【サメ映画】実際にはあり得ない”サメ映画あるある”4選を紹介!【B級映画】

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

もうすぐ2021年も終わりを迎えようとしています。

これを読んでいる方の中には、正月休みにサメ映画を一気見する人もいると思います。『ジョーズ』シリーズであれば4作品、『シャークネード』シリーズであれば6作品あるので、有意義な年末年始の過ごし方になるかもしれません(保証はしません)。

そこで今回は、「現実にはあり得ないサメ映画あるある」を紹介していこうと思います。

以前に、『シャークネード』や『ダブルヘッドジョーズ』のような事態は実際に起こりえるのか?という解説をしたのですが、今回は、サメ映画全体を通してよくあるツッコミどころを取り上げていきます。

もちろんただサメ映画に対して偉そうにマジレスするだけでなく、サメの勉強になるような知識やおすすめサメ映画を紹介していくので、その点はご安心ください。

あり得ないあるある①:サメから泳いで逃げ切る

サメ映画でよくあるのが、船から落っこちたりした人の後ろからサメの背びれが迫ってきて、落ちた人が全力でサメから逃げるというものです。

船の上にいる人が「Hurry! Faster! It’s coming!」とか叫んでいて、「間に合うか?食われるか・・!?」という非常に緊迫感のあるシーンですが、実際にはあり得ないです。

なぜなら、サメが本気でその人を襲うつもりなら、あんなにゆっくりと迫ってくるわけがないからです。

水族館やダイビングでサメを観察する時、サメは非常に優雅に、ゆっくりと泳いでいますが、獲物を追いかける時のスピードは桁違いです。

しかも、サメ映画で人を襲うサメのだいたいがホホジロザメ、またはそれをモデルにした大型種です。

ホホジロザメは筋肉ムキムキの体つきをしていて、体がきれいな流線形で高速遊泳に適しています。しかも、寄網という特殊な血管構造のおかげで体温を高く保てるので、運動能力が他のサメよりも優れています。

その平均遊泳速度は、バイオロギングを使った研究によれば約時速8㎞。数字だけ見ると遅く聞こえますが、北島康介選手が金メダルとった平泳ぎより速いです。しかもこれは平均速度ですから、獲物を狩る瞬間は爆発的な速度が出せます。

映画だと、人間が必死に泳いで、ギリギリで助かったり、食べられたりしていますが、ホホジロザメが本気を出せば一瞬で終わりです。

『ディープブルー』という映画では、カーターというダイバーが猛スピードで突っ込んでくるアオザメを水中で避けて背びれにつかまるシーンがあるんですが、あれは人間の所業じゃないです。

こうした襲撃シーンについてリアルに描いている映画を上げるとすれば、『赤い珊瑚礁 オープンウォーター』ですね。

何もない大海原の真ん中でホホジロザメと遭遇するっていうシンプルかつ一番怖いシチュエーションの本作では、サメがいきない襲ってこないでゆっくりと様子を伺う様に近づいてきて、襲うときにいきなり猛スピードでガバッてくる感じが、リアリティがあって非常にスリリングです。

邦題がB級っぽく、序盤が若干グダる感じはありますが、襲撃シーンについてはかなりお勧めなので、まだ見ていない方はぜひ見てみてください。

あり得ないあるある②:とにかくサメが人を襲う

サメ映画だと、

・とにかくサメが人を襲う

・襲ってからが始まり

・サメがいる水に落ちる=死

みたいな前提があります。というか、それこそサメ映画の醍醐味ともいえます。

しかし、実際のサメは、好んで人間を捕食対象にすることはありません。

この点は以前の記事でも解説しているのでおさらいになりますが、世界に500種以上いるとされるサメのうち、人間にいきなり致命傷になるような攻撃を加えてくるサメは約3種。その3種も、遭遇したからといって必ず襲ってくるわけではないです。

YouTubeにも複数動画が上がっていますが、凶暴な人食いザメとされるホホジロザメ、イタチザメ、オオメジロザメと一緒に、檻なしで泳ぐ映像はたくさんあります。


もちろん相手は大型野生動物なのでこうした行動にはリスクが伴いますが、彼らが人を見たらすぐ襲ってくる殺人マシーンではないことはわかると思います。

これについてリアリティがあるわけではないですが、良いなと感じた作品は『シャークアタック』『ダークタイド』です。

前者の『シャークアタック』はサメが人を襲うシーンはありますが、サメVS人というよりも、「サメの襲撃をきっかけに、その裏に潜む陰謀を暴いていく」というクライムアクション&サスペンスという感じです。

主人公が調査を始めるきっかけが「こんなにサメの襲撃が連続するのはおかしい」というサメ映画の前提に対するツッコミみたいになっていて個人的に好きです。

後者の『ダークタイド』は、ホホジロザメと檻無しで泳ぐ技術を持った女性の物語です。サメを絶対的な脅威というより、慎重に向き合わないといけない畏怖すべき存在として描いている感じがして、非常に新鮮なサメ映画でした。

