ルリゴキブリたちの緊急指定について ゴキブリたちは滅びるべきというネット民の意見を斬る

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おはヨシリキザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回はサメは直接関係ない昆虫がテーマですが、サメ好きにも考えてもらいたい問題も紹介していくので、ぜひ最後まで読んでほしいです…。

今回のトピックはズバリ、ゴキブリです!

この単語にすら拒否反応を示す方もいるかもしれませんが、今回写真素材が手に入っていないこともあり、ゴキブリの姿は出てこない記事なので、苦手な方もご安心ください。

ルリゴキブリなど3種が緊急指定種

6月29日、環境省は沖縄県に生息するベニエリルリゴキブリ、ウスオビルリゴキブリ、リュウジンオオムカデの3種を緊急指定種にすると発表しました。

緊急指定種とは、種の保存法に基づくもので、その種を緊急に保全する必要があると認められたものについて、捕獲・殺傷、譲渡し、輸出入、陳列等を禁止する緊急的な措置のことを指します。

ルリゴキブリ類はその見た目の美しさと希少性からか、ネットオークションなどで高値で取引されているそうで、この事態を放置してはいけないと判断されたようです。

「ゴキブリを保護するなんて」という批判

今回のニュース、僕の感覚で言えば「希少な野生動物が身勝手な人々に乱獲されないように保護する施策が決まった」というだけのニュースであり、「保全が上手くいけばいいですね」という感想で終わりなのですが、どうもそうではない人たちが多くいるようです。

というのも、SNSでこのニュースをシェアしている一部の投稿には「ゴキブリを保護するなんておかしい」や「ゴキブリなんて絶滅すべき」という趣旨のコメントが数多く寄せられていました。

昆虫に詳しい方や生物多様性の保全に関心のある方であれば、色々と前提がズレていて目も当てられないほどお粗末な批判に感じると思いますが、「分かっていない連中だな」と蔑むだけでは何も解決しない上、最初に触れた通り僕が好きなサメにも通じるテーマので、少しだけ深掘りさせて戴きます。

ゴキブリの多様性

僕は昆虫類についてはあまり詳しくない門外漢ではありますが、「家に出没するゴキブリがゴキブリの全てではない」という事実は把握しているので、知らない方のために簡単に紹介します。

よく皆さんの家に出没して恐怖のどん底に陥れているゴキブリは、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリの4種類のうちどれかであることが多いです。住居に侵入するゴキブリだけで複数種類いるということが初耳な人もいるのではないでしょうか。

こうした人家に出没することでお馴染みの彼らを「家G」と呼びましょう。

一方で、住居に侵入してこないし、新宿や渋谷の路地裏でネズミと一緒にカサカサしないゴキブリたちも存在します。森林の中で朽木などを食べてひっそりと暮らしているゴキブリたちです。オオゴキブリやサツマゴキブリ、ヤエヤママダラゴキブリなどが代表例ですが、こうしたゴキブリたちを「野G」とします。

今回緊急指定になると発表されたルリゴキブリたちについて、あまり生態は分かっておりませんが、発見された場所や経緯などからして「野G」であると思われます。それも、沖縄の一部地域にのみ生息している非常に珍しいゴキブリです。つまり、皆さんが八重山諸島の山奥でサバイバル生活でもしない限り、寝床やキッチンに現れる心配は一切ありません。

こうした事実も知らずに、あるいは知ろうともせずに、「なんで保護するんだ」と批判するのは、あまりにも乱暴ではないでしょうか。500種類以上で大きさも生態も多様なサメ類をまとめて「人食いザメ」として騒ぎ立てる浅はかさに近いものを感じます。

希少性を理解している一部の人の身勝手な行いから守ろうとして施策を打ったら、希少性を理解できない人から「そんなことする必要がない」と文句を言われる・・・。ルリゴキブリたちからしたら人間の営みなど知ったことではないでしょうが、それにしても不憫に思えてなりません。

 

害のある生物だからという理由で絶滅させる代償

ここまで丁寧に誤解を解いて来たつもりですが、「そんなことは関係ない!地球にゴキブリがいるという事実だけで不愉快だ!」という人もいると思います。ゴキブリをどうにかする前に心理的セルフコントロールを学んだ方が良い気がしますが、一応もう少し掘り下げます。

