サメの歯は何度も生え変わる?歯がほとんどないサメはどうなるのか?サメの歯について徹底解説!【ジョーズ】【人食いザメ】【海の酸性化】

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

少し前になってしまうのですが、以前にTwitterで「歯がほとんどないサメ発見」という記事がシェアされて話題になっていました。

実際の記事はコチラ↓

概要を紹介すると、メキシコのグアダルーペ島周辺にて撮影されたホホジロザメが、大量の歯を失っているとして話題になりました。現地のスタッフ曰く「これほど歯が欠けているのは珍しい」とのこと。写真がアップされたインスタには「かわいそう」「どんな歯磨き粉を使ったんだ」など、ネタも含めていろいろなコメントが寄せられたそうです。

今回はこのニュースに少し絡めながら、サメの歯について、紹介をしていきます!

 

色々なサメの歯の形

まずサメがどんな歯を持っているのか、ここから見ていきましょう。

よく想像されるサメの歯といえば、先が尖った大きい三角形の歯だと思います。子供がサメの絵を描くときは大体そんな感じの歯をむき出しにしています。

ですが、実際のサメの歯は、食べるものに合わせて様々な形をしています。

サメと言えば『ジョーズ』、つまり人食いザメというイメージがやはり世間的には強いですが、500種以上いるサメの仲間は餌も様々で、刺胞動物、軟体動物、節足動物、棘皮動物、そして脊椎動物など、色々な動物がメニューになります。そのエサの大きさも、オキアミのような小さな生物から巨大なクジラまで幅広いです。

そんなサメの歯ですが、無理矢理グループ分けするとこのようになります。

大きな獲物を切り裂く「切る歯」、小さな獲物を捕まえて逃さない「刺す歯」、硬い獲物を抑えたり砕いたりする「おさえる歯」この3タイプに分けられると思います。

切る歯

これは、ホホジロザメの歯です。先ほども触れた映画『ジョーズ』に登場する、恐らく一番有名なサメです。先の尖った大きな三角形で、縁の部分が鋸のようになっています。このような歯を「鋸歯」と呼びます。

ホホジロザメはアザラシやオットセイ、クジラの仲間、他の大型魚やサメ類など、一口では食べきれないような動物を食べています。この歯で獲物の肉に食らいつくと肉の奥深くまで歯が刺さり、そのまま体ごと頭を振ると、ノコギリの部分が肉を切り裂きます。こうして、口に入る大きさに噛みちぎった肉を丸呑みにしているんです。

他に切る歯を持つサメといえば、イタチザメなどが挙げられます。また、アブラツノザメやオンデンザメなどツノザメ目の仲間はカミソリのような歯を持っており、これも肉を食いちぎるのに適しています。

イタチザメの歯

アブラツノザメの歯

刺す歯

これはアオザメの歯です。同じネズミザメ目で、分類学状は先ほどのホホジロザメに近い仲間ではあるのですが、だいぶ違った歯をしています。

アオザメも大型哺乳類を襲うことはありますが、イカや中型魚など、一口で食べられる動物が主なメニューです。こうしたサメは、切り裂くのではなく、逃げられないように突き刺したり、口に入った獲物を檻のように閉じ込める、細長く尖った歯を持っています。

刺す歯を持つサメとしては、シロワニ、カスザメなどが挙げられます。深海ザメとして有名なラブカやミツクリザメも刺す歯を持っています。

ラブカの歯

おさえる歯

こちら、ホシザメというサメの歯です。石畳みたいな平たい形をしています。ホシザメは主に底生性の甲殻類や貝類などを食べています。こういうサメは、硬いものをおさえたり砕きやすいようにこのような独特の形状をしています。

おさえる歯を持つ代表的なサメがネコザメで、硬い貝類などを砕いて食べることから、サザエワリという異名を持っています。

ネコザメの歯

 

一応注意点を述べておくと、これら3パターンに当てはまらないような歯を持つサメもいます。

例えば、ジンベエザメやウバザメも一応歯を持っていますが、彼らは小さなプランクトンを餌としています。大きな口に海水ごと入ってきた餌を、鰓で濾しとるという食事方法なので、食事の際に歯は機能していないです。

ウバザメの歯。体や口の大きさに対して非常に小さいです。

また、メジロザメ属の仲間が特にそうですが、上顎歯が切る歯、下顎歯が刺す歯のように、2種類の歯を持つサメもいます。ネコザメの歯も、前側がひっかけたり抑えたりするトゲトゲした歯で、奥側の歯が硬いものを砕く歯になっています。

今回紹介した歯のグループ分けは、理解しやすくするためのざっくりしたものだと思ってください。

無限に生え変わる歯

サメの歯に色々なタイプがあることは分かりましたが、どの歯にも共通する面白い特徴があります。それが、何度でも生え変わるということです。

サメの顎の骨を内側から見てみると、裏に控えの歯がびっしり並んでいます。

イタチザメの顎の裏側

サメの歯は、顎に完全にくっつているわけではなく、ただ顎の骨に乗っているだけで、薄い歯茎に少し埋まっているような状態です。この歯茎が動くことでベルトコンベアのように一番前の機能歯と呼ばれる歯が押し出されて抜け落ち、後ろにあった補充歯が新たな機能歯となっていきます。