あり得ないあるある③:サメが吠える

最近のサメ映画では少なくなった気がするのですが、80~2000年代初頭の、ドキュメンタリー映像がちりばめられたB級サメ映画によくありがちなのが、サメの雄叫びです。

有名なものだと『ジョーズ4 復讐編』、ツッコミどころ満載のメガロドン映画『ディープライジング・コンクエスト』などが挙げられますが、サメが大口を開けて迫ってくるときに「ギャー!」や「ウモー!」などと鳴き声を上げることがあります。

サメ好きの方々は分かっていると思いますが、サメは吠えません。

水中は空気中よりも音が伝わりやすく、サメたちにとって音が重要な刺激であることは事実です。しかし、そもそもサメには声帯がないですし、音による積極的なコミュニケーションを行っているという科学的な証拠も存在しません。

釣り上げられたサメが「グー」とか「キュー」みたいな音を出すという体験談はネットに載っていますが、恐らく空気や水の音であり、サメ自身が意図的に発しているものではないと思います。

映画制作側の都合としては、鳴き声を上げさせることで恐怖感を掻き立てたいんだと思いますが、本来どうやっても鳴き声を出せないサメでそれをやられてもギャグにしかなりません。

皆さんがサメ映画を作る際は、鳴き声ではなく、音楽や効果音で演出をするようにお勧めします。

あり得ないあるある④:サメが陸の上に現れる

はい、もうヤケクソ感があると思いますが、サメ映画の半数以上がヤケクソなのでこうなります。

原点にして頂点である『ジョーズ』から始まり、数多くのサメ映画が作られてきましたが、そこでいつも問題になるのが、「陸の上にいる人間を、どうやって海にいるサメに食べさせるか?」というものです。

これを人食いサメ映画のジレンマと呼びます(嘘です)。

このジレンマを解消するために、サメ映画では様々なプロットが描かれてきました。

・市長がサメの存在を否定して無理やり海開きをする(ジョーズ)

・巨大な海中研究施設が水没して職員が閉じ込められる(ディープ・ブルー)

・サメに人を食わせたがる殺人鬼が現れる(シャーク・ナイト)

・津波が突然押し寄せて水浸しになったスーパーマーケットにサメが迷い込む(パニック・マーケット3D)

・竜巻でサメが飛んでくる(シャークネード)

しかし、どこかで誰かが「サメを陸にあげれば良くね?」という思考に辿り着いたようです。そして、怪しい実験でサメ人間が生まれ、海だけでなく陸でも人を襲う!という設定の映画が次々に誕生しました。

ここまで聞いて、「サメが歩けないのは当たり前の話だからツッコミを入れるまでもない」と思った人はいるかもしれませんが、何故当たり前なのか?もう少し深堀していきましょう。

そもそも僕たち陸上の脊椎動物の祖先は、陸の上に上がった魚的な動物から始まりました。そして、トビハゼや肺魚のように、水の外でも生きられる魚や、鰭が足のように発達した魚も多くいます。

サメの中でも、マモンツキテンジクザメの仲間は、胸鰭と腹鰭を使って這うように動くことができ、低酸素環境での適応能力も高いことが確認されています。

マモンツキテンジクザメ。胸鰭と腹鰭を手のように動かすことができます。

こう考えると、鰓や脚の形状さえどうにかなれば陸に進出するサメがいてもおかしくなさそうに思えますが、ここで問題になるのが骨格です。

サメの仲間は軟骨魚類と呼ばれ、骨格のほとんどが糖たんぱく質を主成分とする軟骨で構成されています。一方で、タイやマグロ、そして陸に進出した魚に近い仲間のシーラカンスや肺魚は、僕たちと同じく硬い骨で骨格が作られています。

水は空気の800倍密度が濃いため柔らかい骨でも何の問題もないですが、陸上に出ると見かけの重量が一気に大きくなるので、水中よりもはるかに高い強度で体を支える必要があります。

確かに軟骨も硬くなることはありますが限度があるので、マモンツキテンジクザメのようなサメが陸上に進出しようとしても、体を支え切れません。

以上の点から、仮に映画に出てくるようなマッドサイエンスを実現したとしても、サメに陸を歩かせるのは体の構造上不可能ということになります。

ここまで読んで「ならサメの骨を強化すれば良くない?」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことをするなら最初から硬骨の生物を使った方が早いです。

もし仮に、水陸両用の殺人モンスターを生み出したい場合は、サメよりもクジラをベースにした方が恐らく楽ですし、そもそもワニやカワウソなど、もともと両方で生きられる生物を改造した方が適していると思います。

 

以上、現実にはあり得ない”サメ映画あるある”でした。

サメ映画の話題は割と人気なようなので、また機会を見つけて取り上げようと思います。

引き続きよろしくお願いします!

 

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投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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