【巨大ザメ】UMAネッシーの正体と言われた世界で二番目に大きなサメ、ウバザメを解説!【都市伝説】【ニューネッシー】【Basking shark】

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

世界一大きいサメがジンベエザメだということは多くの方がご存知だと思いますが、世界で二番目に大きいのはどのサメでしょうか?

怪しい自己啓発セミナーだと「二番目は知らないですよね?つまり一番にならないといけないんです」というどうでもいい話につながっていきますが、今回は普通に世界で二番目に大きなサメを紹介します。

そのサメというのが、ウバザメです!

サメ好きの中では割と有名ですし、ウバザメの写真が「やべえサメ」や「海洋恐怖症注意」などの動画サムネイルなどで使われることがあるので、サメに詳しくなくても見たことある人は多いと思います。

では、実際どんなサメなのか?どこに住んでいて、どんな生き方をしているのか?そして、UMAの正体だとされた例の噂は本当なのか?

今回は世界で二番目に大きい巨大ザメ、ウバザメについて、解説をしていきます!

 

ウバザメはどんなサメ?

まずはウバザメの基本情報を見ていきましょう。

ウバザメは、ネズミザメ目ウバザメ科ウバザメ属に分類されるサメで、世界中の亜寒帯や温帯海域の海に生息しています。ウバザメと一緒に泳げる場所として、スコットランドが有名なので冷たい海にしかいないイメージがあるかもしれませんが、日本でもごく稀に定置網で混獲されることがあります。

そして、先ほどから何度も言っている通り、ウバザメは世界で二番目に大きなサメであり、同時に世界で二番目に大きい魚でもあります。

大きさは全長8m以上、大きいものだと10mを超えるとされています。

非常に大きな口、そして体をほとんど一周するような大きな鰓孔、そして長く突き出た吻と、まさに見間違うことはない特徴的な見た目をしています。ちなみにこの吻、成魚だと立派な円筒形ですが、成熟する前の個体だとゾウみたいに細長くなります。

また、ホホジロザメやアオザメのように尾鰭下葉が長くて三日月型になること、尾鰭の付け根あたりにキールと呼ばれる隆起した部分があることも特徴です。

アクアワールド茨城県大洗水族館に展示されているウバザメの剥製。

サメの中には同じ科や属に似ている仲間がいることもありますが、ウバザメは一科一属一種、メガマウスと同じように、ネズミザメ目の中でも独立したグループに分類されています。

ただ、ウバザメは非常に大きなサメで、しかもジンベエザメほど知名度がなく、体つきも典型的なサメ型に近いためか、水の上から見た姿で、ホホジロザメと勘違いされたり、「メガロドンの証拠映像」というネタにされることがあります。

ウバザメは何を食べているのか?

ホホジロザメに勘違いされるくらいシルエットがサメらしく、しかもとんでもなくデカい口を持っているので、ウバザメを恐ろしいモンスターのように勘違いする人も多いのですが、ウバザメは人間を襲うことはまずない非常に大人しいサメです。

ウバザメはジンベエザメと同じく、フィルターフィーダー、つまり小さな生き物を海水ごと口の中に入れて、餌だけを濾しとって食べるサメです。こうしたサメの鰓には鰓耙と呼ばれる櫛や毛のようなもの(サメによって異なる)がたくさん生えていて、口から入った海水が鰓を通る際に、小さなプランクトンなどがここに引っかかります。

沖縄美ら海水族館に展示されているウバザメの標本。エラの部分に毛のような鰓耙が生えています。

ただ、ジンベエザメとウバザメで異なるのが、ウバザメは口をただ開けっぱなしにしているだけということです。

ジンベエザメについては餌となるプランクトンを海水ごと勢いよく吸い込んでいる様子が観察できますが、ウバザメについては、巨大な口を開けてプランクトンの群れにゆっくりと突っ込んでいくだけ。その時に口の中に入った餌を濾しとって食べているんです。

このような食生活をしているので、ウバザメは歯が非常に小さく、とても大きな獲物を引き裂いて食べるようなことはできません。もちろん、大型の野生動物なのでペットのように触れ合うことはできませんが、人を餌と見なして襲ってくることはないです。

ウバザメの歯。口に対して非常に小さい歯をしている。

むしろ、ウバザメと一緒に泳げる場所は基本的に水温が低めで、僕が普段お世話になっている方もウバザメと泳いだ後に低体温症で危険な状態になったので、そっちの方が要注意な気がします。

そして、ウバザメが表層域でプランクトンをゆっくり泳ぎながら食べる様子が日光浴をしているように見えることから、英名はBasking shark, ”日光浴をするサメ”と呼ばれます。Sunfishと呼ばれることもありますが、これはマンボウの英名でもあるので、Basking sharkの方が誤解を招かずに済むと思います。

ちなみに、ウバザメという名前は漢字で書くと「姥鮫」です。これは、シワの入ったおばあちゃんの顔みたいだから付けたれたそうです。

海から飛び出すサメ?

