凶悪な人食いザメ?危険ザメNo.2イタチザメの真の姿とは?危険性から繁殖スタイルまで徹底解説!

未分類
成長して模様が薄くなったイタチザメ

どうも!おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回のテーマはテレビでもよく取り上げられる、かなり有名なサメ、イタチザです!

サメ好きならもちろん知っていると思いますし、そうではない方も危険な人食いザメとして認知しているのではないでしょうか。

では、実際はどんなサメなのか?本当に人食いザメなのか?多くの人に恐れられ、愛されている危険ザメNo.2、イタチザメを解説していきます!

 

イタチザメはどんなサメ?

イタチザメはどんなサメか、知っているという方も一応おさらいしておきましょう。

イタチザメはメジロザメ目メジロザメ科イタチザメ属に分類されるサメです。

このメジロザメ科のサメというのはパッと見で見分けるのが難しい仲間が多いのですが、イタチザメはなにからなにまで特徴的な姿をしています。ただ、成長度合いで変わる部分も結構あるので、少し細かく見ていきます。

顔つき

サメと言えば尖った吻先をイメージする人が多いと思いますが、この子達は吻が非常に短く、丸みを帯びています。これについては子供の頃も共通なのですが、イタチザメは目つきが成長するごとに変わっていきます。

多分皆さんがよく知っているイタチザメってこの顔だと思います。目が真っ黒で厳つい感じですね。

それが小さい時はこんな感じです。

©pikadon

なんとなく目が大きくて、猫目な感じになっています。大きくなった後もカッコよくて好きなんですが、小さい時もめちゃくちゃ可愛いくてお気に入りです。

 

体の模様

よくイタチザメの説明で「縞模様が入っているから英語ではタイガーシャークと呼ばれる」と書かれていることがありますが、幼魚の頃は不規則な斑点模様が多く、どちらかというと迷彩柄に近いです。若い頃の模様が鯖に似ているので、イタチザメのことを鯖鱶と呼ぶこともあります。

全長1m前後の若いイタチザメ

この模様が成長するにつれて段々縞々を作るように繋がっていきます。さらに年齢を重ねて大きくなると、この模様が薄れていき、ほとんどないような部分まで出てきます。

成長して模様が薄くなったイタチザメ

 

歯の形状

大体一般の方が想像するサメの歯は大きな三角形か細長くて尖った歯だと思います。確かにそういう歯も沢山ありますが、イタチザメの歯はハート形、または鶏の鶏冠によく例えられる、これまた見間違えようのない見た目をしています。

イタチザメの歯

これでどんなものを食べているのかは後で紹介します。

あくまで僕個人的な感想ですが、がっしりした見た目、厳つい顔つき、独特な模様、特徴的で鋭利な歯、そして子供は可愛い・・・。これらの特徴をもつイタチザメは、最高に魅力的なサメの一種だと思います。

 

ややこしい英語と日本語

イタチザメという和名も有名ですが、それと同じくらい英名のタイガーシャークも有名です。「イタチ」という名前がどういう経緯で付けられたのか正直分からないのですが、タイガーシャークは模様から来ていると言われれば納得はできます。

しかし、こうしたサメの英名にはちょっと注意が必要です。

Tiger sharkを直訳すると「トラザメ」になりますが、日本でいう「トラザメ」は全長が最大でも50cmくらい、イタチザメとは似ても似つかない小さくて大人しいサメです。そして、このトラザメの英名は「Cat shark」と言います。

Cat sharkを直訳すると「ネコザメ」ですが、日本のネコザメは見た目も分類も全く異なる別のサメになります。

ネコザメの仲間は英語でBullhead sharkと呼ばれます。これを直訳すれば牛頭のサメという意味になって全然猫ではないですし、実は全く関係ないウシザメ、Bullsharkと呼ばれるオオメジロザメがいます。

イタチザメとは似ても似つかないトラザメ

サメ以外の生物もかなり事例はありそうですが、日本語名を英語にする、また逆に英名をそのまま和訳したときの名前が全然違う別の種を指してしまうことがあります。

ややこしいネーミングではあるんですが、違う文化圏だと全然違う発想から名前をつけるんだなというのが分かって、結構面白いですね。

サメ好き初心者の方は、英名を覚える際に混乱しないようお願いします。

イタチザメの胃の中身

イタチザメといえばホホジロザメと並ぶ人食いザメとして有名ですが、果たして本当に危険なのでしょうか?

