沖縄の軽石問題を解説!大噴火によって出現した大量に軽石は生き物や漁業にどんな影響をもたらすのか?【環境問題】

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

今回のテーマは、「環境問題」というくくりで紹介していいのか迷いましたが、海の生態系、海と人との関わり方において重要だと思ったので、簡単にですが、まとめてきました。

それが今ニュースにもなっている軽石の問題です。

沖縄に大量の軽石が流れ着いたということで話題になり、メディアや現地のYouTuberなども取り上げていましたが、11月に入ってから伊豆諸島などでも確認され、各地での影響が懸念されています。

では?この軽石とは何か?どんな影響があるのか?

今回、軽石問題について僕なりにまとめてきました。これを読んだうえで、皆さんの意見もコメント欄で頂けると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

軽石はどこから来たのか?

ことの発端は2021年8月13 日、小笠原諸島の硫黄島から南に約60kmに位置する海底火山、福徳岡ノ場火山で大噴火が起きました。

この噴火というのが凄まじく、約5億㎥のマグマが噴出され、噴煙は16~19kmほどの高さまで昇り、堆積した噴出物により新しく島が形成されました。

5億㎥と聞いてもイメージ湧きづらいですが、海底で噴火したのに海面から19km噴煙が昇るというのは相当な規模だったと分かりますね。噴火場所から320㎞離れていた小笠原諸島の父島からも噴煙が確認できたそうです。

この福徳岡ノ場火山の噴火は1986年にも起きているのですが、今回は明治以降に日本列島で発生した最大級の噴火だとされています。

噴火自体は8月15日には収まっていて、海底火山の噴火だったので、火山灰やマグマで甚大な被害が出ることはなかったのですが、ここで海面に大量に現れたのが軽石です。

この軽石は、穴ぼこだらけで密度が小さいので、噴出した後も海底に沈まず、海の上を漂います。これが海流のって1400kmも移動して沖縄に流れ着き、今様々な問題が起きています。

軽石による問題

では、軽石によってどのような問題が引き起こされるのか?

色々考えられますが、海の生き物への影響、人間活動への影響、この二つに分けて紹介します。

海の生き物への影響

軽石の影響としてまず考えられる(というか実際に起きている)のは、生き物が軽石を飲み込んでしまうことです。

沖縄県うるま市の漁港にて、生け簀の中で養殖されていた琉球スギ約500尾が全滅しているのが確認されました。軽石が鰓に詰まることで呼吸困難を起こしたことなどが原因とされています。

さらに、沖縄で保護された後に死亡したアオウミガメの子供の腸内に、大量の軽石が入っていたことが分かりました。このアオウミガメの明確な死亡原因は不明とされていますが、絶滅危惧種である彼らへの影響が懸念されています。

また、膨大な量の軽石は、沖縄のサンゴにも悪影響をもたらすかもしれません。

基本的なことをおさらいすると、サンゴは刺胞動物というクラゲやイソギンチャクに近い動物の仲間ですが、自らが作り出す骨格の中に、褐虫藻という植物プランクトンが共生しています。この褐虫藻が作り出す栄養や酸素が、サンゴやその他多くの生物を支えています。

大量の軽石が海面を覆ったり、沈んだ軽石がサンゴに積もってしまうことで、太陽光が遮断され、褐虫藻の光合成を阻害してしまう危険性があります。また、流れてくる軽石そのものがサンゴにぶつかることで、サンゴが傷つくことも考えられます。

人間活動への影響

次に、軽石が起こす人間活動への影響も見ていきましょう。

まず考えられるのは、船舶への影響です。

軽石はエンジンに巻き込まれることで故障や事故の原因になるため、漁船が漁に出られない、貨物を運ぶ船が港に入れないなどの問題が起きます。。

また、先ほど養殖されていた魚が大量死したというニュースを取り上げましたが、これも水産業への損害という側面から見れば、人間活動への影響とも言えます。大量死した琉球スギはスーパーに出荷する直前だったそうで、本件における損害は、200万円~300万円にものぼる見込みだそうです。

さらに、沖縄と言えば、南国的な景観を売りにしている観光地でもあります。軽石まみれになったビーチというのは、泳げないし見た目もあまりよくないとして、観光産業に打撃を与えかねません。

