日本初!アクアワールド大洗がシロワニの繁殖に成功!子宮内共食いの真相は明かされるのか?

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アクアワールド大洗で実際に展示されているシロワニ。

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

先日、サメ好きとして非常に喜ばしいニュースが報じられましたので、それをご紹介していきます。

アクアワールド茨城県大洗水族館、日本初のシロワニ繁殖に成功!!!

詳細はプレスリリースが出ていますし、各メディアも報じていますが、サメ好きとして触れないわけにはいかない内容だったので、僕なりの視点で紹介していきます!

 

日本初のシロワニ繁殖

6月17日、展示しているサメの種数が日本一であることでお馴染みにアクアワールド茨城県大洗水族館(以下、アクアワールド大洗)より、シロワニ(Carcharias taurus)の繁殖に成功したという発表がありました。

アクアワールド大洗で実際に展示されているシロワニ。

世界でも5園館目であり、日本では初めての繁殖!日本サメ研究の歴史に残る快挙ですね。

シロワニはアクアワールド大洗以外でも、横浜・八景島シーパラダイスや、東海大学海洋科学博物館、マリンワールド海の中道など様々な園館で長期飼育がされており、オスとメスが1尾以上いる状態で飼育しているところも多かったはずですが、これまで繁殖に成功した事例はありませんでした。

アクアワールド大洗では以前よりシロワニの繁殖に取り組んできて、交尾の跡と思しき噛み跡がメスの胸鰭付近に残っていたり(サメは交尾の際、オスがメスに噛みつく)、2015年には日本で初めて妊娠の確認に成功しています。

結果的にその子は死産でしたが、日本で他に展示例のない、あるいはかなり少ない外国産のサメ類の繁殖を数多く成功させてきたアクアワールド大洗なら「いつかやってくれる!」と期待を抱いていました。

現在はバックヤードの備蓄水槽で様子を観察している状態で、一般公開の時期は未定だそうです。記事に掲載されている赤ちゃんの写真がめちゃくちゃ可愛いので、もうすでに楽しみで仕方がないです!

 

子宮内共食いの真相はいかに?

シロワニの繁殖と言えば、「子宮内で共食いする」というのが有名ですね。今回のアクアワールド大洗の発表から少し話が逸れますが、せっかくなのでこの点も触れておきましょう。

これについては以前にシロワニ紹介記事で紹介したのでざっくりとおさらいしますが、シロワニが分類されるネズミザメ目のサメたちの多くは”卵食型”と呼ばれる方法で子供を育てることが確認されています。つまり、母胎内で成長する胎仔が、排卵される他の卵を食べて成長します。

この中で、シロワニは「卵だけでなく他の兄弟も食べる」ということから、子宮内共食い(embryophagy, adelphophagy)をするサメとして有名になりました。

この仮説が正しいとするなら、アクアワールド大洗の予備水槽で今泳いでいる赤ちゃんは、子宮内で熾烈な闘いを勝ち抜いたNo.1ベイビーということになりますが、沖縄美ら海財団の冨田武照氏は、つい先日発売された著書『寝てもサメても 深層サメ学』内で面白い指摘をなさっています。

この仮説は一般に信じられているほど盤石なものではない。まず、赤ちゃんに食べられた赤ちゃんが見つかった例が、あまりにも少ない。(中略)もし、兄弟が重要な栄養源というのであれば、同様の例がもっと見つかっても良い気がする。もしかすると、胎仔同士の共食いというのは、極めて稀に起こる事故のようなもので、それを我々が日常的な現象だと勘違いしているのかもしれない(p141〜142)。

シロワニ以外のネズミザメ目のサメでサメの形状になった兄弟を共食いした事例というのは、2005年にアオザメで確認されていますが、たった一例だけであり、16尾のうち3尾だけが他の兄弟に飲み込まれていたそうです。シロワニに関しても1983年にギルモア博士が発表した論文以外で、シロワニの子宮内共食いが確認されたという話はあまり聞きません。

前後の文脈からして、冨田氏はシロワニの子宮内共食いに懐疑的であるというより、シロワニの子宮内共食いを必ず起こる事象だと決めつけたり他のネズミザメ目の仲間に安易に当てはめることに疑問を呈しつつ、まだ解明されていない謎に思いを巡らせる重要性や楽しさを伝えようとしているように思えますが、いずれにしてもまだ解明され切っていないテーマというのは間違いないでしょう。

今回アクアワールド大洗で生まれた赤ちゃんをいきなり解剖するわけにはいきませんが、もし排泄物や安定同位体を用いた解析などノンリーサルな方法で子宮内での食事を研究できれば、シロワニ子宮内共食い説の真相解明のカギになるかもしれない・・・。素人の妄想レベルですが、そんなことも思っていたりします。

水族館は家族連れやカップルで訪れるエンタメ施設というイメージが世間では強いですが、野生動物の命を扱う施設である以上、研究と教育の役割を担うべきだと僕は考えています。数多くのサメ類の繁殖に取り組んできたアクアワールド大洗が今後どのような研究成果を僕たちに見せてくれるのか、今後も目が離せません。

参考文献

R. Grant Gilmore, Jon W. Dodrill,  & Patricia A. Linley『Reproduction and Embryonic Development of the sand tiger shark, Odontaspis taurus (Rafinesque)』1983年

Shoou-Jeng Joung & Hua-Hsun Hsu『Reproduction and Embryonic Development of the Shortfin Mako, Isurus oxyrinchus Rafinesque, 1810, in the Northwestern Pacific』2005年

佐藤圭一・冨田武照 『寝てもサメても 深層サメ学』2021年 p141〜142

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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