ウバザメはゆっくり泳ぐ大人しいサメとされていますが、そのイメージに反して、突然水中から勢いよく飛び出してくることがあります。このジャンプのことをブリーチングと呼びます。

海面から飛び出す生物は他のサメ類やエイの仲間、クジラなどで知られていて、その理由についても以下のように諸説あります。

・天敵への威嚇

・異性へのアピール

・寄生虫を体から落とす

・単なる遊び

これはまだはっきりと分かっていませんので憶測ですが、ウバザメは非常に巨大なサメで天敵があまりいないこと、体に対して脳みそがあまりにも小さく「遊び」などの概念があるとは思えないなどの理由から、繁殖行動や寄生虫除去が理由なのではと思われます。

実際にウバザメの体にはヤツメウナギの仲間やカイアシ類などの寄生生物がくっついていることがよくあります。

 

冬眠するサメ?

ウバザメは他のサメでは聞いたことがない面白い噂があります。それが、「ウバザメは冬眠する」というものです。

1950年代オランダ、ある研究者が、10月と11月に、餌を濾しとるための鰓耙が欠落しているウバザメを発見しました。

もともとウバザメはヨーロッパ周辺海域においては春から夏にかけて多く見られ、秋から冬の時期になるとあまり姿が見られなくなるというのが知られていたので、ウバザメは冬の間は鰓耙が抜け落ちてしまい、餌が食べられないので深海で冬眠しているのではないか、とする説が唱えられたんです。

しかし、この冬眠説に真偽については「よく分かっていない」と一般にされつつも、否定的な意見が多くでてきています。

まず、鰓耙が欠落したウバザメがいるのは事実のようですが、鰓耙が欠落しているのに胃の中に沢山のプランクトンが詰まっている個体が確認されています。そして、冬眠している様子が確認されたことはありません。

そもそも餌の少ない深海であんな肉の塊が横たわっていたら多くの深海生物にとって無料食べ放題みたいなものですから、あっという間に骨まで残らない有様になると思います。

さらに、発信機を使ったトラッキングや目撃情報を集計した複数の研究によって、ウバザメが大規模な回遊をすることが明らかになりました。北米のケープコッドから10ヶ月かけて南米ブラジルまで南下した記録もあります。約6500kmの長旅です。

また、北米のサメ類をまとめた図鑑などを読んでいると、海域によってはウバザメは普通に冬の時期にも姿を見せるそうです。

ウバザメの回遊パターンについては分かっていないことも多いですし、ウバザメが水深1200mの深みに潜った記録もあるので、断言はできませんが、ウバザメの深海冬眠説は、定説と呼べるほどはっきりと証明されたものではないと言えます。

 

ニューネッシー騒動の真相

サメについて調べていると、メガマウスの地震予知やメガロドン生存説をはじめ、根拠に乏しい都市伝説に出くわすことがありますが、実はウバザメが関係している都市伝説もあります。

1977年4月25日、ニュージーランドに近い太平洋上にて、日本のトロール船が巨大生物の死骸を引き上げました。その生物は全長約10m、重さ約1800kg、とんでもない腐敗臭を放っており、首のような部分が1.5mある、奇妙な姿をしていました。

あまりにも大きい上に臭すぎたので廃棄してしまったそうなのですが、髭ような部分が回収されると共にこの写真がメディアに報道され、そのシルエットが首長竜っぽいことから、「ニューネッシー」と名付けられました。

これがどうウバザメに関係してくるかといえば、このニューネッシーの正体が、のちに腐敗したウバザメだと判明したんです。

保存されたニューネッシーの一部を調べてみると、その骨が輻射軟骨であることがわかりました(サメやエイは軟骨魚類であり、根本的に僕たち硬骨生物とは骨の主成分が異なり、普通の魚とも骨格がかなり違っています)。

ネッシーに見えてしまうシルエットも、ウバザメの顎などが腐敗で欠落したとすれば説明はつきます。

ニューネッシーに関する資料をもとに僕がイラストを作成。

さらに、アミノ酸指数というものを調べると、サメ類のそれに非常に近いことが確認され、採取されたコラーゲンを使ってモルモットの免疫反応を調べた実験でも、ウバザメとニューネッシーのコラーゲンが同じものだと示す結果が得られています。

