【あつ森でも人気】シュモクザメとは何者なのか?危険なのか?ハンマーヘッドの役割や謎に満ちた生態を分かりやすく解説!

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回のテーマはコアなファンも多く、沢山の人の注目を集めるあのサメ、シュモクザメです!

このシュモクザメについては、ハンマーヘッドカッコイイ!という人もいれば、宇宙人みたいでヘンテコだとか、掃除機みたいだとか色々言われるんですけど、このシルエットのインパクトが強いなっていう感想で止まっちゃってる人が多いと思います。

なので今回は、シュモクザメとはどんなサメなのか、なるべく詳細に、そして分かりやすく解説していきますので、よろしくお願い致します!

 

 

シュモクってそもそも何?

シュモクザメという名前について、そもそも「シュモク」が何か分からないという人がいると思いますが、シュモクとは仏教で使う鐘を叩く道具です。漢字では「撞木」と記します。

T字に張り出したハンマーみたいな仏具なのですが、それに似た頭をしているからシュモクザメという名前がつきました。名前の由来が仏具って由緒正しい、古き良きサメって感じがしますね。

英語でも似たようなネーミングで、ハンマーみたいな頭だからハンマーヘッドシャークと呼ばれます。ちなみに、学術的な議論の中で、この頭のことをcephalofoilと呼ぶことがあります。論文や海外の図鑑を読むという方はこの単語もぜひ覚えておいてください。

実際にシュモクザメの頭を見てみるとこんな感じです。

顔が左右に伸びていて、確かにハンマー型です。その左右の迫り出した部分の端に割と大きめな眼、そして鼻孔がついています。

ちなみに骨にするとこんな感じです。

ちゃんと頭の骨もハンマー型になっています。この記事を読んでいる人の中には、このような頭骨標本を作る予定の方もいると思いますが、このハンマー部分のせいで冷凍庫のスペースをかなり圧迫します。ですので、家にシュモクザメの頭があるという人は、早めに処理するのをお勧めします。

このシュモクザメ、ホホジロザメやジンベエザメと並んでかなり有名なサメで、グッズとかキャラクターも沢山いるのですが、実はシュモクザメの仲間が複数種いるというのはご存知でしょうか?

 

ハンマーだけじゃないシュモクザメ

シュモクザメの話をするときに、なんとなく「シュモクの仲間」とか「ハンマーヘッドシャーク」という風にまとめられがちですが、一般に「シュモクザメ」と呼ばれるサメは2属9種の仲間が知られています。

簡単にまとめるとこんな感じです。

分類学上はみんなシュモクザメの仲間ですが、頭がハンマー型ではないサメも混じっています。

例えば、Bonnethead shark(Sphyrna tiburo)は日本語でウチワシュモクザメと呼ばれます。確かに横幅が狭くて丸みが強いのでハンマーより団扇という感じがします。ちなみに、この子は初めて単為生殖、つまりメスだけでの出産が確認されたサメとしても有名です(詳しくはコチラ)。

ウチワシュモクザメ

また、図の右側に横幅以上に広く明らかに1匹常軌を逸した見た目のやつがいますが、これも一応シュモクザメの仲間です。ただし、他の子達とは属が異なっていて、英名もWingheadと呼ばれています。トンカチを通り越して翼扱いされたパターンですね。

このうち日本に生息しているのはアカシュモクザメ、シロシュモクザメ、ヒラシュモクザメの3種です。ただ、ヒラシュモクザメを見たとか漁獲したという話はあんまり聞かないです(学術的な記録は一応あります)。

アカシュモクザメ

シロシュモクザメ

 

ヒラシュモクザメ

水族館でよく見るのはアカシュモクザメです。シュモクザメらしいハンマー型の頭の真ん中、およびその左右に凹みがあって、凹みの部分で分けるとちょうど四等分くらいになるのが特徴です。

このアカシュモクによく似ているのがシロシュモクザメです。この子はアカシュモクみたいな凹みはないので、そこで見分けることができます。実際に英語でもアカシュモクはScalloped hammerhead、 シロシュモクはSmooth hammerheadと呼びます。

余談ですが、標準和名の赤とか白といのは体表面の色ではなくてお肉の色を指しています。確かにあくまで感覚値ですが、アカシュモクの方が確かに血の気が多くて、シロシュモクの方が白身って感じですね。

 

何でハンマー型なのか?

