分類学上のサメ

【サメは本当に魚の仲間?】
基礎的なところから話しますが、サメは魚の仲間であり、形状がイルカに似ていても生物学的にはかなり離れた動物です(イルカは哺乳類です)。

ただ、単純に「サメは魚類です」と言えない事情があります。

サメは軟骨魚類の仲間です。その名の通り、骨格のほとんどが軟骨でできており、いわゆるマグロやサバのような硬骨魚類とはかなり異なる体の構造をしています。

図鑑やテレビ番組によっては、「サメは魚類の中の軟骨魚類という仲間です」と説明されますが、ここではサメ研究の第一人者の一人、田中彰先生の著書『深海ザメを追え』を参照して、詳細に説明します。

動物には脊椎動物と無脊椎動物がいます。脊椎動物は我々哺乳類や鳥類などを含み、その名の通り脊椎をもっています。無脊椎動物というのは、タコやイカなどの頭足類や昆虫を含む動物たちです(ここでは両者の詳細な違いは省きます)。

脊椎動物には顎をもつ有顎類と、いわゆる顎のない無額類に分類されます。「顎がないってどういうこと?」と思われるかもしれませんが、ヌタウナギやヤツメウナギなど、特殊な口を使って吸血するちょっとグロテスクな生き物がこの仲間です。

こんな生き物です。 (写真元:いらすとや)

 

彼らの仲間から顎をもつことで別れたのが有顎類です。

有顎類は、現存種だけで考えれば、硬骨動物と軟骨動物に分かれています。硬骨動物は魚類全般(魚類にもたくさん種類があるけど割愛)、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類を含みます。一方の軟骨動物は現在では軟骨魚類だけになり、全頭類と板鰓類に分かれます。全頭類というにはギンザメを含むグループで、サメ、およびエイは板鰓類(ばんさいるい)に含まれます。

田中先生(2014)は言います。「我々は日常生活の中では、硬骨魚類・軟骨魚類をまとめて『魚類』とし、『哺乳類』『両性類』、『爬虫類』、『鳥類』と対比されるまとまった群のように考えているが、軟骨魚類は骨が軟骨であるということが非常に特殊で、形が似ていてエラ呼吸をするという共通点こそあるが、硬骨魚類とはかなり異なるものというわけだ」(p129)。

つまり、サメは一般的に皆さんが知る魚から進化したのではなく、最初から分かれた道で進化を続けてきたのです。

余談ですが、上記に申し上げた通り、ギンザメは「~ザメ」とついていますが、厳密にはサメの仲間ではありません。ついでに申し上げると、コバンザメはスズキ目コバンザメ科に属する立派な硬骨魚類です。チョウザメも硬骨魚類の仲間であり、サメとは分類上離れた位置づけです。これは意外と一般の方がご存知ないので、飲み会などで小話になります。

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【参考文献】
田中, 彰. (2014). 深海ザメを追え (Vol. 1). 千代田区, 東京都: 宝島社.