僕がこの感じで話し始めた時は、大抵「実はそこまで危険ではない」という結論に落ち着くことが多いのですが、イタチザメに関してはあまり否定はできません。ただ、いたずらに危険性を煽ると低レベルなテレビ番組と同じになってしまうので、きちんと食性の部分から解説をしていきます。

先ほども少し紹介したイタチザメの歯の形、先が尖っていて、しかも縁がギザギザしています。そして、幅が非常に広くて、長さ自体は短めな、完全な三角形ではない形をしています。この形状は、獲物の肉を切り裂くだけでなく、骨や甲羅など硬いものを噛み砕くのにも適しています。

イタチザメの歯の特徴。

こんな汎用性の高そうな歯でイタチザメが何を食べているかと言えば、あらゆるものを食べています。

硬いものを砕き、肉を切り裂ける歯で狙う獲物といえばウミガメが重い浮かびますし、実際イタチザメはよくウミガメを食べるのですが、それ以外にも様々な種類の魚、他のサメやエイ、カニ類、巻貝、エイの卵、ウミヘビ、イルカやクジラ、海鳥や渡鳥などなど・・・、色々なものが胃から出てきます。

これだけでも幅の広さを感じさせますが、イタチザメの胃の中からは犬、猫、豚、羊、牛、馬なども見つかっています。恐らく水害や船の沈没で流された家畜たちだと思いますが、それにしても見境がないです。さらに、タイヤやドラム缶の一部、プラスチックなど、明らかに消化できないであろうゴミが出てくることもあります。

映画『ジョーズ』の有名なシーンで、イタチザメを解剖しているときに胃の中からナンバープレートが出てくるシーンがありますが、あれは誇張ではなくて本当に起こり得るみたいです。

こんな感じなので、イタチザメはちゃんとしたサメ図鑑にも”garbage can with fins(ヒレのついたゴミ箱)”というなかなかにひどいあだ名がつけられています。本職の研究者が書いた本にも以下のように愚痴を漏らしていました。

Listing all the animals that have been found inside tiger sharks would be a daunting task.

(訳:イタチザメの胃から見つかった動物を全てリストアップするのは気が遠くなる)
※『The Sharks of North America』より引用

イタチザメは人食いザメか?

ここまでイタチザメがなんでも食べるという話をしてきましたが、イタチザメは人間も食べるのでしょうか?

結論から言うと、食べることはあります。しかも、襲われる危険性も他のサメよりは高いと思います。

イタチザメは先ほども言った通り、ウミガメや他のサメなど、人と同じ、あるいはそれ以上に大きな獲物を捕食します。というかなんでも食べます。

そして、イタチザメの全長は3m以上、大きいものだと4.5m以上にもなるという非常に大型なサメで、歯もあのような形なので、人間を引き裂くのは彼らにとって雑作もありません。

さらに、熱帯や温帯域に生息していて、しかも、陸から離れた沖合からシュノーケリングができる浅瀬まで幅広い場所に現れます。つまり、日本で言えば沖縄、アメリカで言えばハワイやフロリダなど、マリンスポーツが盛んなリゾートなどで人と遭遇する可能性が高いです。

実際に、世界で起きたサメの被害をまとめているThe International Shark Attack File (ISAF)によれば、イタチザメはホホジロザメについて、世界で二番目に多く人を襲っているサメとしてリストアップされています。

生態・遭遇率・実績、この3つを考慮すると、イタチザメが危険なサメであることは否定できないと思います。

ただ、イタチザメの危険性と合わせて三つほど、覚えておいて欲しいことがあります。

①常に見境なく人を襲うわけではない

イタチザメは確かに危険なサメではありますが、常に人間を食べようと思っているわけではありません。

一応イタチザメをケージなしで観察するダイビングツアーはありますし、僕が知っているダイバーの中には海でイタチザメと遭遇した人が何人かいますが、皆さん普通に五体満足で帰ってきています。

実際に人を食ったイタチザメは実在しますが、常に食べているわけではないので、僕は「人食いザメ」よりも「危険ザメ」のようなフレーズが適切かなと思います。

 

②イタチザメが食べた人間には溺死体も含まれる

イタチザメは確かに人を襲うことがありますし、胃から人の一部が見つかることもあるそうですが、泳いでいる人間を積極的に襲ったものではなく、溺死体を食べているだけのケースが多いようです。

イタチザメは他のサメよりも肉の腐敗具合を気にせずに食べるらしいので、他の生物が食べたがらない状態の水死体も、彼らのメニューになっているのかもしれません。

ですので、イタチザメの胃から人の一部が見つかっても、必ずしも彼らが命を奪ったとは限りません。

③イタチザメよりも危険な海洋生物はたくさんいる

先ほどイタチザメと出くわす可能性のある場所として沖縄やハワイを取り上げましたが、こうしたリゾート地には、イタチザメ以外にも危険で、しかもイタチザメよりも遭遇しやすい危険生物たちがいます。

