チョウザメはサメではない?キャビアで有名な古代魚を簡単解説【ありがとう油壺①】

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チョウザメの鰓は鰓蓋に覆われている。

どうも!おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

先日の記事でも触れましたが、9月30日に京急油壺マリンパークが閉館してしまいました。

閉館自体は非常に残念ではありますが、今まで頑張って多くの生き物を展示してくださった油壺マリンパークへの感謝を込めて、「ありがとう油壺」と称したシリーズ企画をYouTubeで行っています。

この企画では、油壺マリンパークで実際に展示されていた生物をテーマにして、僕が生き物や自然環境について紹介する動画を連続でアップするというもので、すでに第1弾、第2弾を公開済です。

今回は、閉館前に最後行きたかったけど行けなかった方や、思い出深いあの展示がもう見れないのは悲しいという方に少しでも楽しんでもらえるよう、その内容をブログでも発信しようと思います。

「ありがとう油壺」企画の第一弾はチョウザメです!油壺の建物に入ってすぐのコーナーに展示されていた大きなチョウザメたちを覚えている人も多いと思いますが、一体チョウザメとはどんな生物なのか、改めて解説していきますので、よろしくお願い致します!

 

チョウザメはどんな魚?

チョウザメとはどんな魚か?改めて見ていきましょう。

チョウザメは、硬骨魚綱軟質亜綱に分類される魚の仲間です。

「なんのこっちゃ?」と思う人もいると思うのですが、実はこれが後で重要になってくるので、頭の片隅に入れておいてください。

名前の由来は諸説ありますが、体表面にある鱗が蝶の形に見える、サメっぽい魚だからチョウザメと名付けられたという説が有名です。

チョウザメの体表面には蝶を思わせる独特の鱗が並んでいます。

チョウザメにも色々な種類がいますが、油壺マリンパークの水槽で特に目を引いたのは、アイキャッチ画像にもしているシロチョウザメではないでしょうか。水槽内で体が一番大きかったというのもありますが、顔がめっちゃくちゃ可愛いです。大きくて丸みを帯びた顔にチョボンとした小さくてつぶらな目がついていて、かなり癒しですね。

油壺のチョウザメたちはどれも長生きで、閉館時点で展示されていた個体は飼育年数が40年を超えていたはずです。油壺マリンパークの生き物で最も長生きした生物なのは間違い無いです。

チョウザメ全体の話になると、75歳以上のオオチョウザメや、100歳を超えるイケチョウザメもいたそうなので、彼らはかなり長生きの魚のようです。

 

チョウザメはサメではない

チョウザメを紹介するにあたって、サメ好きとしてどうしても述べておかなければならないことがあります。それは、チョウザメはサメではないということです。

サメ好きや一部の水族館好きからしたら常識だと思いますが、恐らく日本人の半分以上はいまだに勘違いしていると思いますし、すでに知っている人も、何が違うのかをしっかり理解していた方が良いと思うので、改めて紹介します。

確かにチョウザメには、サメっぽいと思わせる特徴があります。

例えば、分先が細長く突き出ていること、口が顔の下にあること、三角形かそれに近い背鰭、胸鰭を広げたまま泳ぐ、上下で長さの異なる尾鰭などですね。

確かに少しサメっぽ見た目をしているチョウザメ

しかし、チョウザメは体のいくつかの特徴が、サメたちとは明らかに違っています。その中でもわかりやすいのが、歯と鰓です

サメとチョウザメの歯

サメの仲間は、食べるものに合った形の歯を持っていて、生きている間にずっと生え変わり続けます。ジンベエザメのように歯を使わずに獲物を濾しとるサメもいますが、彼らも使わないだけで小さな歯を持っています。

油壺に展示されていたオオワニザメの剥製。鋭い歯の奥には控えの歯が沢山並んでいます。

ですが、チョウザメたちはそもそもの歯を持っていません。底の方にいる甲殻類や水生昆虫、貝の仲間などを吸い込んで丸呑みにします。

サメとチョウザメの鰓

サメは体の側面に5〜7本の切れ込みのような鰓孔があります。一部見えづらいサメもいますが、これは全てのサメに例外なく共通しています。このような特徴から、サメとエイの仲間は、板のように鰓が並んだ仲間、板鰓類と呼ばれます。

