レモンザメを解説!『おかえりモネ』にも登場?ニヤケ顔の可愛いサメを紹介します!【ありがとう油壺③】

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ニヤけたような顔が可愛いレモンザメ。少しやせてしまっていましたが、今まで見たレモンザメで一番美しい個体だったと思います。

おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は、「ありがとう油壺」企画の第3弾です!先日閉館してしまった油壺マリンパークに感謝を込め、閉館前に行けなかった人に少しでも油壺成分を届けるために、その展示内容を僕なりに深掘りしていきます。

今回紹介するのは、油壺のドーナツ型水槽を泳いでいたサメの一種、レモンザメです!

このドーナツ型水槽には他にもオオメジロザメとシロワニというサメが泳いでいたのですが、この2種は割と最近にそれぞれ解説記事を出しているので、今回はレモンザメを紹介します!

オオメジロザメの記事はコチラ↓

シロワニの記事はコチラ↓

 

あまり名前を聞かないサメかもしれませんが、個人的に結構好きなサメなので、少しでもレモンザメを好きになってもらえると嬉しいです。よろしくお願い致します!

 

レモンザメはどんなサメ?

レモンザメがどんなサメなのか、基本的なところを見ていきましょう。

レモンザメは、メジロザメ目メジロザメ科レモンザメ属に分類される、熱帯など暖かい海に住むサメです。日本だと沖縄の西表島や石垣島付近などに生息しています。

大きさは大きくて3m前後、最大3.8mという記録があるそうですが、大体の個体が2.2〜2.5mほどだと思います。

油壺に展示されていた子の正確な全長はわかりませんが、2mは超えていたと思います。個体ごとにサメも顔つきが違っていたりするのですが、油壺のレモンザメは大きくて迫力があり、顔が少しふっくらした特に美人な子でしたね。

名前の由来となったのは体の色です。文字通りレモンを思わせるような黄色みがかった色をしています。

ただ、これは生活環境などにも影響されるみたいで、ただの薄い灰色にしか見えないレモンザメもいます。油壺の子は黄色というか白に近い灰色みたいな色でした。照明の当たり方次第で黄色に見えなくもないかなって感じです。

そこまでレモン色に見えないレモンザメ

 

照明の当たり具合ですごく黄色く見えるレモンザメ

レモンザメに限った話ではないですが、サメや魚の色というのは個体差が激しかったり、生きている時と水揚げされた時で全然色が違っていたりするので、色だけで種を見分けるのはあまりお勧めできないです。

体の特徴としては、吻が短くて丸い、そして、背鰭が全体的に後ろにあって、各鰭どれも大きいというのが挙げられます。

よく多くの人が想像するサメは、大きな背鰭が体の前の方にあると思いますが、レモンザメは胸鰭と腹鰭の中間くらいの位置に第一背鰭があって、他のメジロザメの仲間では小さいことも多い第二背鰭、腹鰭、臀鰭がそれぞれ大きいです。

ちなみに、油壺のドーナツ水槽で一緒にいたシロワニやオオメジロザメとレモンザメを間違える方がたまにいました。体型とか顔つきは全然違うのですが、詳しくない人には区別がつかなかったのかもしれません。

シロワニ。顔つきはレモンザメと全く異なりますが、各鰭が大きく体の後ろ側にある点がレモンザメと似ています。

 

オオメジロザメ。吻が丸く短い点がレモンザメと似ていますが、第一背鰭が体の前の方にあり、第二背鰭・腹鰭・臀鰭が小さいです。

ニヤけ顔が可愛いサメ

図鑑に載っているような特徴とは別に、レモンザメには他のサメにはないチャームポイントがあります。それが、なんとも言えないニヤけ顔です。

レモンザメの顔をよく見て欲しいのですが、少し口角に独特の波があって、どこかニヤついているような顔になっています。

口を開けていてムチムチしているので分かりづらいですが、ニヤケ顔をしています。

美ら海の個体だと分かりやすいかもしれません。

顔を見る角度などによってサメの顔が笑って見えることはありますが、レモンザメは他のサメにはない、いたずらっ子のような可愛らしさがあります。

ちなみに、「おかえりモネ」という朝ドラに登場する先生がサメ好きだそうなんですが、そのLINEアイコンのサメを確認したら、思いっきりレモンザメでした。顔が特徴的なこともあって、サメ好きの中ではレモンザメ推しの人も少なからずいると思います。

もちろんこれはイルカのドルフィンスマイルと同じで、たまたまこのような口になっているだけです。この顔だから友好的だとか楽しんでいるというわけではないです。

レモンザメの主食は他の魚や小型のサメなどで、人間ほど大きな獲物を積極的に襲うサメではないですが、鋭い歯を持つ大型野生動物です。そして、飼育されている個体だと、他のサメに噛み付いたり、好奇心旺盛というか、やんちゃな行動をするも多いようなので、不用意に刺激するのは避けましょう。

西にいるレモンザメ?