サメの歯が生えか分かる仕組みの簡単図式

ですので、冒頭で紹介した歯がたくさん抜けてしまったサメも、恐らくすぐに次の歯が生えてくるので、今後も問題なく狩りができると思います。

なお、サメの歯の解説で、「折れてもすぐ生えてくる」という風に紹介されることがあるので、硬いものを噛んで折れたり抜けたりしたら生え変わると思っている方もたまにいますが、サメの歯はそうしたことに関係なく、定期的に抜け替わります。

こちら、シロワニというサメの写真なんですが、よく口元を見てみてください。一本の歯が抜けそうになっているのが見えます。抜け落ちる瞬間は見られなかったのですが、恐らく当日か翌日には抜けたのではないかと思います。

シロワニは歯自体が大きくてよく生え変わるそうなんで、この子がいる水槽の底を見てみると、たまに歯が落ちていることがあります。水族館に行ったらぜひ探してみてください。

サメの顎標本を作るときの注意点

僕の動画を見ている方には、サメの顎骨標本や頭骨標本を作りたいという方も多いと思いますが、その際に茹でたり土に埋めたりする方法はお勧めしません。これも、先ほどの歯の構造に理由があります。

サメの歯は顎と一体化しているわけではなく、薄い肉に埋まっているだけなので、そこの肉が腐ったり崩れてしまうと、顎から歯が全部取れてしまうんです。

さらに、サメの骨は歯以外は顎も軟骨なので、土に埋めたりしたら顎も分解されて本当に歯だけになってしまいます。

ヨゴレの頭骨。乾燥させると顎もしっかりした硬さを持ちますが、歯以外は軟骨です。

こうした事情があるので、サメの顎骨や頭骨の骨を作る際は、面倒でもカッターなどで丁寧に皮と肉を取り除く必要があるんです。このやり方や注意点については、過去にYouTubeに動画をアップしているので、気になる方はコチラもチェックをお願いします。

サメの歯が溶ける?

ここまでお話しした内容を踏まえると、冒頭で紹介した歯がたくさん抜けているホホジロザメについては、あくまで一時的なもので、しばらくしたら後ろの方の歯が起き上がってきて、問題なく機能すると思います。

ただ、実は今、サメたちに危機が迫っているかもしれません。

地球温暖化の原因として、二酸化炭素が有名ですが、この二酸化炭素が多く排出されると、温室効果ガスとして機能するだけでなく、海の酸性化を進行させる原因になります。

実は、この海の酸性化が、サメの歯や鱗に悪影響を及ぼす危険性があるんです。

モヨウウチキトラザメという南アフリカに生息するサメの仲間を対象に、海の酸性化がサメに与える影響について調べられました。

詳細は上記の記事を見ていただきたいのですが、今回の実験では、水槽内のpHを生息域に近いpH8.1から、徐々pPH7.3まで下げていきました。

ここで少し補足を入れますと、このpHが低いほど酸性に近づきます。このpH7.3は、「大気中の二酸化炭素が今後も今と同じペースで増えていった場合、2300年に到達する海の酸性度」とされていて、現在でも、一部の海域、一定の条件下であればpH7.3に到達する場所もあるそうです。

そして、サメは楯鱗または皮歯と呼ばれる鱗に覆われていて、この鱗は歯と同じ成分で出来ています。

では、pHを下げた水槽で飼育したサメの歯と鱗に影響は出たのでしょうか?

2ヶ月後にサメを調べると、pH8.1に保たれたグループに比べて、pHを下げた水槽のサメたちは、楯鱗が16%も減少していて、歯の成分であるカルシウムやリン酸塩の濃度も低下していることが確認されました。

酸性化によって歯が脆くなったり、楯鱗が傷つくことは、サメの捕食能力や遊泳能力に大きく影響してしまう可能性があります。また、サメは交尾の際にオスがメスに噛みつくため、楯鱗がもろくなることは、メスが傷つきやすくなって繁殖にも悪影響が出るかもしれません。

もちろん海の酸性化がサメの歯や楯鱗に与える影響については、サメの種や生息海域の環境によって変わりますから、もっと研究が必要ですし、そもそも外洋性や深海性で調べるのが難しいサメもいると思います。また、今回の実験で用いられたpH7.3という値は、相当に高い酸性を示すものだそうです。

しかし、現在の発展途上国が今の先進国と同じ水準まで、同じ方法で経済を発展させ、先進国も地球環境を無視した発展をさらに続ければ、先ほど述べた2300年という数字はもっと小さくなってしまいます。

仮にサメに対する影響が現段階では低くても、すでにサンゴや貝類など、炭酸カルシウムを作り出す海洋生物に影響が出ていることが確認されています。海洋酸性化は、海の生物多様性全体に関わる重要な問題です。

僕たちは「サメを守る」とか「海を大事にする」という話をするとき、乱獲に反対したり、海岸でプラスチックゴミを拾ったりといった、分かりやすいところに注目しがちです。僕もそれは大事だと思いますが、目に見えない、そして自分ごとに捉えづらい大きな領域も、考えていく必要があると思います。

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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shark.sociology.ricky@gmail.com

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