クラーケンのモデル?世界最大のイカ、ダイオウイカを解説!深海の巨大イカはマッコウクジラと戦っているのか?【ありがとう油壺④】

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回は「ありがとう油壺」企画の第4弾です!9月30日に閉館した京急油壺マリンパークの展示に絡めて生き物を解説します!

京急油壺マリンパークといえば、生きている動物たちの展示だけでなく、様々な標本の展示も魅力的でした。

そんな中で今回紹介するのは、こちらです!

ダイオウイカ!

名前だけは聞いたことがあると思いますし、ダイオウイカがモデルだと思われる架空の怪物クラーケンは有名ですが、実際はどんな生物なのかご存知でしょうか?

今回は、未知の巨大深海生物、ダイオウイカを解説していきます!

 

ダイオウイカはどんなイカ?

ダイオウイカは頭足綱ツツイカ目ダイオウイカ科に分類される、世界最大級のイカです。

イカの分類について簡単に触れておくと、頭足綱というのはタコやイカの仲間です。厳密には腕ですが、頭から足が生えているように見えるから頭足と呼ばれます。

その中で十腕型上目というグループの中にいるのが、一般的に”イカ”と呼ばれる生物で、ツツイカ目はその中の分類の一つになります。身近なイカで例を出すと、アオリイカなどはツツイカ目です。

アオリイカ

ただ、この分類の方法は諸説あり、開眼目とされることもあります(ここでは油壺の展示に合わせてツツイカ目とします)。

ダイオウイカは謎の多い深海生物ではありますが、世界各地で死骸が打ち上がった利しています。人間との遭遇が少ないだけで、恐らく世界中の海に生息していると思われます。

ちなみに、油壺マリンパークに展示されていた標本は、2014年3月、東京湾走水漁港で捕獲されました。日本でダイオウイカが報告された事例はそれまでもあったのですが、日本海側が多く、この標本は太平洋側では5つ目の事例になります。非常に貴重な標本です。

ダイオウイカの全長は?

ダイオウイカは名前からしてもデカそうですし、実際に標本を見てそのデカさを体感した人も多いと思いますが、実際に彼らは世界最大の無脊椎動物として知られています。

油壺に展示されていた標本は、全長4m38cm、体重24.28kgと紹介されていました。

イカの大きさの計り方について触れておくと、頭より後ろの動体の部分が外套長と呼ばれます。ただし、触手を含めた長さについては、触腕という特に長い2本の触手を含めるかどうかで変わりますし、しかも計測段階で伸び縮みしていることもあるので、慎重に見ていく必要があると思います。

外套長はイカの大きさを議論する際によく用いられます。

それを踏まえた上でになりますが、ダイオウイカはアオリイカなどに比べると触手が非常に長いので、外套長が2m前後でも、全長が4〜5mくらいになります。

いい加減な雑学ブログなどは「全長20m!」みたいにインパクトある数字を採用したがりますし、40mだというコラ画像も過去に出回りましたが、日本の記録は大体が外套長2m前後、全長だと約3〜5mほどです。最大とされる記録も全長13mほどでした。

ダイオウイカのサイズについては諸説ありますが、極端に大きい事例は、伸び縮みした触手を測り間違えた結果や、注目を集めたいが故のデマだと思います。f

こういうことを言うと「夢が壊れる」とか変な反発をする人がたまにいますが、そういう人に限ってたいして生き物と向き合ったことがないです。「全長20mのメガロドン!」みたいな話を聞きなれていると「全長3mのサメ」というのは小さく思えるかもしれませんが、目の前に来たらめっちゃデカいです。

ダイオウイカの触手は非常に太く、しかも目玉の直径が30cmにもなります。映画のように人を襲った事例はないはずですが、実際に水中で出会ったら全長4mでも絶対に怖いです。

ダイオウイカの触手

とにかく、ダイオウイカに限らず、巨大生物のサイズと言うのは誇張されがちなので、この辺は騙されないようにしてください。

めちゃ不味いイカ?

全長サイズに諸説あるとはいえ、ダイオウイカがスルメイカやアオリイカよりも何倍もデカい化け物サイズであることは間違い無いです。

これで刺身やイカ飯を作ったら最高にテンション上がりそうですが、実はダイオウイカの肉はめっちゃ不味いことで有名です。

僕はまだ食べたことないですが、食べた人はやっぱりいるみたいで「歯応えがない、海水を含んだスポンジ、苦い、辛い、しょっぱい」と散々な評価でした(もはや人間が食べるものではないです)。

では、なぜ不味いのか?