これらの証拠に加えて、ニューネッシーの下半身に相当するような部分が長すぎる、よく見ると背鰭があるなどの特徴から、ニューネッシーと呼ばれた腐乱死体はウバザメ、万が一ウバザメでないにしても、大型サメ類の腐敗した姿だと結論づけられました。

これでこの件は終わったはずなんですが、都市伝説界隈はしつこい上に難癖をつけるプロフェッショナルです。いまだにいろんな反論をしてきています。

例えば、

・ニューネッシーにはウバザメにないはずの後ろ足らしきものがあった。

・分析に使われたのはヒゲのような部分とされているが、ウバザメにヒゲはない。

などですね。

本格的に潰していくと長くなるのでざっくり言いますが、後ろ足と思われるモノは、ウバザメの腹鰭、及びオスの交尾器とすれば説明できます。ウバザメのクラスパーは1m近くあり、四肢動物で言う後ろ足に当たる胸鰭から生えていて、しかも中に骨が入っています。これが腐敗することにより、後ろ足っぽく見えた可能性はあります。

ヒゲについては、フカヒレの一部だと思われます。

フカヒレを見れば分かりますが、サメのヒレは皮を取り除くと繊維状になっています。そもそもこの部位はヒゲ状というだけでヒゲと断定されたわけではないので、ウバザメもヒゲがあるないでケチをつけるのは無理があります。

ついでに言うと、首長竜やネッシーにヒゲがあったという科学的証拠がウバザメ説を否定する人から示されたのを僕は見たことがないです。

そもそも、これが仮にウバザメではないと判明したとしても、それだけで首長竜の仲間と断定されるのではなく、あれが首長竜であるという証拠を揃えないといけません。首長竜の細かい分類はさておき、彼らは僕たち硬骨生物の仲間ですから、輻射軟骨が出てきた時点で首長竜説はかなり不利なはずです。しかし、都市伝説マニアや創造論者、スピリチュアル系は相手の説に矛盾っぽいものを見つけた瞬間に自説が正しいと思いこむことについて天賦の才能があります。

例えるなら「AちゃんはB君のことが好きではない、つまり俺のことが好きなんだ!」みたいな感じです。AちゃんはC君が好きかもしれないし、同性愛の可能性もあるのですが、B君好き説を否定できそうになると、途端に自分に都合のいい説しか見えなくなるんです。

30年以上たった今でも色々言われてしまってますが、このニューネッシーについては「ウバザメでした、以上終わり」で済ませてしまっていいと思います。

 

ウバザメの繁殖と保全

ウバザメの都市伝説には結構否定的になってしまいましたが、ウバザメが謎多き巨大ザメであることは事実です。

僕はサメの解説をする際、よく繁殖方法について紹介するのですが、ウバザメは人類に長い間利用されてきた歴史がありながら、詳細のほとんどが不明です。

ウバザメは体全体の20%以上を占める巨大な肝臓を持っていて、しかも水面をゆっくりと泳いでいて捕まえやすかったので、石油に代わられるまでは、肝油が良く利用されていました。また、フカヒレにおいて一番価値が高いのは尾鰭下葉部分なのですが、ウバザメは尾鰭自体が大きくて下葉も発達しているので、フカヒレの原料として重宝されます。

このように、ウバザメは以前、かなりの数が漁獲されていて、数が激減してしまっているのではと危惧する声もあります。しかし、そこまで沢山捕まえているにもかかわらず、ろくに繁殖方法すら分かっていません。妊娠個体が学術的に記録されたことがほとんどないんです。

一応、1個体、6尾の胎仔が記録されてはいるらしいのですが、あまり詳しい情報は出てきませんでした。恐らくホホジロザメやシロワニのように卵食型、つまり赤ちゃんが母胎内で卵を食べる胎生だと思われますが、これも更なる研究が必要だと思います。

ウバザメが絶滅危惧種かどうかは意見が分かれていて、各国で規制も異なりますが、そもそも歴史的に獲りまくってきたにもかかわず、保全状況を把握するための手がかりが少ないのが現状です。

ただ、サメは元々子供を産む数が全体的に他の魚より少なく、乱獲されれば個体数回復には時間がかかります。

さらに、ウバザメの遺伝子を調べた研究によれば、ウバザメは他のサメに比べて遺伝子多様性が非常に低いことが示されています。

 

 

生態がよく分かっていない生物を守っていくのは難しいですが「なんだかよく分からない間に滅ぼしちゃいました」みたいなことにならないようにしていきたいなって思います。

 

主な参考文献

 

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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