコギリエイの吻にはもっと太く均一で危なそうな棘が並んでいます。もっとも、ノコギリザメに比べてノコギリエイは体の大きさが桁違いで大きいので、見間違うこともないかもしれませんが・・・。

ノコギリエイです。この写真では見えにくいですが、体の側面に鰓があり、吻の棘も細いです。

 

ノコギリエイです。側面に鰓がなく、吻の棘が太いです。

ちなみに、エイの仲間でややこしい名前なのが「サカタザメ」の仲間です。恐らく他のエイに比べてサメっぽいから誰かが「サメ」と名付けてしまったのだと思いますが、鰓の位置を観れば一目瞭然、エイの仲間です。

シノノメサカタザメの裏側です。体の下に鰓があり、体が一枚布みたいになっています。

 

 

【サメの少し遠い親戚:ギンザメ】
ギンザメはサメとエイと同じ軟骨魚類ですが、全頭類という分類の分かれた仲間です(詳細編集中)。

 

 

【サメじゃないサメ:コバンザメ】
サメの話しているときに堂々とコバンザメの話をされると興ざめするので、これはマジで抑えて欲しいです。テストに出しますよ。
コバンザメはれっきとした硬骨魚類で、サメとは分類上近くもなんともないです。スズキ目に属する魚です(スズキ目コバンザメ科、学名:Echeneis naucrates)。小判のような形をした吸盤で他の生き物に張り付いたりして生活しています。写真だと分かりづらいですが、小判があるのは頭の上です。

水槽のガラスに張り付くコバンザメ。

 

【サメじゃないサメ:チョウザメ】
サメの卵の話をしていると真顔でチョウザメのことを聞かれるのでこれもはっきりさせますが、チョウザメはサメではないです。一説には、サメと同じような鰭の位置をして見た目がサメっぽいからチョウザメと名付けられたそうです。確かに、雰囲気サメっぽいですが、鰓は鰓蓋で隠れていますね。

シロチョウザメ。確かに鰭だけ見ればサメに似ていなくもありません。

チョウザメは古代魚の生き残りとも言われ、確かにサメと同じように神秘的なものを感じさせますが、分類ははっきり分かれます。硬骨が赤く、軟骨が青く染まるように薬品で染色された標本を水族館などで見ることができますが、チョウザメの骨の多くが赤く染まります。サメやエイの仲間ではない証拠です。

チョウザメの液浸骨格標本。硬骨魚類であることが明らかです。

 

【サメなのにサメと呼ばれないサメたち】
日本語のサメの呼び方は大きく分けると三種類(鮫、鱶、鰐)あり、標準和名に「サメ」以外が採用されることもあります。鱶(フカ)の代表的な例がヤジブカ、ドタブカ、ネムリブカ、エイラクブカ、ラブカ。鰐(ワニ)の代表はシロワニ、ミズワニです。

この他に、テンジクザメ目のサメの中に「オオセ」と呼ばれるサメの仲間がいます。このサメは平べったくてエイみたいな体つきをしていて、英語でも「wobbegong(ウォビゴング)」と呼ばれますが、立派なサメの仲間です。

アラフラオオセ(英名:Tasselled wobbegong。学名:Eucrossorhinus dasypogon)

この他にも、ツマグロ、ツマジロ、マオナガ、ニタリ、ハチワレ、ヨゴレ、ヒラガシラなど、サメもフカもワニもつかないサメたちがいます。

「ヨゴレ」とはまたひどい名前をつけたもんだと思うのですが、サメの和名中でも僕が「おいおい」と思ったのはフジクジラです。美しい藤色をしているからその名がついたようですが、何故せめて「フジクジラザメ」とかにしてくれなかったのか・・・。しかもクジラと言うからさぞジンベイザメ(英名はWhale shark、つまりクジラザメ)のように大きいのかと思えば、体長50㎝以下。色々と紛らわしい・・・。

フジクジラの標本です。ホルマリン漬けだと藤色の面影はないですね。

 

余談ですが、水族館で「ツマグロ?マグロなの?」と言うカップルの会話を聞いた時は卒倒しそうになりました・・・。サメを広める僕の仕事(?)はまだまだ時間がかかりそうです(2017年現在)。