ドチザメ。体の側面に5本の鰓孔があります。

ですが、チョウザメは鰓が多くの魚同様に鰓蓋に覆われていて、5本線は見えません。これは他の魚にも言えますが、もしサメっぽい魚を見つけても、鰓がこのような形になっていれば、間違いなくそれはサメではありません。

チョウザメの鰓は鰓蓋に覆われている。

他にもサメの体は楯鱗と呼ばれる独特の鱗に覆われているがチョウザメにはそのような鱗はない、サメには胎生と卵生の仲間がいて、卵生のサメは大きな卵を少数生みますが、チョウザメ類は全て卵生、しかも粒の小さな卵を沢山生む、などの違いがあります。

そして、この卵を塩漬けにしたのが、皆さん大好き高級食材のキャビアです。

 

チョウザメは何の仲間?

チョウザメの何がサメと異なるのかをざっくりと紹介しましたが、ではチョウザメは何の仲間なのか?見た目が違うだけで、本当にサメの仲間ではないのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

そもそも僕たちは「魚」という言葉で、あまりにも多様な動物をまとめすぎています。

一般の方の頭の中では、マグロ、サメ、シーラカンス、チョウザメは全部同じ「魚」になっていると思います。そして、他の生物と比較した時、魚類、両生類、爬虫類というまとめ方になっているはずです。

しかし、実際には、サメと他の魚は、僕たちと鳥、あるいはそれ以上に系統が離れているし、サメ以外の魚、つまり硬骨魚と呼ばれる魚たちも、ひとまとめにできない多様性を持っています。

より細かくみるとこのような図になります。

まず遥昔の海に、魚っぽい生物が誕生しました。最初は鰭はおろか顎すらない動物でしたが、この生物が色んな進化を遂げて枝分かれする中で、骨格のほとんどが軟骨で出来ている魚が独自の進化を遂げていきます。これが今のサメやエイに繋がっていきます。彼らは骨格の成分や構造が根本的に他の魚たちと違っています。

そして、硬骨という硬い骨を持つ魚の一部が、肺を発達させたり、ヒレの部分が足っぽくなっていきました。その過程の途中で水中に止まったのが肺魚やシーラカンスたちで、そのまま陸上に上がったのが僕たち陸上の脊椎動物たちです。ちなみに、それからだいぶ経って「やっぱ俺たち海に戻るわ」って水の中に戻っていた生き物の現在の姿がジュゴン(海牛類)、アシカ(鰭脚類)、イルカ(鯨偶蹄類の一部)などの仲間です。

そして、水中に止まった魚たちはその後も様々な進化を遂げていくのですが、僕たちに一番身近なマグロやタイなどの仲間は「真骨類」と呼ばれ、比較的最近になって誕生したグループです。

一方で、太古の昔からほとんど姿を変えず生き残ってきたグループもいます。チョウザメはこのうちの、軟質魚綱というグループにいるわけです。

中生代ごろまではチョウザメ以外にも軟質魚と呼ばれる生物はいたらしいのですが、現生に生き残っているのはチョウザメ類のみです。

油壺マリンパークでチョウザメは「昔のままの姿で」というコーナーに、ガーの仲間と一緒に展示されていましたが、あれは、彼らが俗にいう古代魚の仲間であるからです。

こうして見てみると、チョウザメがサメとは全然違う魚だということが分かると思います。”デッカい鰓呼吸”の生物というのは共通していますが、そもそも根本的な骨格構造が違って系統的にも離れているので、僕たち人間とスズメくらい、あるいはそれ以上に離れた存在だと言っていいかもしれません。

 

少し短いですが、今回のチョウザメ解説は以上です。

今後もいくつか油壺の展示に絡めた解説記事を出していくので、引き続きよろしくお願いいたします!

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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