シュモクザメがどんなサメなのか簡単に紹介しましたが、誰もが一度は「なぜハンマー型なのか?」という疑問を抱くと思います。

多くの人が思う以上にサメには色々な種類がいるので、平べったいサメ、天狗みたいなサメ、めっちゃ吸い込んでくるサメなどなど・・・面白いサメは沢山います。

そんな中でもシュモクザメはやっぱり特徴的で、この姿をカッコイイと言う人もいるし、ヘンテコだと言ったりキモいと言われることもあり、良くも悪くも注目を集める見た目をしています。

では、なぜハンマー型なのか?これについては色々な説が出ているので、いくつか紹介いたします。

 

視野を広げる

シュモクザメの頭の形は、視野を広げるのに役立っているという説があります。

シュモクザメの目は、ハンマーの両端についています。目と目の間が離れているので視野が広がり、より広範囲を見ることができるとされており、この主張を支持する比較実験も行われています。

シュモクザメ類と他のサメの視野についての比較実験はコチラ↓

嗅覚を向上させる

二つある鼻腔が離れているので臭いの帯を見つけやすいという説もあります。

サメは二つの鼻腔のどちら側に強い臭いがあるか区別できるとする研究があります。この説が正しいとするなら、鼻腔の位置がお互い離れているハンマーヘッドは臭いに気付きやすく、それを発している獲物への正確な方向も分かりやすくなる、というわけです。

獲物の電気を探知しやすくなる

サメには、ロレンチーニ器官という生物が出す微弱な電気を感じることができる感覚器官があります。

この器官そのものの役割も色々と研究されている途中ですが、シュモクザメは頭が左右に広い分、ロレンチーニ瓶の数が多く、より広範囲の電気を感じられます。これは、砂の中に隠れた魚やエイを見つけやすいというメリットにつながります。

泳ぐ時の舵取りをする

シュモクザメは頭がT字に張り出しているだけでなく、背骨の下に大きな筋肉があって、他のサメより首を上下や左右に動かしやすくなっています。

物理学的な説明が苦手なので簡単に済ませますが、シュモクザメはT字型の頭を動かすことで素早く、そして細かく方向転換することができます。

シュモクザメが泳ぐ様子を観察していると、頭の角度を微妙に変えることで、他のサメよりも機敏に動いていて、その場でぐるっと旋回する動きまで見せます。ハンマーヘッドにより、他のサメよりも高い機動性を手に入れていると思われます。

 

今紹介した四つの説以外にも、このハンマーヘッドについては役割が紹介されていて、一部は根拠に乏しいと指摘されたり、実験により否定されているケースもあります。

確かに物理学的に明らかに間違いとされる説もあると思いますが、個人的には、どれか一つが正しい説というわけではなく、複合的な要因であの頭の形が進化してきて今も続いているんだと思います。

生物の進化を考えるときに、特定の目的にかなった何かの完成形があって、進化はそれに向かっていくと考えがちなんですが、実は間違いです。生物の進化は実際はもっと行き当たりばったりで、常に形や役割が変化していいきます。

身近な例を挙げると、もともとものを食べるための口を使って僕たちはコミュニケーションをしていますし、歩くためにもともと使っていた前脚で色んな道具を使っていますよね。

サメの進化については、歯以外の化石がほとんど残らないということもあって歴史を辿るのは非常に難しいですが、シュモクザメの頭も、視野が広いサメが生き残っていくうちにその子孫の頭が広がってどんどんハンマーになっていた、あるいは突然変異で急に頭が左右に張り出したサメが生まれて、たまたまそれが獲物を狩る能力に長けていたから子孫を増やしていった・・・。そういう感じで生まれたのかなって想像しています。

 

シュモクザメは危険なのか?

