沖縄美ら海水族館のジンベエザメ雌個体が死亡した件について

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

先日の記事で、国内で初めて飼育下でシロワニの繁殖に成功したという喜ばしいニュースについて取り上げましたが、今回は悲しい話題について触れていきます。

美ら海水族館のジンベエザメの死亡

沖縄美ら海水族館の黒潮水槽で飼育されていたジンベエザメのうち一匹が、6月17日に死亡していたことが同月22日に発表されました。

美ら海水族館は「黒潮の海」という大水槽で、雌雄ペアで二匹のジンベエザメを飼育していましたが、今回死亡したのはその内のメスで、6月12日時点で摂餌が不安定になり、血液検査で体力の低下が示唆され、海上生け簀に移しての治療が行われていました。

公式の見解によれば、死因は元々この個体が持っていたアゴの骨格異常による摂餌障害、および胃と腸をつなぐ幽門部のねじれによって餌が消化器官内で停滞してしまい、腸で栄養を十分に吸収できなかったことではないかとされています。

美ら海「黒潮の海」水槽。写真に写っているのはオス個体。

今後のジンベエザメ研究について

ジンベエザメと言えば、未だに「人食いザメ」というサメへの偏見が強い中でも例外として世間一般で受け入れられているサメだと思います。美ら海水族館でもマスコット的な存在で、「サメは怖いけどジンベエザメは可愛い」という人も多いのではないでしょうか。

しかし、ジンベエザメは愛すべき巨人というだけでなく、非常に貴重な研究対象でもあります。

ジンベエザメは『ジョーズ』のモデルになったホホジロザメや頭があまりにも特徴的なシュモクザメに並び(あるいはそれ以上に?)有名なサメで、美ら海水族館以外の園館でも飼育の実績がありますが、その生態はほとんど謎に包まれています。

例えば繁殖について。1995年に台湾で全長10.6m、体重16トンの妊娠個体から、300匹を超える赤ちゃんが発見されました。この個体を調べた結果から、胎盤などを作らない胎生であることや、サメの中ではかなり多産である可能性が高いことが分かりました。また、この赤ちゃんのうち生き残った個体を3年ほど飼育した結果、非常に成長速度が速いサメであることも確認されました。

美ら海水族館に展示されているジンベエザメ胎仔の標本

しかし、ジンベエザメが、どこで交尾をして、子供はどこでどのように育つのか、何年ほど生きるのか、はっきりしたことは分かっていません。妊娠個体も一尾しか見つかっていないので、300尾という子供の数が例外なのか平均に近いのかすらも、恐らくまだ判明していないと思われます。

このように謎多き世界最大の魚類を、美ら海水族館は長年にわたって飼育・研究し、その成果を僕たちに分かりやすく展示してくださっています。特に、二匹のうちオスの個体(愛称ジンタ)の性成熟過程における形態および生理的変化を記録した研究は、長期飼育施設ならではの成果だと思います。

美ら海水族館の元館長である内田詮三氏によれば、元々この「黒潮の海」大水槽は複数のジンベエザメの長期飼育を視野に入れて設計されました。雌雄ペアの飼育ということもあり、飼育下での繁殖は飼育関係者の皆様にとっても悲願だったかと思います。

それだけに今回のニュースは本当に悲しく、残念でなりませんが、美ら海水族館であれば、この死亡個体からも更なる知見を得て、今後も研究、啓発に取り組んでくださると、勝手ながら僕は期待しています。

今後も美ら海水族館のサメ研究に注目しつつ、いつかまた訪れるその日まで、陰ながら応援しております。

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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