ビーチや潮だまりなど子供が遊ぶような場所にも現れる小さなクラゲや貝の中には、人間を死に追いやる恐ろしい猛毒を持つ仲間がいます。

沖縄に生息するハブクラゲ。刺されれた人間が死亡した事例もある。

先ほどイタチザメは世界で二番目に人を襲っているサメと言いましたが、あくまでサメの中では多いという話であって、そもそもサメによる被害自体が他の生物よりも少ないです。

危険な生物を危険なものとして警戒すること自体は間違っていないのですが、いたずらに恐怖心を煽って悪者扱いするのではなく、事実を知った上で、適度に正しく怖がるのが良いのかなと僕は思います。

子育ての秘密と保全

危険な人食いザメとして注目されるイタチザメですが、実は繁殖についても興味深いことがいくつかあります。

イタチザメはメジロザメ科というグループに分類されるサメです。このメジロザメ科のサメたちは、子宮内で胎盤が形成され、臍の緒を通して赤ちゃんに栄養が送られます。しかし、イタチザメは、このメジロザメ科のサメで唯一、胎盤を形成しないサメです。

ここだけ聞くと「ふーん」で終わると思うのですが、ここで重要なのは、生まれてくる赤ちゃんのサイズです。

胎盤で母体と繋がっていない場合、赤ちゃんは最初についている卵黄の栄養だけで成長するはずですから、受精して間もない卵と生まれてくる赤ちゃんの重量は変わらないはずです。

しかし、イタチザメの赤ちゃんは全長約50〜70cm、明らかに卵黄の栄養だけで成長するにはデカすぎます。つまり、卵黄以外の栄養を受け取っていないと、この差を説明できないのです。

例えばホホジロザメやシロワニであれば他の卵を食べていることが確認されていますが、イタチザメではどうやって栄養を得ているのか?

美ら海財団が行った研究で、イタチザメは子宮内でスープのような栄養液を吸収していることが判明しました。

このような方法でイタチザメの赤ちゃんたちは成長し、30~70尾ほどの子供が産まれてきます。大型で人を襲う危険があるとされるサメの中では多産な方だと思いますが、このイタチザメの繁殖について気になることがあります。

イタチザメは生息域が広く、一度に生む子供の数もサメの中では多いので、絶滅危惧種であるという印象はあまりないと思います。むしろ、イタチザメは人間に危害を加えて漁業被害もあるとして、石垣島などで定期的に駆除が行われているサメでもあります。

しかし、クイーンズランド大学の研究で、興味深いことが分かりました。

2008〜2012年までの期間オーストラリア近海で捕獲された4匹の妊娠個体から得られた子ザメ合計112匹のDNAを調べたところ、父親が異なっていたのはたったの1匹だけだったそうです。

前提として、サメは1匹のメスの子宮内に、複数の父親の子供が同時にいることが多いです。交尾自体は1回につき1匹のオスが相手ですが、胎内の卵は複数のオスの精子で受精します。つまり、112匹も調べれば、もっと多くの父親のDNAが見つかってもおかしくないのですが、ほとんど1匹のオスの子供たちでした。

結論を急ぐことはできませんが、オーストリアでもイタチザメの駆除は行われているので、駆除によりオスの数が減ってしまったのか、それともイタチザメは元々一夫一妻に近い繁殖スタイルなのか・・・。

どちらにしても、イタチザメを獲りすぎてしまうと、僕たちが思っているより急速に彼らの遺伝子多様性が失われ、絶滅につながってしまう恐れはありそうです。

先ほども見た通り、イタチザメは非常に多様な獲物を捕食していて、その中には他のサメやウミガメなど、イタチザメ以外があまり襲わなそうな大型動物も含まれています。もしイタチザメが絶滅してしまえば、海の生態系が大きく変わり、結果的に僕たちの生活に悪影響が出るかもしれません。

日本で行われている駆除も含め、イタチザメ獲り過ぎてしまっていないのか、そもそも駆除に意味があるのか、彼らの生態を研究しつつ、注意深く見ていく必要があると思います。

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

ライティングやトークイベントのご依頼・その他お問い合わせはコチラ↓
shark.sociology.ricky@gmail.com

サメ社会学者Rickyをフォローする
未分類
サメ社会学者Rickyをフォローする
The World of Sharks

コメント

タイトルとURLをコピーしました