ジンベエザメの仲間?メスだけで子供を産む?寅年ということでトラフザメを解説!

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おはヨシキリザメ!サメ社会学者Rickyです!

時が過ぎるのは早いもので、もう2022年になりました。

皆さん、明けましておめでとうございます!

今年も多くのサメと出会い、サメを学ぶ機会に恵まれ、そして多くのサメ映画が公開されればよいなと思っています(サメ映画は僕に関係なく勝手に作られると思いますが)。

そんな2022年は、十二支で言えば寅年です。

寅と言えば以前にタイガーシャーク(イタチザメ)の紹介記事をアップしましたが、今回はもう一種トラと名前につくサメ、トラフザメを紹介します!

「トラザメ」という名前のサメもいるんですが、あんまり有名じゃないのと、トラフは以前にリクエストをもらっていたので、今回はトラフザメを取り上げます(トラザメごめんね)。

果たして、トラフザメとはどんなサメなのか?なるべく分かりやすく紹介していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

 

トラフザメはどんなサメ?

トラフザメはどんなサメなのか、見たことある人も多いと思いますが、改めて確認していきましょう。

トラフザメはテンジクザメ目トラフザメ科に分類されるサメです。

サメと言えば、シャープな顔つき、鋭い歯、流線形の体、三角形のデカい背びれ、というイメージがあると思いますが、トラフザメはあらゆる形でそのイメージを裏切っています。

まず、顔が丸っこくて、やや頭でっかちです。歯は生えていますが、楯みたいな形の細かい歯が並んでいて、とても人食いモンスターには見えません。


このぽげ~っとした顔が何とも言えない可愛さがありますね。

背びれについても、基底部が広いわりに高さが低く、全然ジョーズ感が無いです。

そんなトラフザメ、大きさは全長3mに達することもありますが、尾びれが非常に長く、体の半分くらいを占めています。そのため、Total length(全長)が大きいトラフザメでも、Pre-caudal length(尾鰭前体長)で考えると、そこまで大きくないです。

ちなみに、同じく尾びれが非常に長いサメとしてオナガザメの仲間が有名ですが、彼らはネズミザメ目という、トラフザメとは分類が離れた仲間です。

ネズミザメ目オナガザメ科のマオナガ

しかも、トラフザメは泳ぐときもぎこちないというか、「そんな尾びれにしない方が良かったのでは?」と思いたくなるような、ユーモラスな泳ぎ方をします。

そもそも泳がずに底の方で大人しくしていることも多いです。トラフザメは人工飼育環境に慣れやすいので、日本でも数多くの水族館で飼育されていますが、泳いでいる姿を見ることの方が少ないと思います。

鱗が丈夫で体も柔軟なトラフザメは、昼間はじっとして、夜になるとサンゴや岩の間に潜む獲物を食べる、という生活スタイルだと思われますが、長い尾鰭の役割はよく分かっていません。

ジンベエザメの仲間?

トラフザメを見て、ジンベエザメに似ているという人がたまにいます。

ジンベエザメはあまりにも有名かつ特徴的なので「ジンベエザメはジンベエザメ」という感じがしますが、分類学的には、テンジクザメ目ジンベエザメ科の仲間、ということになっています。

ジンベエザメ

トラフザメも同じくテンジクザメ目なので、広いグループ分けでは近い仲間、ということになります。

テンジクザメの仲間は共通して、口が目よりも前にある、という特徴があります。

例えばザ・サメという見た目のメジロザメの仲間だと、口の端より前に目が来ています。

メジロザメの仲間。口の端が目よりも後ろにあります。

しかし、テンジクザメ目は口が前の方に来ていて、だいたい丸っこい顔つきをしているので、ちょぼんとした、マスコット的な表情の子達が多いです。

トラフザメの顔。口の端が目よりも前にある。

また、ジンベエザメの体には独特の隆起線が入っていますが、トラフザメの体にも似たような隆起線があります。

ジンベエザメの体。トラフザメと同じように独特の隆起線が入っていた。

たまに水族館でトラフザメを見た子供が「ジンベエザメだ!」って叫ぶときがありますが、こうして特徴を並べてみると、一応似ていなくはないのかもしれません・・・。

シマウマ柄のサメ

寅年ということでここまでトラフザメを解説してきましたが、そもそもこのトラフザメ、見て分かる通りトラ模様ではないです。

トラと言えば縞模様で、英語でタイガーシャークと呼ばれるイタチザメには縞模様が入っています。

イタチザメの剥製。

一方のトラフザメの体には、縞ではなくて斑点模様があります。どちらかと言えばヒョウ柄ですね。

トラフザメの体はトラ柄ではない。

この見た目を見ると、”ヒョウザメ”とか”レオパードシャーク”と呼びたくなりますが、実はトラフザメとは全く別のグループにヒョウザメやレオパードシャークと呼ばれるサメがいます。ややこしいですね。