確かにゴキブリは見た目や動きが多くの人にとって不快というだけでなく、病原菌を媒介する恐れもあるので、住居に侵入したゴキブリを駆除するなとは言いません。僕も家に出たら容赦なく始末しています。画面越しやガラス越しに見ている分には別にいいですし、衛生的に調理された状態であれば食べるのも平気なのですが、家に入ってきたり、あの動きで向かってこられるのは僕もかなり苦手です。

そもそも家Gの一部は外来種です。侵略性については僕も知識不足であり、そもそもあんな小さくて繁殖力が強い生物を完全に駆逐するのは不可能に近いと思いますが、家Gの多くについては特段保全する必要はないのかもしれません(これに関する結論は留保します)。

では、不快だから、害があるからという理由で全てのゴキブリを地球から駆逐していいのか?僕は賛成できません。

生物たちはこの地球の生態系の中で複雑に絡み合った関係の中で生きています。見た目が不快、刺されると害があるなどの人間都合でしかない理由でこうした生物を絶滅させれば、巡り巡って僕たちの社会に悪影響が出る危険性があります。

昆虫について知識不足なのでサメで例えさせて欲しいのですが、仮に「人を襲うし漁業被害もあるからホホジロザメを絶滅させてしまおう」とした場合、簡単に思いつくだけでも以下のような影響が考えられます。

子供向けに以前作った資料なので非常に簡素ですが、言いたいことは分かると思います。例え人間に直接的な害を及ぼすことがある種でも、完全に滅ぼしてしまえばもっと大きな損害を長期的に被ることになりかねないのです。

生態系というのは人間社会という家の地盤であり基礎です。それだけでは確かに快適には住めないですが、それ無しでは家が崩壊します。ゴキブリもサメもその基礎を支えるネジや木材に相当します。そして、僕たち人類は、どのネジをどれくらい引っこ抜けば家が崩壊するのか、はっきりとした知識を持っていません。

「役に立つか分からない」とか「不快で気持ち悪い」などの理由で生物を絶滅させていくのは、建築や設計について知識のない人間が、勝手な構想で家の柱をぶっ壊すようなものです。

以上のことは全ての生物に共通して言えることではありますが、ゴキブリを含む昆虫類は、その種の多様性と個体数からして、特に重要な役割を担っています。植物の生殖を助ける、枯れた植物を分解する、他の虫たちを捕食する、より大きな動物たちの餌になる・・・などなど。虫たちが絶滅した世界で人間が生きていけるのかどうかすら疑問です。

別にゴキブリを愛しなさいとか、ペットとして飼いましょうと言っているわけではありません。虫たちが苦手な方は苦手なままでもいいと思います。しかし、彼らも僕たちの生活を支える大きくて重要なものの一部であるということは理解し、「絶滅すればいい」という軽率な発言は、冗談でも慎んで欲しいです。

僕たちは我が物顔で地球を支配した気になっていますが、種数と個体数を考えれば、地球は人の惑星ではなく虫の惑星です。虫たちと共存していく方向で発展していく方が、長い目で見て人類も繁栄できると僕は思います。

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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shark.sociology.ricky@gmail.com

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コメント

  1. たてぃとぅてと より:

    素晴らしい記事ありがとうございます。
    「外来種ではない家G」はクロゴキブリではなくヤマトゴキブリではないでしょうか。(地域によっては国内外来種ですが・・・)

    • サメ社会学者Ricky より:

      ありがとうございます。失礼いたしました。
      国内外来種のことまで考えると複雑になるので、ぼかした表現に修正いたしました。

  2. より:

    オオカミを絶滅した結果どうなったかなんてのに考えを巡らせようともせず
    また熊を狩りつくせなんて言ってる人間どもが大勢いるので無理です。
    馬鹿につける薬はないのです。
    まぁ理解できる人に啓蒙するのは大切なことですが、
    その類の人はそんな頓珍漢な発言はしません。
    つまり然るべき対象に向けて情報発信することが大事なのです。
    何事も波は小さなところから。

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