何故サメは人を襲うのか?どう身を守るのか?サメと一緒に泳いだことがあるサメ好きが徹底解説!【人食いザメ】【ジョーズ】【危険生物】

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

こんな肩書を名乗って発信活動をやっているから分かると思うのですが、僕はサメが大好きです。『ジョーズ』は誇張無しにホント100回くらい見ていますし、家にはサメグッズやサメ標本が沢山あり、野生のサメと出会うと最高にテンションが上がります。

しかしそういう話を一般の方に話すと「恐くないの?食べられないの?」と疑問を持たれることも多いです。

先ほど挙げた『ジョーズ』、あるいは近年のB級映画の影響もあって、「サメ=人を襲うもの」と認識している人は多いはずです。

では、実際にサメは人を襲うのか?襲うなら何故か?どう対策するか?

今回は、四六時中サメのことを考えていて、実際にサメと泳いだことがある僕が、解説していこうと思います!

 

サメは本当に人を襲うのか?

まず、「サメが人を襲う」という前提から考えていこうと思います。

正確な数については諸説ありますが、現在世界には500種類のサメがいるとされています。

では、その中で、人を襲って致命傷を与えるサメ、いわゆる”人食いザメ”と呼ばれるようなサメは何種類いるかと言えば、たったの3種です。多少無理して上乗せしても10種程度です。

この危険な3種と言うのが、『ジョーズ』で登場するホホジロザメ、タイガーシャークという英名も有名なイタチザメ、川にも入ってくることでお馴染みオオメジロザメです。

ジョーズで登場するホホジロザメ

だいたいサメと聞くと、今あげた3種のように大きくてムキムキで切れ味のある歯をもっいて、人間を見るとすぐに襲い掛かってくるというイメージがありますが、このようなサメは少数派ですし、必ず襲ってくるわけではないです。

実際はほとんどのサメが人間より小さいか、大きくても同じくらいです。大型のサメの大部分も、主食は魚やイカなど、体に対して小さく一口や二口で食べられる餌を食べています。そもそもサメの大部分は海底の方で大人しくしていたり、人間が潜ることのできない深海に住んでいるので、出会う機会も稀です。

小さくておとなしいサメの一種トラザメ。大きくても50cm程度です。

また、仮に先ほど挙げたホホジロザメなどのサメと遭遇しても、必ず人を襲うわけではないです。つい最近もドローンでサーファーと一緒に泳ぐサメを撮影した動画がニュースで取り上げられましたが、ホホジロザメはゆっくりと近くを泳ぐだけでした。

実際のニュースはコチラ↓

僕の知り合いにはイタチザメやオオメジロザメと檻無しで泳いだことある人が何人もいますが、みんな五体満足で帰ってきています。僕自身もダイビングに行って複数種のサメと一緒に泳ぎましたが、危害を加えられた経験は一度もないです。むしろ、もっと近くで観察したいのに、彼らが遠くに行ってしまうという悲しい場面の方が多かったです。

これは自分で思いついたのか誰かの受け売りか忘れてしまったのですが、ジョーズやその他のサメ映画はSF、つまりShark Fantasyです。現実には人間ばかり襲う殺人ザメなんていません。まずはこのことを頭に入れて欲しいと思います。

 

なぜサメは襲ってくるのか?

今見てきたように、基本的にサメは人を襲わないですが、それでも襲われることはあります。では何故襲ってくるのか?主な理由を紹介します。

人間が攻撃したり刺激したから

考えられるの原因の一つは、こちらがサメを怖がらせたり危害を加えたから、というものです。

ダイビング中にサメを追いかけたり、無理に触ったり、サメを釣り上げた時に噛まれるケースが挙げられます。

人間にとってサメは怖い生き物かもしれませんが、向こうからしてもこちらは得体のしれない化け物です。泡をぶくぶく出しながら急に近づいてきたり、岩影で休んでいたところにいきなり手を突っ込まれたりすれば、彼らだって警戒し、場合によっては攻撃してきます。