シュモクザメ類には大型の仲間もいますが、人間にとって危険なサメなんでしょうか。

これについては、「大騒ぎるするほど危険ではない」というのが僕の見解です。

確かに、アカシュモク、シロシュモク、ヒラシュモクなどは大きいものだと3m以上にまで成長しますが、彼らの顔をよく見てみると、口が意外に小さいです。

体が大きいシュモクザメのボディはシュワちゃんの腕みたいなムキムキで、しかもハンマー型の頭が目立つのですごいインパクトあるのですが、体とか頭に対して口の幅はそうでもなく、歯も鋭く尖っていますがそこまで大きくないです。

このような口で何を食べているかと言えば、小魚、イカやタコ、小型のサメやエイの仲間です。世界最大のシュモクザメであるヒラシュモクザメは特にアカエイの仲間が好みなようで、顎の部分にアカエイの毒針がぶっ刺さっていることもあります。なんか、居酒屋でおじさんが使う爪楊枝見たいですね。

ヒラシュモクザメの顎標本。歯茎の部分に折れたアカエイ類の毒針が刺さったままになっている。

こうした食性から考えても、シュモクザメの仲間が餌として人間を攻撃する可能性は極めて低いです。

シュモクザメが危険だと思われてしまう理由を僕なりに推測すると、以下のような流れになると思います。

・シュモクザメは見た目が特徴的なサメで有名なので、テレビとか映画が登場させるサメのバリエーションを増やしたい時に追加されがちです。

・そして、世間にはサメは人食いモンスターだという極端な偏見があるため、テレビや映画がサメを出すときは大抵サメが人を食う、もしくは「食うかもしれない!」と恐怖を煽ることになります。

・そのため、シュモクザメは襲撃事故件数が少ないにもかかわらず、ホホジロザメなどと同じように「サメ=危険」の偏見の中に一緒に塗れてしまっているようです。

一応シュモクザメのものと思しき襲撃事故は過去に起きているようですが、レアケースと言って問題ないと思います。野生の大型動物との遭遇は常に一定のリスクがあるので、シュモクザメに限った話ではないです。

ちなみに、日本では神子元島や与那国島などでアカシュモクザメを観察するダイビングが大人気で、大群で泳ぐアカシュモクザメのことをハンマーリバーと呼んだりしますが、このハンマーリバーが見られるダイビングスポットはかなり流れが速いそうなので、シュモクザメに襲われるとか以前にそこで流されて帰らぬ人にならないよう注意が必要だと思います。

僕もダイビングの経験は浅い方ですが、経験のある人なら尚更、海で怖いのはサメよりも海そのものだとわかって頂けるのではないでしょうか。

 

子供を産む時はどうするの?

サメは種によって色々な方法で子供を産みますが、シュモクザメの仲間は、母体依存型胎生、つまり、赤ちゃんが母胎内でママから栄養をもらって成長し、ママのミニチュア版になって生まれてきます。シュモクザメはその中でも、胎盤を作るタイプです。

まずサメの赤ちゃんは卵黄、正確にいうと外卵黄嚢という袋に入った栄養で成長します。そしてその栄養を吸収したのち、外卵黄嚢だったものが伸びていき、母親の子宮の壁にくっ付きます。するとそこで血管がつながり、胎盤が形成され、母体から直接栄養をもらってさらに成長します。

初めて知った人からするとこれだけでもすごいってなると思うのですが、ここまで聞いて気になることがあります。

「産むとき大変じゃないの?」

シュモクザメは見た目の通り頭の横幅広いです。しかも、ちゃんとこの頭にも骨が入っているので、普通のサメよりも生む時大変そうじゃないですか。

では、実際に子宮に入っているシュモクザメがどうなっているのかといえばこんな感じです。

ちゃんとハンマー型で、しかもぎっしり詰まっています。これは2.5mほどのシロシュモクザメの子宮なのですが、二つある子宮に合計30尾近くの赤ちゃんが入っていました。それぞれの赤ちゃんの胸鰭の間あたりから臍の緒が伸びてますね。

全部で30尾近くの赤ちゃんが一尾の母親の中に入っていました。

これだけの数のトンカチ頭を産むのって結構辛そうですが、実は触ってみると、赤ちゃんの頭は成魚に比べると柔らかいです。そして、サメによって頭から産まれるか尾鰭から産まれるかは決まっているそうですが、シロシュモクザメは尾鰭の方から出てくるそうです(恐らく他のシュモクザメも同じだと思われます)。

ちゃんと出産しやすいようできているというのは、生命の神秘を感じますね。生物を作ったのはあくまで神ではなく進化ですが、神を信じたくなる人の気持ちも分からなくはないです。

 

今回はここまでです。シュモクザメについては他にも紹介したいことがまだまだありますが、それはまた別の機会に・・・。

今後もサメの不思議や魅力を発信していきますので、よろしくお願い致します!

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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