実は、深海性のイカの多くは、体にたくさんの塩化アンモニウムを含んでいます。

塩化アンモニウムは塩よりも少しだけ軽いので、水中で浮力を保ちやすくなります。こうすることで、餌が少ない深海で少しでもエネルギーを節約していると思われます。

深海に住むユウレイイカ。彼らも塩化アンモニウムを体に含んでいるので不味いです。

ダイオウイカは餌に勢いよく襲いかかる映像記録があるので、ふわふわ浮いているだけというわけではないと思われますが、それでも少しでもエネルギーを節約したいのか、あるいは別の理由があるのか、とにかく彼らも体に大量の塩化アンモニウムを含んでいます。

これが原因で、海水を含んだスポンジとまで称されるほど不味い体を獲得しました。

ただし、後で紹介する通り、ダイオウイカを食べる生物は存在します。

ダイオウイカは何種類?

ダイオウイカ自体は有名なイカですが、実はかつて、世界には色々なダイオウイカがいると思われていました。

というのも、ダイオウイカが生きている姿なんて基本的に見られないので、昔の人たちは、世界各地に漂着したダイオウイカと思しき生物の一部を調べ、それをもとに学名をつけていったんです。

「そんないい加減なことある?」と思うかもしれないですが、胃の内容物や体の一部だけが最初に見つかって新種だとされる生物は他にもいます。ダイオウイカと並んで巨大イカとして紹介されるダイオウホウズキイカも、マッコウクジラの胃の中から見つかったのが最初の発見でした。

僕の友達もマグロの胃から出てきた深海魚がどうしても同定できず、新種の可能性も考えて専門の方と調べたりしていました。それくらい海は神秘に満ちているんです。

とにかく、たまたま手に入った死骸、クジラの胃内容物、漂着した一部など、世界各地で巨大イカの痕跡を研究した結果、15〜17種ほどダイオウイカの仲間がいると発表されました。

正直多すぎる気もしますが、実際にダイオウイカは形態的な変異が大きいようで、日本近海のダイオウイカも、長腕型・中腕型・短腕型の3タイプに分けられています。ちなみに、油壺に展示されていた標本は中腕型のものです。

しかし、形態的な特徴だけでなく、DNA解析も行われるようになってから、過去の巨大イカたちの分類が見直されました。2013年には、世界各地のダイオウイカのミトコンドリアDNAの全塩基配列が調べられ、その結果、形態的な変異はあっても遺伝的な変異はなく、ダイオウイカは一種だけだと結論づけられました。

複数の種が「やっぱりみんな同じ種でした!」となる場合、混乱を避けるために学名のルールが決まっていて、最初に記載されたものが採用されます。ダイオウイカの場合は、Architeuthis duxに統一されています。

壮絶な深海生物バトル?

ダイオウイカのイラストは、マッコウクジラとセットで描かれることが多いです。彼らが壮絶に戦っている感じで描かれているものもありますが、基本的にはダイオウイカが一方的に食われています。

マッコウクジラは驚異的な潜水能力を持っていて、深さ1000m以上、時間にして1時間以上の潜水を繰り返し行い、深海に生息するイカ類などを捕食します。この時に、ダイオウイカもメニューに加わるんです。

マッコウクジラの骨格標本。

実際にマッコウクジラの体にはダイオウイカによってつけられたと思しき巨大な吸盤による傷がついていることがありますし、マッコウクジラの胃の中からダイオウイカなど大型イカ類が発見されています。

もちろんダイオウイカも巨大で強力な捕食者ですし、暗闇でもよく見えるであろう巨大な目を持っていますが、マッコウクジラは高い体温と、エコロケーションによる探索能力を兼ね備えています。

高い体温を持っている、いわゆる恒温動物の方が運動能力が高いですし、音は水の中で伝わりやすく、光のように深海で減衰してしまうこともありません。

よく「VS」とか「宿敵」とか表現されますが、ダイオウイカはかなり部が悪く、戦いというより絶体絶命の危機という感じだと思います。

 

さらに、ダイオウイカはサメにも襲われているかもしれません。

ハワイ島の沖を泳いでいたヨゴレというサメの体に、ゴルフボールほども大きい吸盤の傷跡が確認されました。

大きい吸盤だからといって必ずしもダイオウイカとは限りませんし、どういう状況でついた傷なのか、はっきりとは分かりませんが、こうした記録は、サメを研究する上でも役立ちます。

ヨゴレは絶滅が危惧されていますが、よく生態が分かっていないサメでもあります。そうしたサメがどこまで潜り、どんな餌を食べているのか、情報が集めることは、効果的な保全活動を行う上で重要です。

もしかしたらダイオウイカは、鯨やサメ、その他多くの生物を支える、巨大なご馳走なのかもしれません。

 

参考文献・関連書籍紹介

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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