まして釣り上げられるというのは、口に針が刺さった状態で呼吸のできない場所に引きずり出されているわけですから、彼らからしたら絶体絶命です。噛むなという方が無理があります。

また、水中銃や銛を使って魚を捕まえる、いわゆるスピアフィッシングをしていたり、魚やクジラなどを処理していると、魚の暴れる音や血の臭いが周囲に漏れていきます。それに引き付けられたサメと遭遇して、魚を襲うつもりで人間に噛みついてしまう、というケースは考えられます。

実際に、ホホジロザメに襲われて462針を縫う大怪我を負ったロドニー・フォックス氏も、スピアフィッシングの大会中に襲撃されています。

もちろんサメに噛まれれば大怪我ですし、サメの大きさや噛まれる場所によっては命にかかわりますが、こうした事例ではサメをこちらから刺激したり呼び寄せたりしているので「サメに噛まれた!サメは狂暴だ!人食いモンスターだ!」と一方的に決めつけるのは、あまりにも身勝手な気がします。

ちなみに、先ほど述べた襲撃から生還したロドニーさんは、その後サメの観察ツアーを主催したり、サメの保護活動を行っています。

本来の餌と間違えたから

次に考えられるのは、サメが本来の獲物と人間を間違えてしまうケースです。

ホホジロザメやイタチザメは、アザラシやオットセイ、ウミガメ等、かなり大型の獲物を餌にしていますが、サーフボードに乗って手足を出した人間のシルエットは、こうした獲物によく似ています。このシルエットを見て、人間を餌と間違えて襲ってくる場合があります。

サーフボードに乗った人間、ウミガメ、アシカやアザラシなどの鰭脚類のシルエット比較

実際に、つい最近オーストラリアで出た論文でこの考えが科学的に検証されました。

ホホジロザメの網膜に基づき彼らの視力を推定し、それをもとに水面の物体がどう見えるか調べたところ、ホホジロザメ、特に人を襲うことが多い若い個体は、人間と本来の獲物を区別できていない可能性が高いと示されました。

研究について報じられたニュースはコチラ↓

また、以前に松山で漁師がサメに襲われた事故を解説したのですが、この時は水中がかなり濁っていたので、サメが漁師の姿を獲物と間違えた可能性はあります。

サメ研究の第一人者で数々のサメとダイビングしてきたユージーニ・クラーク博士も、こんな言葉を遺しています。

もし襲われることがあったとしたら、サメが人間を餌と間違えたことによるものです。ですから、間違えられないようにしましょう (『もし、サメに襲われたら!』より引用)

そもそもサメが人の命を奪っていないケース

番外編になりますが、これも触れておきましょう。

サメの胃から人の死体が見つかると「このサメが襲ったんだ!」と普通の人は思いがちですが、実はすでに事件や事故で亡くなった方の遺体をサメが食べているだけというケースもあります。というより、そっちの方が多いです。

自分の遺体がサメに食べられるのを良く思わない人もいるとは思いますが、サメからしたら浮いている肉を食べているだけなので、これをもって凶悪とか獰猛と言うのは可哀想です。

また、あくまで僕が聞いた話ですが、本当は自分の不注意で噛まれたり、あるいはそもそもサメではなくスクリューなど別の原因の事故なのに、見舞金が出ないとか、世間体を気にしたりして「いきなりサメが襲ってきた!」という作り話をする迷惑な人もいるようです。

人間同士であれば相手も反論して裁判したりできますが、サメは人間の言葉が話せないし、船の上や海の中では誰も見ていないので、一方的にサメの悪評だけが広まってしまうんです。

どう対策するのか?