さらにややこしい話をすると、トラフザメの英名はZebra shark、シマウマです。

トラ、ヒョウ、シマウマ・・・。1つのサメの名前をめぐって様々な動物が集結してますね。

 

では、なんでゼブラシャークなのかと言えば、これは幼魚の模様が由来になっています。

こちらがトラフザメの幼魚です。御覧の通り親と全然違う模様をしています。丸っこい顔や長すぎる尾びれはまさにトラフザメですが、色だけでなく模様の入り方が根本的に違っています。確かにゼブラという感じです。

生まれた当初はこのゼブラ模様なのですが、成長するにつれて徐々にこの模様が崩れて、色もベージュっぽくなっていきます。

大人の階段を登っている途中のトラフザメ

水族館で幼魚を展示している場合、だんだんと成魚の模様に近づいているのが確認出来るので、もしそういう展示を見つけたら、ぜひ年パスを買って定期的に観察してみてください。

メスだけで子供を産む?

トラフザメの子供について軽く紹介しましたが、このトラフザメの繁殖について、非常に面白い事象が確認されています。

それが、単為生殖です。簡単に言えば、メスだけで子供を産むということです。

2015年、オーストラリアの水族館で、オスがいない水槽で飼育されていたメスのトラフザメが41個の卵を産み、そのうち3個が孵化しました。この産卵個体は3年前からオスとの接触はなく、産まれた子供を調べたところ、メスの遺伝子しか持っていない子供であることが確認されました。

トラフザメは卵生のサメで、このような形状の卵を産み落とす。

この単為生殖については、以前にウチワシュモクザメの事例を取り上げましたが、今回のトラフザメはさらに興味深いポイントがあります。

実はこのトラフザメ、以前に雄と交尾して、普通に卵を産んだ経験があったんです。

かつてオスと一緒に飼育されていて両性生殖で卵を産んだ後、2012年以降は別の水槽に移されました。そして、3年後の2015年、オスのいない環境で単為生殖をおこなったんです。

ちなみに、サメの仲間は精子を胎内に長期保存することもありますが、今回生まれた赤ちゃんは遺伝子も調べられ、単為生殖の可能性が高いことが示されています。

つまり、このトラフザメは、一度両性生殖をおこなってから、単為生殖に切り替えた、ということになります。

単為生殖を行う生物はサメ以外にも多く確認されていますが、両性生殖をおこなった個体が、後に単為生殖を行った事例は珍しいそうです。

さらに面白い事例が、アクアワールド茨城県大洗水族館でも確認されました。

アクアワールド大洗では雄と雌のトラフザメが同じ水槽で飼育されていて、卵の産卵、そして2個体の孵化が確認されています。しかし、飼育している4個体と孵化した2個体についてマイクロサテライトDNA分析を行ったところ、メスの遺伝子しか確認されず、単為生殖であることが判明しました。

つまり、交尾する相手が一緒の環境にいたにもかかわらず、その精子を使わずに自分だけで子供を産んだということです。

雄どんまいですね。

もちろん、オスに魅力がなかったとは必ずしも言えず、メスとオスの発情期がなんらかの要因で違ってしまっていた、などの原因も考えられます。実際、つい最近アクアワールド大洗は日本で初めてシロワニの繁殖に成功していますが、この研究の中で、発情期が合うように水温などを調整するという工夫が行われました。

単為生殖という行動は、雄と出会えない閉鎖環境という異常な場所だから起きる現象のように言う人もいますが、今回紹介したトラフザメの事例を考えると、そうも言えなくなってくる気がします。

水槽の底の方で大人しくていることが多いトラフザメ。ぽけっとした顔のマスコット的存在ですが、近い将来、サメの生殖に関する重大発見のきっかけになるかもしれません・・・。

 

投稿者プロフィール

1992年東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。アメリカ合衆国、ポートランド州立大学に留学。

HPやYouTubeでサメなどの海洋生物・水族の生態を紹介、環境問題の解説を行っている。サメや関連イベント参加、水族館巡り、ダイビング、標本作製などサメや生き物活中心の生活を送る。水族館のボランティアスタッフの経験あり。トークイベントのプレゼンターやライターとしても活動。

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