レモンザメと同じレモンザメ属に分類されるサメとしてもう一種、ニシレモンザメというサメがいます。

この名前の「ニシ」は、大西洋を指しています。

サメの中には、オンデンザメとニシオンデンザメのように、非常によく似た見た目で名前に西とついている仲間がいることがありますが、これは大西洋側に住んでいる種という意味です。

レモンザメもこれと同じで日本近海をはじめ、太平洋やインド洋などに生息する種の名前はそのまま、大西洋側にいる種にニシと付けるわけです。ちなみに、これらは愛称とはではなく、遺伝子学的にも種分化した別種であるとされ、それぞれに別の学名がついています。

レモンザメ、ニシレモンザメそれぞれの分布域。

ただ、この名前の付け方ははあくまで大西洋から離れた日本側の理屈なので、英名になると「West lemon shark」になるわけではないです。

ここからがややこしいのですが、日本で「ニシレモンザメ」と呼ばれているサメは、英語ではLemon sharkになります。

では、日本などにいる和名「レモンザメ」はなんて呼ばれているかというと、Sharptooth lemon sharkまたはSicklefin lemonsharkと言います。

Sickleというのは鎌です。レモンザメの方がニシレモンよりも胸鰭が若干強い鎌型になっているというのが由来です。ただ、微妙な違いなので、ぱっと見で見分けられる人がいたら(良い意味で)変態です。

とにかく、大西洋側には日本にもいるレモンザメは大西洋側にはいないので、もしフロリダやメキシコ湾などを取材したドキュメンタリー番組で「We can see a lot of Lemon sharks!」のように言っていたら、それはレモンザメではなくニシレモンザメです。

まとめると、レモンザメはLemon sharkにあらず、ニシレモンザメはLemon sharkなり、という非常にややこしいことになります。実際に、サメに関するブログで、明らかにニシレモンザメに関するものと思しき情報を、レモンザメのものとして紹介してしまっている方もいました。

生息域と学名を覚えてしまえば混同する心配はないですが、海外のドキュメンタリーや論文ではLemon shark、つまりニシレモンザメがたびたび登場するので、サメ好きの方はこの辺十分気をつけてください。

レモンザメの子育て

レモンザメは胎生、つまり、ママのお腹の中で赤ちゃんが育って、成魚と同じサメの姿になって生まれてきます。

その中でもレモンザメは、シュモクザメやその他多くのメジロザメ類と同じように、胎盤を形成するサメです。

最初は外卵黄嚢と呼ばれる袋に入った栄養を吸収しますが、吸収し終えると、この袋が伸びていって母体の子宮壁にくっつき、臍の緒と胎盤が形成されて、母体から直接栄養をもらうようになります。そして、約10ヶ月ほどの妊娠期間で大きく成長してから産まれてくるんです。

子宮の中で親と同じ姿になりつつあるクロトガリザメの胎仔たち。

レモンザメは元々、深くても100mもないような沿岸の海に住んでいるサメですが、出産の際は河口近くなど特に浅い場所に現れ、子供はマングローブ林など、餌が豊富でかつ天敵も入ってこないような場所で過ごします。

そんなレモンザメ、実は絶滅危惧種のサメでもあります。

レモンザメは入江や珊瑚礁の海底付近をゆっくりと泳ぎ、長距離の回遊もあまり行わないサメです。一度に子供を産む数も10尾ほどと少なく、子供の生存もマングローブ林などに依存しています。

つまり、子供を産む数が少なく分布域も限定的なので、一度乱獲してしまうと、個体数が回復しにくいと考えることができます。また、沿岸域は人間活動の影響を受けやすいので、開発によってマングローブ林や珊瑚礁が破壊されれば、乱獲がなくても個体数に悪影響が出てしまいます。

実際にインドやタイの沿岸では、地域的にレモンザメが絶滅してしまったと思われる事例があり、IUCNの評価もEN、絶滅危惧となっています。

この愛らしい表情のサメがいなくなってしまわないように、乱獲や過剰な駆除の防止、および生息域の保全にしっかりと取り組んでいければなと思います。

参考文献

David A. Ebert, Marc Dando, and Sarah Fowler 『Sharks of the World a Complete Guide』2021年
Florida Museum 『Negaprion acutidens』2021年10月14日アクセス
仲谷一宏 『サメ ー海の王者たちー 改訂版』2016年
田中彰 『美しき捕食者 サメ図鑑』2016年

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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