山口県の海水浴場にサメ現る!小さなサメに対する遊泳禁止は適切なのか?

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は、「海水浴場にサメが現れた」という言葉だけ聞くと映画『ジョーズ』を彷彿とさせるようなニュースについて簡単に解説していこうと思います。

山口県の海水浴場にサメ

6月27日に山口県の防府市にある富海海水浴場で、サメが目撃されました。

海岸から約10mほどの距離にサメ背鰭が出ているのが確認、撮影され、1.2mほどのシュモクザメだということです。これがきっかけで、現場は遊泳禁止措置がとられ、7月3日に予定されていた海開きが2週間延期になりました。

1.2mのシュモクザメの危険性

「ビーチにサメが出現して遊泳禁止」とはまさに『ジョーズ』のような展開ですが、現れたのが1.2のシュモクザメというのはまた可愛らしいですね。

撮影された映像からは種の正確な特定までは難しいですが、日本近海に生息しているシュモクザメは、アカシュモクザメ、シロシュモクザメ、ヒラシュモクザメの3種です。このうちヒラシュモクザメは、全長が5m近くになることもあり、他の2種も3m以上に成長します。

サメの繁殖については分かっていないことも多いですが、1.2mというサイズが正しいとすると、恐らくまだ成熟していない若い個体だと思います。

アカシュモクザメ

シュモクザメについては以前に解説記事を出していますが、一般に思われているほど危険なサメではないです。

シュモクザメは非常に特徴的な姿をしていて割と有名なので、サメ映画などでサメの種類のバリエーションを増やしたい時に追加されがちです。そのため、『シャーク・ナイト』や『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』などで、シュモクザメも人を襲う恐ろしいサメとして登場しますが、実際には人を餌として襲うことはほとんどありません(というか「無い」と言い切っても良い気がします)。

シュモクザメは頭が左右に大きく張り出しており、しかもそれを機敏に動かせるように頭の後ろ(人間でいう首辺りの部分)の筋肉が発達しているので、ある程度大きくなるとかなり迫力があるのですが、実は口の大きさが小さいです。

いわゆる「人食いザメ」と呼ばれがちなホホジロザメなどは海棲哺乳類など、人間と同じくらい、あるいはそれ以上大きな獲物の肉を切り裂いて食べますが、シュモクザメ類は小型の魚や頭足類(イカ・タコなどの仲間)、そしてエイなどを捕食します。

そうした食性を考えると、例え今回現れたのがもう少し大きなシュモクザメだったとしても、人間を襲う可能性はかなり低いと言えそうです。

遊泳禁止措置は適切だったのか?

では、遊泳禁止措置は過剰反応なのでしょうか。

サメ好きの中にはそういう風な意見もあるかもしれませんが、僕個人としてはそこまで否定的には見なしていません。

シュモクザメは確かに世間一般で思われているほど危険なサメではないですが、鋭い歯を持っている大型野生動物であることは間違いないです。

僕はシュモクザメに噛まれたことはないですが、シュモクザメの頭骨標本を作製したことはあります。不器用な僕は、未だに自分の指にサメの歯が刺さってしまうことがあるので「この歯に噛まれたらいかに痛いか」というのは、一般人よりは体感をもって語れます。

沢山の人間が水の中に入って泳いだり騒いだりすれば、恐らく小さなサメの方が逃げ出すのではないかと思いますが、子供が何かの拍子に偶然怪我をしてしまったり、理性と知性を欠いた大人が「ジョーズを捕獲してやるぜ」というノリでサメにつかみかかって噛まれてしまう、なんてことが起こる可能性もゼロではありません。

映画『ジョーズ』が公開されて40年近く経ったこの令和の時代においても、世間一般は未だに「サメは全て危険生物」のような偏見にまみれていますから、もしそんな事態になれば「なぜ遊泳禁止にしなかった」と苦情が殺到する恐れもあります(それこそ本当に『ジョーズ』的展開です)。

また、本当に事故が起きれば、世間はより広い視点での統計データや生物の基本的な生態などに目を当てず「サメが人を噛んだ」という事象だけを見て「やっぱりサメは危険だ」と騒ぎだしますから、僕のようなサメを愛する人間にとっても迷惑です。

以上の理由から、1.2mほどのチビちゃんハンマーヘッドだっとしても、遊泳禁止にするという措置は過剰反応ではないと僕は考えています。

この暑い時期、海に入りたいのは僕も同じですが、海は本来サメを含む海洋生物の領域です。僕たち陸上のお猿さんはそこにお邪魔しているわけですから、トラブルを起こしたり迷惑をかけすぎないよう、適切な距離感をもって共存していきたいですね。

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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