ここまで読んでくださったなら、サメによる襲撃が非常に稀であり、襲われるケースでも積極的に人を狙っている訳ではないというのは分かって頂けたと思いますが、それでもサメが怖い、食われたくないという人はいます(僕も食べられたいわけではないです)。

最後に、サメに食べられないための対策をいくつかお伝えします。

サメを不必要に刺激しない

サメの襲撃のほとんどは人を餌と見なしての襲撃ではないので、これを守るだけでも、襲われるリスクはだいぶ減ります。

サメが多い海でダイビングをしていると、最初は怖がっていたダイバーもサメに慣れてきて、追いかけたり触ろうとしたりすることがあります。人間からしたら襲っているつもりはないですが、サメはそんなこと分からないので反撃してくる危険性があります。

こちらに悪意や敵意がなくても、彼らは常に命のやり取りをしている野生動物です。不用意に手を出さないようにしましょう。

また、海外でサメの餌付けを行っているツアーもありますが、あれはサメを意図的に興奮状態にしているので、当然噛まれるリスクがあります。もし参加する場合、岩を背にして腕を組んでいるように、など注意点を説明されると思いますが、それらを絶対に守るようにしましょう。

パニックにならない

これはサメに関係なく水中ではとても大切なことです。

サメを見てパニックになって暴れると、暴れたときに出る水の振動、つまり音がサメを刺激する危険性があります。下手に暴れているのは弱っている合図になり、本来人を餌と見なしていないサメも、「あそこに弱っている肉の塊がある、とりあえず味見しよう」となってしまうかもしれません。

また、サメよりも怖いのが、パニックになって急に浮上したり息ができなくなることです。最悪の場合は潜水病になったり、おぼれ死んでしまう危険があります。

基本的にサメは人を襲わないし、仮にサメが本当に襲うつもりなら、皆さんの水泳能力では逃げ切るのは絶対に不可能なので、ある種の諦めをもって冷静に対処してください。

 

サメの襲撃が一度あった場所ではしばらく潜らない

先ほども触れた松山での事故について、この事故の前にも同じ海域で漁師が大型のサメに遭遇しています。さらに、宮古島でサメに襲われた事例でも、近い時期に別の事故が起きています。

そのサメが同じサメで、人間を恐れない特殊なサメだったのか、その時期の海の環境が良くなかったのか、原因ははっきりしませんが、事故が起きた海域では、しばらくダイビングを控えた方が良いと思います。

一人で海に潜らない

そもそも単独でのダイビング自体お勧めはできないですが、サメに限らず、捕食動物は群れからはぐれた個体や弱った獲物を襲う傾向があります。

実際、単独で潜っている際に襲われた事例の方が多いようです。

原則海には複数人で潜り、ガイドと一緒に潜る際は、ガイドから離れ過ぎないようにしましょう。

 

そもそも海に入らない

元も子もない話ですが、そもそも海に入らなければサメには襲われません。

最近のサメ映画ではサメが砂や雪の中を泳いだり、家のトイレから現れたり、サメが海以外の場所に出るにはもう普通になりつつありますが、現実のサメは水の中にしかいません。

当たり前の話ではありますが、これは割と大事なことというか、個人的に強調したい理由があります。

例えばクマを例に挙げた場合、クマは人間と同じ空気呼吸をする陸上動物で生息域が地続きなので、こちらが彼らの領域に踏み込まなくても遭遇し、襲われる危険があります。

サメであれば水中で遭遇しても船に上がれば終わりですが、クマが市街地に出たらそうはいかないし、一度立ち去ってもまた戻ってくる危険があります。ですので、まだ人を襲っていない段階で駆除する必要があるんです。

僕はサメもクマも大好きなんですが、こうした生物の特性や遭遇の条件というものを考慮せずにサメもクマも一緒くたに危険生物としてメディアが報じる、そして遭遇率という観点から言えばクマの方がサメより危ないのに、クマの方が世間的には同情を集めやすいという現状に、モヤモヤする部分が正直あります。

世の中モフモフ至上主義なので仕方ないとは思いますが、それを差し引いても、サメはその多様性や生態を無視して、過剰に恐れられていると言わざるを得ません。

どうしてもサメが襲われたくないという方は、陸の上にとどまっていれば襲われる心配はないので、過度にサメを怖がる必要もないのかなと思います。

 

参考文献や関連商品

 

 

 

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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