軽石の利用方法

ただ、人間への影響については、軽石の利用方法を見出す人々もいます。

例えば、今回流れ着いた軽石を、土壌改良材として活用するという方法があります。軽石は穴が沢山空いているので、畑の水はけをよくするために使えるそうです。

こういう使用方法の場合、土壌環境基準というものを満たしている必要があるそうですが、今回の軽石については、重金属などの汚染の心配はないようです。

また、神奈川県の研究グループが、軽石の表面にゼオライトという吸着材に使われる成分の結晶を作ることに成功しました。この研究が、水質浄化や放射性物質の除去に役立てられる可能性があります。

このように利用法を模索する取り組みもあるのは良いことですが、今回の軽石は量が桁違い多いので、有効活用できるから除去が早まるという簡単な話ではないようです。

自然に消滅するかどうかについて触れておくと、軽石が沈むには数十日、元の環境戻るのは年単位で時間がかかるとされています。

まだはっきりとはしていない生物への影響、そして運輸業や水産業への損害、さらにこれらの影響が本州にも今後出てくるということを考えると、無視できない重大な環境問題と言えそうです。

軽石で死ぬ生物を守るべきか?

以上が、軽石問題のざっくりとした概要です。この問題については、影響や被害がまだはっきりとしていない部分もありますが、今後の動きに注意しつつ地道に除去を行っていくしかないと思います。

ただ、ここで生き物や環境問題について取り上げる発信者として、皆さんに考えて欲しいテーマがあります。

それは“もし軽石の影響で絶滅する生物がいるとしたら、人間は彼らを守るべきか”というものです。

僕をはじめとして多くの方が、絶滅危惧種を保全しよう、自然環境を守ろうという発信をしていますが、その理由の一つとして「人間活動によって多くの生物が危機に陥っている。僕たちで起こした問題は僕たちで対処しないといけない」というものが挙げられます。

「人間が乱獲するからサメが絶滅しそうだ」や「人間が森林を伐採するからオラウータンが危ない」という風に、人間が絶滅の原因を起こしているから人間が守らないといけないという発信の仕方が良くされます。

では、今回の軽石のような問題はどうでしょうか?

今回は、誰かが火山を意図的に噴火させたわけではないですし、軽石も人間が運んでいたものが漏れたのではなく、自然に発生したものです。

だとすれば、もしこの軽石でウミガメなどが絶滅しても、自然の摂理として放置するべきだ、という見方の人はいると思います。

僕が大好きな映画の一つ『ジュラシック・パーク』の中で、マルコム博士が「コンドルは人間活動の影響で絶滅の危機に瀕しているが、恐竜は誰のせいでもない。自然界の摂理によって滅びた」って話している場面がありますが、あれに近いものを感じます。

ただ、僕が今考えていることをお伝えすると、僕は簡単に「自然の摂理」という言葉でこうした問題を片づけない方が良いと思っています。

例えば、今回軽石を食べていたアオウミガメは、この問題が発生する前から乱獲や混獲などによって絶滅危惧種になっていました。軽石の影響を受けるかもしれないサンゴ礁も、埋め立てや地球温暖化、海の酸性化によって危機的状況にあるとされています。

もし、ウミガメやサンゴなどが人間の活動の影響で絶滅の縁まで追い込まれていて、軽石の影響がその最後の一押しをするだけだとしたら、本当にその絶滅は自然の摂理と言えるでしょうか?

「軽石は偶発的にとどめを刺しただけ、絶滅の原因を作ったのは人間」と見ることもできるはずです。

そもそも「自然の摂理」と言いつつ、僕たち人類は地震で起こる津波を防波堤で防いだり、感染拡大するウイルスにワクチンで対抗したり、”自然の摂理”と呼べそうなものに対して、生存のために抗ってきました。

生物多様性やそれによる生態系サービスを僕たち人間社会を支える基盤とするのであれば、それを守ろうとする行為は、野生動物が共生関係にある生物を守るのと同じ、むしろ自然の摂理と言えるかもしれません。

今回の軽石については、生態系に起こす変化については未知の部分も多いですし、僕も断定的なことは言えないです。また、産業面での影響が大きいので、どのみち除去されると思います。

しかし、今後似たような環境問題が起こった時のために、今提起したようなテーマも議論しておいて損はないかと思います。

 

 

 

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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